大学生、取り憑かれてしまう。〜オカルト研究会⑤〜

釜借 イサキ

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大学生、変な奴に憑かれてしまう。

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 携帯電話越しの泣き笑いがとりあえず納まった頃、
「ひっ……ひひっ……そ…そのっ……」
笑いの余韻を引きずるメリーさんの声が携帯電話越しに聞こえる。
「け……携帯でそいつ見てやんなさいよっ……ぷっ……」
しゃくりあげるような声に促されるまま、携帯電話を秀人らしきものに翳して見えたのは、
「……へっ……秀人……?」
涙目になって赤面しながら秀人の体をぽこすか叩く透き通った秀人の姿だった。
 「いやあ、この顔、君に似てるなあ……」
秀人らしきものは、顎に手をやりながら、鏡と透けた秀人の間で視線を彷徨わせている。秀人らしきものの目に、透過した秀人の姿が見えていることに、周は少しだけ複雑な気分になる。その間も、透き通った秀人は赤面したままだ。
「君も、僕に負けず劣らず美しい顔をしてるじゃないか」
鏡を食い入るように見る秀人らしきものは、それを全く意に介していないようだ。
「……秀人……?」
一方の秀人はというと、ベッドの横で蹲ってしまっている。なんとも居た堪れない。
「しかし、肌の手入れが足りないなあ……」
今度は色んな確度で鏡を確認しだす怪異。これには流石の秀人も、
「いや、死なないで! 秀人おっ!」
召天するように段々と薄くなっていく。
「……死っ!?」
思わず叫ぶ周の声に、病室のドアが勢い良く開く。そこには先程の看護師がいた。
「い、いやあ……その……」
ここがナースステーションの目の前だということを、すっかり失念していたことに、周は思わず舌打ちしたくなりながら、誤魔化す言葉を探す。
「あっ……あの、もうあんな事しないでねって!」
赤面したままの琉依は、必死にフォローを入れるが、
「ああ、なんてことだ。」
それをぶっ壊しにいくのは、もちろん秀人らしきもの。一歩一歩、潤んだ瞳のまま、看護師に近づいて行く。大仰に片膝をついたかと思うと、
「正に、天から遣わされた天使のようだ……」
胸に手を置いて上目遣いで看護師を見遣る。今度は徐に立ち上がったかと思えば、後退る看護師との距離を詰め、
「正に、白衣の天使とは貴女のような人のことを言うんでしょう」
「いや、あの……」
手をそっと握りながら、目を真っ直ぐ射抜く秀人らしきものに、看護師は思わず赤面する。
「あっ……あの……こいつ起きたばっかで、混乱してるみたいなんですよね……あはは……」
周は、裏返る声で懸命にフォローする。正直かなり厳しい。
「そ、そうそう……秀人くんたら……もう……」
それに頷く琉依。
「……何か変わったことがあったら仰ってくださいね……」
真っ赤な顔を訝しげに歪めながら、看護師は病室を後にした。
ーー変なことしかないですーー
という言葉を、周は胸に締まった。
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