大学生、取り憑かれてしまう。〜オカルト研究会⑤〜

釜借 イサキ

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大学生、変な奴に憑かれてしまう。

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 看護師の背中を見送り、携帯電話越しの笑い声も落ち着いた頃、
「とりあえず、一旦状況を整理しよう……」
周は胃のあたりを抑えながら、努めて落ち着いた声を出す。
「ああ、僕は苦難を与えられし天使……たった今、地上に降り立ったところなんだ……」
秀人らしきものは、悩ましげな顔をしながら、右手を額にそっと当てる。
「……ちょっと黙っててもらえませんかね。」
火に油とは当にこのこと。周は締まらない目線を、秀人らしきものに送る。
「……いっそコイツごと……」
「いや、それお前の体なのよ!」
何やら物騒なことを呟きだす透けた秀人に、周は荒げそうになる声を抑える。さっきみたいな気まずさは、もう御免だ。
「という設定なんだ。恵まれすぎている自分が怖い……」
いつの間にか、秀人らしきものはベッドに腰掛けて足を組んでいる。その視線はどこか遠くを見ている。
「設定だったの!?」
周は食らいつくように反応する。日本語の筈なのに、何を言っているのかさっぱり分からない。
「いや、元々の自分の美しさには……並外れた才能には気付いていたんだ……」
顔の角度を変える秀人らしきもの、
「ああ、元からこうなんっすか……」
ある種、諦め混じりに溜息を吐く周。
「ある日、天の声が聞こえたんだ。」
そう言うと、秀人らしきものは座ったまま目を瞑り、自分の体を抱く。
「自分語り始まった!?」
思わず長くなりそうだなと思った周の横から、
「天の声って聞こえるんですか? どうやって聞くんですか?」
「うん、岡さんちょっと黙っててくれるかな……」
輝く瞳で話題に食いつく琉依を、周は思わず諌める。
「僕の美しさと、この並外れた才能で世界を救えと……」
秀人らしきものは、立ち上がったと思うと、左手を自分の胸に当て、右手は虚空に差し出す。
「……いちいちポーズを決めるな。」
青筋立ちそうな顔で、透けた秀人は睨めつける。
「なんかこのノリ、見たことあるような……?」
そんな応酬に、ふと既視感を感じる周。こんな奴、中々いない。
 そんな会話の中、先ほどから琉依の口数が少ないことに気づいた周は、
「岡さん……?」
流石に先程の止め方はまずかったかと、内心で思い返す。
「あの、さっき……」
「ひっ……秀人くん……ごめんね……」
謝ろうとする周に目もくれず、琉依は肩を小刻みに震わせる。
「あ、あの、岡さん……」
恐る恐る、周は琉依の顔を覗き込む。顔は真っ赤で、肩の震えは段々と大きくなっていく。
「もっ……もう……ブフォッ……無理いー……あはははっ……ひい……」
携帯電話越しの笑い声に、琉依の爆笑が加わる。
「ちょっ……あんたっ……そっ……そんな笑ったら……ひいい」
諌めたいのか助長したいのか分からないメリーさんと、
「あひいいっ……ちょっ……アニキっ……はっ……ひいいいい」
秀人への遠慮もあるらしく、笑いを止めたいのにツボに入り込んでいくよっしん。
「あ、あの……秀人さん……?」
透けた秀人は、こちらに背を向けて力なく蹲っている。
「ひいいい……お腹痛いよお……」
引き笑いをしながら涙目になった琉依に、
「……うん。俺も胃が痛いよ……」
周は無力に肩を落とす。
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