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大学生、変な奴に憑かれてしまう。
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本格的に鳩尾の辺りがちくちく痛む。
「……で、なんでこんなことに?」
周は胃のあたりを抑えながら、秀人らしきものを何とも言えない表情で見つめる。改めて見た友達の顔は、驚くほど整っていた。
「ああ、それはついさっき……」
そんな周の心中を知ってか知らずか、秀人らしきものは、悩ましげに目を閉じる。思わず固唾を飲む周。
ーーそっか、こうなってるってことは……
先程までの笑いっぷりは鳴りを潜め、琉依はどこか神妙な面持ちで秀人らしきものを見る。その顔は、どこか愁いを帯びている。
「そう、それは今日の昼下がり……」
秀人らしきものは徐に立ち上がり、窓の方に向かう。
「いいからとっとと話せ。」
背を向けて、顔だけをこちらに向ける透けた秀人の顔は、どこかむくれている。
「僕はその辺の道を歩いていた。」
憂うように窓の外を見る、秀人らしきもの。
「へースゴイネー」
一々気にするのも疲れたという風に、周は生返事を返す。
「やはり、僕のオーラかな……」
伏し目がちに髪の毛を掻き上げる秀人らしきものに、周は先程よりも強く、既視感を感じる。
「猫ちゃんがやってきた。」
「動きが煩い。」
憂うように視線を落とす秀人らしきものに、いつの間にか立ち上がって腕を組んでいた透ける秀人は、眉間にしわを寄せながら低い声を掛ける。
「そして、猫ちゃんと戯れていたんだ。」
儚げな顔に笑みを浮かべると、天を仰ぐ。
その、意味ありげな表情に、思わず周は身構える。
ーーその最中に事故……とか?
「跳んでくるボール……」
あらぬ想像をする周は、耳を疑う。
「……は?」
ふと琉依を見ると、小刻みに震えて顔を真っ赤にしている。声を我慢しているらしい。
「傷一つない、美しい顔に……」
再び目を閉じ、自分の体を抱く秀人らしきもの。このポーズ、気に入っているのだろうか。
「やめてえ……もうやめて……おなっ……お腹痛いよお……!」
思わず、声を上げた琉依に、
「お腹が痛い!? ……え?」
勢いよく開くドアから、看護師が顔を出す。目の前には笑い転げる琉依と、変なポーズの秀人の体。
「……ああ……」
ーーやっぱりこの患者さんおかしい。先生に報告しなきゃ!
使命感と共に病室を出ていく看護師の背中を目で追いながら、
「おい、今盛大に勘違いされたぞ!」
透ける秀人の顔が、絶望に染まる。
「顔面に当たったんだ……僕の、美しい顔に……」
なぜか琉依から見て斜め45度に顔を傾ける秀人らしきもの。
「ひいっ……ふっ……ふうっ……やめっホントやめっ……あひぇひぇひぇひぇひぇ」
「るっ……琉依……あっあんたっ……わらっ……笑い方っ……ひっひいっ……」
最早、良く分からない笑い方をする二人の声に、
「……おい、誰かコイツにパイプ椅子ぶん投げろ。」
人一人を殺せそうな視線を自分の体に送る透ける秀人。
「いや、だからお前の体だから!」
それを周は必死に止める。
「……で、なんでこんなことに?」
周は胃のあたりを抑えながら、秀人らしきものを何とも言えない表情で見つめる。改めて見た友達の顔は、驚くほど整っていた。
「ああ、それはついさっき……」
そんな周の心中を知ってか知らずか、秀人らしきものは、悩ましげに目を閉じる。思わず固唾を飲む周。
ーーそっか、こうなってるってことは……
先程までの笑いっぷりは鳴りを潜め、琉依はどこか神妙な面持ちで秀人らしきものを見る。その顔は、どこか愁いを帯びている。
「そう、それは今日の昼下がり……」
秀人らしきものは徐に立ち上がり、窓の方に向かう。
「いいからとっとと話せ。」
背を向けて、顔だけをこちらに向ける透けた秀人の顔は、どこかむくれている。
「僕はその辺の道を歩いていた。」
憂うように窓の外を見る、秀人らしきもの。
「へースゴイネー」
一々気にするのも疲れたという風に、周は生返事を返す。
「やはり、僕のオーラかな……」
伏し目がちに髪の毛を掻き上げる秀人らしきものに、周は先程よりも強く、既視感を感じる。
「猫ちゃんがやってきた。」
「動きが煩い。」
憂うように視線を落とす秀人らしきものに、いつの間にか立ち上がって腕を組んでいた透ける秀人は、眉間にしわを寄せながら低い声を掛ける。
「そして、猫ちゃんと戯れていたんだ。」
儚げな顔に笑みを浮かべると、天を仰ぐ。
その、意味ありげな表情に、思わず周は身構える。
ーーその最中に事故……とか?
「跳んでくるボール……」
あらぬ想像をする周は、耳を疑う。
「……は?」
ふと琉依を見ると、小刻みに震えて顔を真っ赤にしている。声を我慢しているらしい。
「傷一つない、美しい顔に……」
再び目を閉じ、自分の体を抱く秀人らしきもの。このポーズ、気に入っているのだろうか。
「やめてえ……もうやめて……おなっ……お腹痛いよお……!」
思わず、声を上げた琉依に、
「お腹が痛い!? ……え?」
勢いよく開くドアから、看護師が顔を出す。目の前には笑い転げる琉依と、変なポーズの秀人の体。
「……ああ……」
ーーやっぱりこの患者さんおかしい。先生に報告しなきゃ!
使命感と共に病室を出ていく看護師の背中を目で追いながら、
「おい、今盛大に勘違いされたぞ!」
透ける秀人の顔が、絶望に染まる。
「顔面に当たったんだ……僕の、美しい顔に……」
なぜか琉依から見て斜め45度に顔を傾ける秀人らしきもの。
「ひいっ……ふっ……ふうっ……やめっホントやめっ……あひぇひぇひぇひぇひぇ」
「るっ……琉依……あっあんたっ……わらっ……笑い方っ……ひっひいっ……」
最早、良く分からない笑い方をする二人の声に、
「……おい、誰かコイツにパイプ椅子ぶん投げろ。」
人一人を殺せそうな視線を自分の体に送る透ける秀人。
「いや、だからお前の体だから!」
それを周は必死に止める。
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