大学生、取り憑かれてしまう。〜オカルト研究会⑤〜

釜借 イサキ

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大学生、変な奴に憑かれてしまう。

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 何処だか分からない場所、彼岸の淵か、此岸の果てか、はたまたその両方か。見渡す先は闇、闇、闇ーー
「ねえ、君。」
癇に障る声が聞こえる。
「横溝秀人くん。」
声の主は、興味なさげに呼びかける。
「……なんだ。」
声の方を向くと、そこには一人、男が立っている。何やらポーズを決めながらこちらを見ている。
「いやあ、一つだけ気になったことがあってねえ……」
思わせぶりに、男は笑う。
「ああ、自己紹介がまだだったね。僕の名前は鳴野裕太。」
唐突な自己紹介に、秀人は沈黙だけを返す。
「君さあ、なんでをしたの?」
ぶつけられた純粋な疑問に、秀人の表情はぴくりとも動かない。
「わからないんだ。何が原因なのか。」
裕太は、小首を傾げる。
「……お前に関係ないだろ。」
そう言う秀人の表情は、やはり変わらない。目の前の男は、見た目ほど軽薄な奴ではないらしい。
「まあ、人には言いたくないことの一つや二つ、あるものだからね。」
諦めたように、裕太は呟く。それを、秀人は無表情に睨めつける。
「でもさ、君には大切にしてくれるお友達がいるんだろう……?」
裕太の声に、憂いが混じる。
「いや。」
短い否定。秀人の表情は、やはり動かない。
「……僕は君が羨ましい。」
「……そうか。」
どこか遠くを見つめる裕太の目は、懐かしいものを顧みるような慈しみを秘めていた。秀人はただ、それを聞いている。
「じゃあ、僕は行くべき場所に行くよ。」
そう言うと、裕太は一歩、また一歩と秀人に歩み寄り、やがて二人は互いに背を向け合う。
「……はあ。」
秀人の溜息は静かに闇へと溶けていく。
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