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池ポチャした日、私はイケメンと出会った
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30も手前に差し掛かる中、恋愛が遠ざかり続けている私は今日もいつもと変わらない仕事をしている。いつもと変わらない上司の怒鳴り声、友人や同期の結婚や出産の話。仕事で疲れた足で実家に帰っても彼氏は出来たのかとか、結婚はまだなのかとか。子どもの顔が早くみたいだとか。そもそもの話、私は誰ともかかわらずに一人でゲームやアニメの世界に没頭して生活している事が大好きだ。そんな私が仕事以外でおしゃれして、人間関係を築くだなんて無理に決まっている。
いつもみたいに一人でぶつぶつと文句を言いながら、暗い夜道を歩く。さっきまではどこの家もかろうじて電気が付いていたけど、歩いているうちに次から次へと街は暗闇に染まっていく。早く私も家に帰って布団に潜り込みたいな、なんて呑気に考えているとどこからかゴゴゴゴと鈍い、地面と地面がぶつかり合うかのような音が聞こえてくる。同時に揺れも激しくなり、ついには立つことも難しくなってしまい思わず目を閉じながらしゃがみ込む。産まれてから体験した事のない規模の大地震に心臓がバクバクとうるさく脈打っているのが分かる。
「は?」
一通り揺れが落ち着いたかと思えば、下から何か風のような物が吹いてくるのを感じ取った。恐る恐る目を開けるとあたり一面に地割れが発生しており安全な場所に移動する事さえ困難な事になっている。幸いな事と言えば、被害が道路のみで家々に目立った破壊が無い事だろうか。油断はして居られないが。しかし私はまさに絶体絶命の危機だ。少しでも動けば私の居る唯一の足場も崩れ落ちてしまうだろう。こんな状況ドラマやゲームでもめったにお目にかかる事は無い。
「誰か助けて」
震えた声で助けを求めてみるものの、そんな私の願いが叶う事は無かった。直後にどこまで続くか分からない暗闇へと落下してしまったからだ。よりにもよって私が幼いころから大嫌いだった鳩、それも鳩の群れの衝突によりバランスを崩したのだ。一体私が何をしたと言うのだろうか。
私の人生はなんてつまらないものだったのか、ヒロインみたいにたくさんの人に愛される人生を送って見たかった。無邪気なまま過ごしたかった。ここで死ぬのが分かって居たら私は仕事を休んで、大好きな乙女ゲームにかじりついていたに違いない。
だってあと少しで特別ルートの解放が待っていたのに。攻略対象者を全員攻略した後に解放される特別ルート。だれかしらが不幸になるなか、特別ルートでは全員が死なずに生き残るのだ。主人公は誰とも結ばれる事は無いけど、きっとプレイヤーなら誰もが望む幸せな物語。そのルートを遊んでみたかった。そんな些細な願い事すら私は叶える事ができないまま死んでしまうのか。
結局、最後の最後まで趣味の事ばかりが頭を駆け抜けてしまう。あまりにも悔しくて悔しくて仕方がない。そうして私は一粒の涙と共に意識を落とした。
ーーーそう、落としたはずであったのだ。
次に目を覚ました時に激しい水しぶきの音と痛みと共に私は水の奥深くに沈んでいく。最初は落下先が下水道か何かかと思ったし、誰もがあの状況ならそう思うはずだ。だがしかし何とか薄く目を開けてみると汚く濁っているどころか水中は随分と透明な上、水面には太陽光が反射しているようにも見えなくない。
そこまで考えた所で段々と呼吸が出来なくて苦しくなってくる。二度も苦しんで死ぬなんて神様はなんてやつだと、心の中で毒づくも、体は正直で水面に向かって私はじたばたとする。しかしジタバタとすればするほど、沈むスピードは速くなる。
「ふぁ、ふぁれか!!」
水中のせいで歪んだ音しか出てこない。言葉を発したせいで水が一気に口の中に入ってきたのが分かる。これはもう駄目だ、そう思うと同時にだんだんと視界がぼやけてくる。すると突然水面に黒い影が映り大きな衝撃音と共に何かが近づいてきた、、、、、、近づいて!?
腕をがしりと捕まえられながらゆっくりと上まで上がっていくのが分かる。しかしほとんど何も思考ができないまま、謎の人物に地上まで引き上げられた。
いつもみたいに一人でぶつぶつと文句を言いながら、暗い夜道を歩く。さっきまではどこの家もかろうじて電気が付いていたけど、歩いているうちに次から次へと街は暗闇に染まっていく。早く私も家に帰って布団に潜り込みたいな、なんて呑気に考えているとどこからかゴゴゴゴと鈍い、地面と地面がぶつかり合うかのような音が聞こえてくる。同時に揺れも激しくなり、ついには立つことも難しくなってしまい思わず目を閉じながらしゃがみ込む。産まれてから体験した事のない規模の大地震に心臓がバクバクとうるさく脈打っているのが分かる。
「は?」
一通り揺れが落ち着いたかと思えば、下から何か風のような物が吹いてくるのを感じ取った。恐る恐る目を開けるとあたり一面に地割れが発生しており安全な場所に移動する事さえ困難な事になっている。幸いな事と言えば、被害が道路のみで家々に目立った破壊が無い事だろうか。油断はして居られないが。しかし私はまさに絶体絶命の危機だ。少しでも動けば私の居る唯一の足場も崩れ落ちてしまうだろう。こんな状況ドラマやゲームでもめったにお目にかかる事は無い。
「誰か助けて」
震えた声で助けを求めてみるものの、そんな私の願いが叶う事は無かった。直後にどこまで続くか分からない暗闇へと落下してしまったからだ。よりにもよって私が幼いころから大嫌いだった鳩、それも鳩の群れの衝突によりバランスを崩したのだ。一体私が何をしたと言うのだろうか。
私の人生はなんてつまらないものだったのか、ヒロインみたいにたくさんの人に愛される人生を送って見たかった。無邪気なまま過ごしたかった。ここで死ぬのが分かって居たら私は仕事を休んで、大好きな乙女ゲームにかじりついていたに違いない。
だってあと少しで特別ルートの解放が待っていたのに。攻略対象者を全員攻略した後に解放される特別ルート。だれかしらが不幸になるなか、特別ルートでは全員が死なずに生き残るのだ。主人公は誰とも結ばれる事は無いけど、きっとプレイヤーなら誰もが望む幸せな物語。そのルートを遊んでみたかった。そんな些細な願い事すら私は叶える事ができないまま死んでしまうのか。
結局、最後の最後まで趣味の事ばかりが頭を駆け抜けてしまう。あまりにも悔しくて悔しくて仕方がない。そうして私は一粒の涙と共に意識を落とした。
ーーーそう、落としたはずであったのだ。
次に目を覚ました時に激しい水しぶきの音と痛みと共に私は水の奥深くに沈んでいく。最初は落下先が下水道か何かかと思ったし、誰もがあの状況ならそう思うはずだ。だがしかし何とか薄く目を開けてみると汚く濁っているどころか水中は随分と透明な上、水面には太陽光が反射しているようにも見えなくない。
そこまで考えた所で段々と呼吸が出来なくて苦しくなってくる。二度も苦しんで死ぬなんて神様はなんてやつだと、心の中で毒づくも、体は正直で水面に向かって私はじたばたとする。しかしジタバタとすればするほど、沈むスピードは速くなる。
「ふぁ、ふぁれか!!」
水中のせいで歪んだ音しか出てこない。言葉を発したせいで水が一気に口の中に入ってきたのが分かる。これはもう駄目だ、そう思うと同時にだんだんと視界がぼやけてくる。すると突然水面に黒い影が映り大きな衝撃音と共に何かが近づいてきた、、、、、、近づいて!?
腕をがしりと捕まえられながらゆっくりと上まで上がっていくのが分かる。しかしほとんど何も思考ができないまま、謎の人物に地上まで引き上げられた。
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