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第5話 ハンカチの行方
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どれくらい寝ていたのだろう。キツネは、肌寒い空気を感じて目を覚ました。
あたりを見回すと、もうすっかり暗くなっていた。
(……散歩の途中で寝ちゃったんだっけ)
大きなあくびを一つすると、頭を振って眠気を覚ます。家に帰ろうとして、キツネは首もとにわずかな違和感を覚えた。
それは本当に些細なもの。気にしなくてもどうということはない。だが、キツネはどうしても気になってしまった。
首もとに手をあてる。触れるのは自分の毛の感触だけ。そう、あるはずのもの――ハンカチの結び目がそこにはなかった。
「う、そ……」
キツネは愕然とした。
きちんと結んであったはずなのに……。リスと別れるまでは確かにあったと断言できる。
眠っている間に自分でほどいてしまったのだろうか。いや、そこまで寝相は悪くないと自負している。では、誰かに盗まれた……?
考えていても答えは見つからなくて。とにかく……と、キツネは周囲を探すことにした。しかし、いくら探しても切り株周辺にはそれらしきものは見当たらない。
本当に、誰かに持って行かれてしまったのだろうか。もしかして、昼間出会ったリスが……? 嫌な想像が頭の中を駆け巡る。
増殖するそれを振り払うように、キツネは強く頭を振った。
「……リスさんがそんなことするはずない」
自分に言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
では、誰が持って行ったのか? まったく見当がつかない。だが、わずかでもいいから手がかりがほしかった。どんなに小さな痕跡でも見逃すまいと、周囲に目をこらしつつ嗅覚を研ぎ澄ませる。
あたりを見回すと、もうすっかり暗くなっていた。
(……散歩の途中で寝ちゃったんだっけ)
大きなあくびを一つすると、頭を振って眠気を覚ます。家に帰ろうとして、キツネは首もとにわずかな違和感を覚えた。
それは本当に些細なもの。気にしなくてもどうということはない。だが、キツネはどうしても気になってしまった。
首もとに手をあてる。触れるのは自分の毛の感触だけ。そう、あるはずのもの――ハンカチの結び目がそこにはなかった。
「う、そ……」
キツネは愕然とした。
きちんと結んであったはずなのに……。リスと別れるまでは確かにあったと断言できる。
眠っている間に自分でほどいてしまったのだろうか。いや、そこまで寝相は悪くないと自負している。では、誰かに盗まれた……?
考えていても答えは見つからなくて。とにかく……と、キツネは周囲を探すことにした。しかし、いくら探しても切り株周辺にはそれらしきものは見当たらない。
本当に、誰かに持って行かれてしまったのだろうか。もしかして、昼間出会ったリスが……? 嫌な想像が頭の中を駆け巡る。
増殖するそれを振り払うように、キツネは強く頭を振った。
「……リスさんがそんなことするはずない」
自分に言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
では、誰が持って行ったのか? まったく見当がつかない。だが、わずかでもいいから手がかりがほしかった。どんなに小さな痕跡でも見逃すまいと、周囲に目をこらしつつ嗅覚を研ぎ澄ませる。
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