最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル

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第5話

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「どうだ、美味いか?」
「…………クッ!」
「よしっ!」

 俺が焼いたウサギ肉の感想を聞くと、いっちょ前にフェイントをかけてきやがった。まぁずっと美味しそうにモグモグしてたし、目が輝いてたから美味いんだろうなとは思ってたけど。

「でも、やっぱりそんなに食べれなかっただろ?」
「クゥ……」

 身体が小さく、この量の肉がその身体のどこに入ってるんだっていう展開もなかった。これを食べる前にアポルの実を食べてるってのもあるし。

「だからある程度はギルドに売らせてくれ」
「クゥ」

 ウルのお許しも出たのでインベントリに入っている素材を納品しに行く。

 今は職人ギルドに来ており、自由に料理が出来るスペースでウサギ肉を焼いていた。
 ウサギ肉を売るためにはウルを説得してからじゃないと機嫌を損ねそうだったし、今のうちに料理をやっておきたかったというのもある。

 あとは、職人ギルドで装備品の確認もしたかった。特にこだわりは無いが、もし良さそうな武器が売っていれば、今のうちに変えておきたい。
 短剣も悪くはないが、サブ武器として優秀なので他のメイン武器を短剣以外で持っておきたい。
 
 このゲームは耐久値が無くなると壊れるというような鬼畜仕様でもないので、本当はサブ武器なんて無くてもいいのだが、いろんなゲームをしてきた癖でいくつか武器がないと不安なのだ。

「おっ、ウルちょっと待ってくれ。少し見たい」
「クゥ」

 プレイヤーの鍛冶師が売っている商品が並んでおり、職人ギルドで売られているNPCメイドの武器よりも能力値は低いが、プレイヤーメイドの中では高いし値段が安い。

 それに俺の知らないプレイヤーで、ここまで早く鍛冶師として活動する人とは今から仲良くしておきたい。

「すみません、この武器2つ欲しいです」
「お、まさか買いたいやつが来るとは思わんかった。全部ギルドに納品するのも嫌で1番出来の良いやつを商品にしてたんだが。一応言っておくが、NPCメイドの武器を買う方がしばらくプレイヤーメイドより良いぞ? 見たところ魔獣ギルドの初回特典をもらったからだろうが、悪いことは言わんからそっちを買う方が良い」

 どうやらこの鍛冶師はとても親切な人らしい。
 そしてゲームの理解度も高そうだし、他のゲームもやってきた事が分かる。

「いや、俺もそれは知ってるよ。でもやっぱりプレイヤーメイドを使いたくなるだろ。NPCメイドが嫌ってわけじゃなくて、プレイヤーが作ったもんを買って、どんどんプレイヤーの方でお金を回さないと。ギルドに払ってもゲーム側に吸われるだけだ」
「ほぅ、魔獣なんて連れてるから初心者かと思ったが、あんたなかなかやり込んでるな。普通にやってたらそんな考えにはならない。余程色んなことを考える性質を持ってる奴か、ゲームを腐るほどやってきた奴かだ。なんなら腐るほどやっても思いやりの心を一欠片すら持てない奴もいるがな!」

 この鍛冶師はガイルという名前で、本人曰くそこそこ鍛冶師としてゲームをプレイしてきたが、ガチ勢達ほどこだわりが強くない、鍛冶師として中堅くらいだと言っている。
 俺としてはガイルが親切なプレイヤーだと思うし、これまで関わってきた知り合いの鍛冶師プレイヤー達とも違うし、今後も武器を作ってもらいたい。

「ガイル、また頼むよ」
「お前みたいなやつには俺も武器を作るのは大歓迎だ。またなユーマ」

 このゲームで初めてのフレンド登録をし、武器を買ってその場を離れた。
 
名前:鉄の片手剣
効果:攻撃力+5、筋力+1

名前:鉄の短剣
効果:攻撃力+4、敏捷+1

 武器の効果はそこまで強い訳では無いし、この短剣と今まで使ってた短剣を比べても、能力が上がるのは攻撃力+1ぐらいだが、ガイルとの出会いや今後のことを考えるといい買い物だったと言えよう。

 お金は最初に3,000G持っていて、今は2,000Gになってしまったが、インベントリに入っている素材を売ればすぐ返ってくる。

「クゥ」
「すまんすまん、すぐ行こうな」

 ウルに急かされたため、武器を眺めながらの考え事をやめて、片手剣を装備し冒険者ギルドへ向かう。

「ちょっと人が多いから抱えるぞ」
「クゥ」
 
 冒険者ギルドに着いたが、人が多いためウルを抱きかかえながら依頼掲示板の近くへ行き、依頼の確認をする。

常設依頼
内容:ウサギ肉5つの納品
報酬:100G
期限:なし

常設依頼
内容:薬草10本の納品
報酬:200G
期限:なし

納品依頼
内容:角ウサギの角5本の納品
報酬:300G
期限:5日間(必要数集まり次第依頼取り下げ)

 この3つの依頼は今すぐ受けられるので、早速依頼達成の報告をしにいく。

「こちら冒険者ギルド納品窓口です。納品依頼と納品物の確認をさせていただきます。どの依頼を受けられましたか?」
「この3つなんですけど、納品依頼の角ウサギの角の納品はまた依頼掲示板で依頼を受け直さないといけないですかね?」
「そうですね。常設依頼の納品に関しましては一度に複数回分の納品をしてもらって構わないのですが、それ以外の依頼では受け直しが必要になる可能性があります。今回の場合ですと、必要数の限られた依頼ですので、大変申し訳無いのですが何度も受け直していただく必要がございます。ですので常設依頼以外の依頼、特に納品数の限られた依頼では、一度にたくさんの納品物を持ってきていただくよりも、こまめに依頼達成の報告に来ていただき、確実に依頼を受け納品してもらうことをおすすめします」

 まぁ必要数集まり次第依頼取り下げとも書いてあるし、おいしい依頼なんだろうな。そういう依頼は他の人も受注したいだろうし。
 
 ただ1人1回までなんて制限もないから、今ある分は納品させてもらおう。

「分かりました。ではとりあえず今ある分をお願いします」

 そう言って薬草と角ウサギの角は1回分の納品をし、ウサギ肉は20回分、つまり100個納品した。

「か、確認しますので、少々お待ちください」

 これで2,500Gか。まだウサギ肉は50個ほど余ってるが、インベントリの空きもあるし時間も進まないため残しておこう。

「確認できましたので報酬をお受け取りください。ありがとうございました」

 そうして見送られたあと、依頼掲示板の近くで依頼を受け、同じ窓口に同じ依頼の達成報告を複数回行うのだった。

「……ありがとうございました。ちなみにまだ来られますか?」
「いえ、これで終わりです」

 窓口の人は何度もまだ来るのか確認してきたので、やっと終わって嬉しいのかもしれない。

「そうですか。急ぎではないのですが、ユーマ様に受けていただきたい依頼がありますので、受付の方までお願いします」
「あ、ハイ」

 どうやらこの事を言うために何度も聞いてきたらしい。変な勘違いしてごめんなさい。

「すみません。受けてほしい依頼があるので、受付の方に行くよう言われたのですが」
「確認しますのでお待ち下さい」

 奥に行ったと思えば、すぐ受付の人は帰ってきて

「確認できました。ユーマ様はこの短期間で多くの依頼を達成されており、特に問題行動も見られませんでした。よって冒険者ギルドとして信用できる冒険者と判断し、この2つの依頼の中から1つを選んで受けていただきます」
「ありがとうございます。内容を確認させてもらいますね」

指名依頼
内容:アポルの実5つの納品
報酬:1,000G
期限:2日間

指名依頼
内容:レッサーウルフ5体の討伐
報酬:1,000G
期限:2日間

上の依頼はすぐに達成出来るけど、それだと面白みがないし下の依頼にするか。

「じゃあ2つ目のレッサーウルフ討伐の方でお願いします」
「かしこまりました。今表示されている依頼掲示板の依頼よりも難易度が高めとなっておりますので、十分に事前準備はされますようよろしくお願いします」
「ちなみにアポルの実の納品依頼は受けられますか?」
「いえ、両方の依頼をしていただかなくても大丈夫です。もう1つの依頼は他の方に依頼させていただくので、ユーマ様は討伐依頼に注力していただければ助かります」
「あの、ちょっと言いにくいんですけど、アポルの実をもう持ってまして」
「!?」
「すみません。こういう時はすぐに達成できる依頼を選ぶほうが良かったですかね?」
「いえ、どの依頼を受けるかは自由にしていただいて大丈夫です。こちらこそ取り乱してしまい申し訳ございませんでした」

 なんか受付の人を困らせてしまったみたいで申し訳ないな。

「じゃあこの場合はアポルの実の納品も出来るんですか?」
「そうですね。この場でお渡しいただければ、報酬もお支払いさせていただきます。しかし、先程受注された依頼は達成していただかないといけないのですが、よろしいですか?」
「全然大丈夫です。じゃあお願いします」

 そう言ってここでアポルの実を納品し、依頼を達成した。

「指名依頼なので、達成報告はまたこちらにお願いいたします」

 受付の人に、どの辺りにレッサーウルフが出やすいのかを聞き、俺達は冒険者ギルドを出た。


 
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