最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル

文字の大きさ
140 / 214

第129話

しおりを挟む
「まぁ全員残るよね」
「ユーマっちのクラン楽しそう」
「僕はアヤりんが居てよかったっす」
「あたいはこんな設備が整った場所を使えるようになるなら、多少変なクランでも入ってただろうね」
「わたくしは皆様と一緒に入ることが出来たらと思っていたので、とても嬉しいですわ」
「うち、本当にユーマさんのクランに入れる!」
「まだ私達全員が入れるって決まったわけじゃないでしょ」

 いや、もう全員入ってもらって良いと俺は思ってます。

「う、うん、じゃあうちのクランのサブリーダー、ガイルにも話をしてもらおうかな?」
「あっ? お、俺?」
「サブリーダー! うちはアリスです。絶対に幸福なる種族の皆様の力になります!」
「あ、あぁ」
「ガイルから何かない? サブリーダーだからガイルの名前を呼んだけど、メイちゃんも言いたいことあったら言っていいよ」
「じゃ、じゃあ私からひとつだけ」
「お、なんだろう?」

 メイちゃんに話は振ったが、まさか話してくれるとは思わなかった。

「たぶん、私達のクランはユーマさんが物凄く凄くて、めちゃくちゃ凄くて、本当に凄いんです」
「おお! うちもそう思っていましたが、メーちゃんさんもそう思いますか!」
「はい。でも、ユーマさんがやりたいことに全部従うだけのクランじゃたぶん駄目で、もっと自由に活動するのがユーマさんが望んでることなんじゃないかなって」
「私はあまりメイのことを知らないけど、メイは何か個人で活動しているの?」
「いえ、そうじゃないです。むしろガイルさんにもユーマさんにも助けられてばっかりで」
「そうなのね」
「でも、ユーマさんもガイルさんも私のお手伝いとか、私がコネファンを今以上に楽しめるようにしてくれたり、凄く優しいんです。そして私のお手伝いをしてくれてる時が、勘違いだったら恥ずかしいですけど、2人ともなんだか楽しそうで、余計に頼っちゃうんですよね。だから、迷惑はあんまりかけたくないですけど、遠慮するよりは色々頼る方が皆が楽しくなるのかなって。そ、それだけです!」

 そう言ってメイちゃんは黙ってしまった。

「まぁ恥ずかしい話、頼られるのは俺も嬉しいかな。ただ頼られるだけじゃなくて、一緒に何か成長していく感覚があると楽しいのかも。俺は色んな素材をガイルとメイちゃんに渡して、次会う時はどうなってるのかなって楽しみだったし。現にガイル曰く今俺達のクランが装備では最先端らしいからね」
「そ、そうなのか? クランに入ったらあたいにも教えて欲しい!」
「あと、メイちゃんは自分ばっかり助けられたって言ってたけど、俺もメイちゃんにゴーレムを作ってもらったから。それにガイルは俺がコネファンの中で出来た初めてのフレンドで、一番最初お金が無かった時に、良い短剣を売ってくれたんだよ」
「店売りの方が良いって言ったがな」
「そういう気遣いも含めて俺達は結構助け合ってきたから。あとガイルはメイちゃんにコネファンの遊び方を教えてるだけでも十分でしょ? 初心者のメイちゃんがここまで出来るようになったのは、ほぼガイルのおかげでしょ」
「……」

 そう俺が言うと、メイちゃんだけでなくガイルも黙ってしまった。

「なるほど、私は今の話を聞いて余計に入りたくなった」
「もぐるも」
「僕もっす!」
「わたくしもです」
「あたいもだな」
「うちは最初からずっと入りたいです!」

 そう言ってくれるなら皆に入ってもらうか。

「じゃあここにいる全員、クラン『幸福なる種族』へ加入ってことで! 皆これからよろしく」
「うち、ゔぢ、ゆーまざんど、おなじぐらんにぃ、ゔぅぅ」
「泣いちゃった」
「まぁアリスは長いからね。泣いちゃうのも仕方ないかも」

 しばらくアリスさんが泣いていたが、このあと帝国領前のボスを倒しに行く予定があるということで、すぐ皆は出ていった。

「一気に6人増えたな」
「しかも全員配信者だぞ」
「私夢みたいです!」
「まだ他の配信者にここを紹介するみたいなこと言ってなかったか?」
「アリスさん達の家にまだ4人以上は女性配信者が住んでるって聞いた」
「ってことは後4人は少なくとも面接に来るのか」
「それは分からないけどね。他のクランに入ってる人もいるかもしれないし」

 とにかくこれでクランメンバーは9人、クランとしての人数はまだまだ少ないけど、ちょっとクランらしくなってきた。

「これ、第2陣のプレイヤーはどう誘う? 配信者が居るってなったらそれ目当てで入りたい奴が絶対出てくるぞ」
「まぁそこは追々考えよう。最悪ウル達に面接してもらって」
「クゥ!」「アウ!」「……!」「コン!」
「それは厳しい面接だな」
「でしょ?」
「私も配信者になる方が良いですかね?」
「まぁコネファンが出来てるならアカウントさえ作ればいつでも配信は出来るしな。こんな機会二度とないだろうし、やってみたら良いんじゃないか?」
「そういうガイルは?」
「俺は……俺も始めてみるか?」

 ガイルはこういうのをあまりしないタイプに見えたが、皆やってるならということで配信を始める腰も軽くなったか。

「そうなると幸福なる種族は全員配信者になるね」
「ユーマは違うだろ」
「配信も過去にしたことはあるよ。ただ、最前線攻略組はいつも配信してたら全部の攻略を見せることになるから、動画にしないと駄目だったんだよね」
「なるほどな」
「今も珍しいことが結構起きてるし、配信してると全部知られちゃうのはちょっと嫌かな」
「まぁそれもそうか。とにかくここは各々好きにやれば良いクランだしな」

 ガイル達と話していると、随分長い時間ここに居たことに気付く。

「じゃあ俺はこの辺で」
「おう」
「また!」

 こうして俺は本日何度目かの工房をあとにする。

「第2陣が来たら行けなくなるだろうし、一旦グーさん連れて東の街にでも行ってみるか? 焼き魚じゃなくて生魚もゴーさんは欲しいだろうし」
「クゥ」「アウ」「……!」「コン」

 というわけで一度ゴーさんにグーさんを貸してもらうため、家へと帰ってきた。

「グーさん連れてって良い? もうグーさんに色々説明とか終わった?」
「ゴゴ」
「ありがとう、じゃあグーさん貸してもらうね」
「ゴゴ」
「行こっかグーさん」
「ググ」

 こうしてグーさんを連れ出すが、外から見ても俺かゴーさんの近くに居ないとグーさんが動けないとは分からないだろう。
 俺達の護衛をグーさんがしているような感じに見えるが、本当は俺の近くに居ないと動けないだけだし、そもそももっと離れててもグーさんは大丈夫なのだが、出来るだけ近い距離に居ようとするのは可愛い。

「よし、グーさんもクリスタル使えたな」
「ググ」

 パーティメンバーにグーさんを入れることは出来たが、ステータスは見れない。

「ゴーさんと違ってパーティーに入れることはできたけど、やっぱりグーさんのステータスは見れないや」
「ググ」

 まぁそれはいい。とにかく俺はグーさんが作られる時に使われた心得本の効果があるのかを知りたかった。

「グーさん、まずは釣りをしようか」
「ググ」

 東の街に来たのだが、前に来た時より人が少ない。もっと奥の方に良い釣りポイントがあるのか、前はこの辺で釣りをしていた人が多かったのに、もう今はほぼ居ない。

「じゃあグーさんお願いね」
「ググ!」

 グーさんは初めてだろうに、慣れた様子で釣りを始める。

「ググ」
「え、もう?」
「ググ」
「また?」
「ググ」
「分かったもう良いありがとう」
「ググ」

 どうやら釣りの心得本の効果はちゃんとグーさんにあるらしい。

「てことは採掘も採石も採取も、グーさんを連れていけば解決するのか」
「ググ」
「となると俺は今サポーターをパーティーメンバーとして入れてるような感じなのかな」

 あとはグーさんの戦闘能力も見ておきたいが、折角なら冒険者ギルドで依頼は受けておきたい。

「お、あった」

 俺は前と同じく常設依頼のゴミ拾いの依頼を受けて、モニカさんが住んでいた小屋の方向へと進み海岸沿いを歩く。

「ググ」
「普通に強いし、この辺の相手だと余裕だな」
「ググ」

 ゴーさんが生み出してしまったこのグーさんというゴーレムは、一体どこまで出来てしまうんだろう。

「よし、街まで帰るか」
「クゥ」「アウ」「……!」「コン」「ググ」

 そしてまた冒険者ギルドへと帰ってきたのだが、依頼達成のために窓口へ行くと、あっちから声をかけられる。

「以前ゴミ拾いをしてくれた方ですよね?」
「え、はい、そうですけど」
「あの時はありがとうございました。今回もゴミ拾いをしていただいて」
「いえ、俺は依頼をしただけで」
「最近は遠くへ釣りをされに行かれる方が多いので、ついでにゴミ拾いの依頼を受けてくださる方も多くなりました」
「あ、そうなんですね。それは良かったです」

 前はモニカさんを待たせたらいけないと思って、話もあんまり聞かずにすぐ出てしまったから、今回はその時の反省も込めて話を聞くことにする。

「いやぁ、プレイヤー様にゴミ拾いを受けてもらえて、冒険者ギルドとしてはこのような依頼を出していて良かったと思います」
「まぁこの街に住んでる人がゴミを捨てなくても、違う場所から流れてくるゴミもありますからね」
「そうなんですよ! なのでこの街でゴミを捨てないように呼びかけることも必要ですが、その呼びかけで全員がゴミを道や海に捨てなくなったとしても、海岸沿いにあるゴミを集めてもらうこの依頼を取り下げることなど出来ないのです!」
「そ、そうですよね」

 こうして俺は東の街の冒険者ギルドで、窓口の方からゴミについての話を次の依頼達成の冒険者が来るまで続けるのだった。

 
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

俺の職業は【トラップ・マスター】。ダンジョンを経験値工場に作り変えたら、俺一人のせいでサーバー全体のレベルがインフレした件

夏見ナイ
SF
現実世界でシステムエンジニアとして働く神代蓮。彼が効率を求めVRMMORPG「エリュシオン・オンライン」で選んだのは、誰にも見向きもされない不遇職【トラップ・マスター】だった。 周囲の冷笑をよそに、蓮はプログラミング知識を応用してトラップを自動連携させる画期的な戦術を開発。さらに誰も見向きもしないダンジョンを丸ごと買い取り、24時間稼働の「全自動経験値工場」へと作り変えてしまう。 結果、彼のレベルと資産は異常な速度で膨れ上がり、サーバーの経済とランキングをたった一人で崩壊させた。この事態を危険視した最強ギルドは、彼のダンジョンに狙いを定める。これは、知恵と工夫で世界の常識を覆す、一人の男の伝説の始まり。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

【完結】VRMMOでスライム100万匹倒して最強になった僕は経験値で殴るゲームやってます

鳥山正人
ファンタジー
検証が大好きな主人公、三上ハヤト。 このゲームではブロンズ称号、シルバー称号、ゴールド称号が確認されている。 それ以上の称号があるかもしれないと思い、スライムを100万匹倒したらプラチナ称号を手に入れた主人公。 その称号効果はスライム種族特効効果。 そこからは定番の経験値スライムを倒して最強への道かと思ったら・・・ このゲームは経験値を分け与える事が出来て、売買出来るゲーム。 主人公は経験値でモンスターを殴ります。 ────── 自筆です。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。 ─────── 自筆です。 アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした

むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~ Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。

ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー

びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。 理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。 今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。 ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』 計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る! この物語はフィクションです。 ※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

処理中です...