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3.霧、もしくは雨、もしくは…
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嘘だろ…死ぬほどこっちは変な事に巻き込まれて疲れてるのに…
くるりと体制を変えてみる。数回、数分置きに繰り返して気付けばもっと疲れていた。ただ眠気は来ないまま、慣れぬぬくもりと匂いに包まれている。
何だか色々と馬鹿馬鹿しくなってきた紫ヶ崎は、じ、と天井を見つめて夜を過ごすことにした。ここでいつもの彼ならば古びたアパート特有の天井のシミでも数えていたことだろう。
しかし隅々まで清掃の行き届いた、高級マンションの最上階であるミースの部屋にそんなものはない。
結局その晩は、一睡も出来なかった。
空が白んで暫く経った頃───大体5時頃だろうか。控えめなノックが聞こえはい、と返せば部屋の扉が開いた。
「まさかと思ったけどやっぱり起きてたんだね、朝が早いのか…それとも眠れなかったかな」
ミースの眉が八の字になる。こういう顔をされた時、どうすればいいか分からない。分かりたくもない。
「……別に、寝ても眠れなくても生活には支障はないです。というか今まで無いんで」
そう言うとまた一段と困ったような顔になってしまった。
「ありゃ、眠れなかったんだね…朝食、置いてあるから食べてね。薬も忘れないこと。俺はこれから仕事だから…紫ヶ崎君も、出来れば寝ててほしいな」
「ええ、まあ…はい」
ミースが来たからといって身体を起こすというわけでもなく、横になったまま曖昧な返事をする。
「首輪はもう少し元気になってから買いに行こうね」
「だから要りませんって」
全く、執拗いな。
「ふふ、残念。でも服は必要だから今度買いに行こうね」
正直服もそこまで要らない気がするが。
しかし服に関しては首輪と違い行かないことには出来なさそうな雰囲気を感じる。
「………先に言っておきますがペットになる気も無ければ着せ替え人形になる気もございませんから」
「分かっているよ。俺が勝手に楽しみにしてるだけだから。…それじゃあね、ゆっくり休むんだよ?」
その言葉にただこくり、と頷くと満足気に笑って去っていった。少しして静かになった空間に玄関の扉が閉まる音が響く。
「はぁぁぁ…」
これで、もう少し落ち着けるようになった。
強ばっていた身体から力が抜けた。
毛布の上に寝転ぶ己と、2メートル超の人外。当たり前に見上げる形になってしまう。そうなるのは…その光景は凄く苦手だ、思い出して治療された筈の傷が疼くから。
今も、執拗く狙われた腹に手を添えていた。
いつまでも慣れず、無になることも出来ない己にほとほと苛ついている。
毛布を乱暴に投げつけゲージを出た。僅かにしか上がらない骨のような足を見て、これもまた柵に鍵がついていればあの男が居ないと出られないのだろうと思うと唇を噛み締めてしまう。
くるりと体制を変えてみる。数回、数分置きに繰り返して気付けばもっと疲れていた。ただ眠気は来ないまま、慣れぬぬくもりと匂いに包まれている。
何だか色々と馬鹿馬鹿しくなってきた紫ヶ崎は、じ、と天井を見つめて夜を過ごすことにした。ここでいつもの彼ならば古びたアパート特有の天井のシミでも数えていたことだろう。
しかし隅々まで清掃の行き届いた、高級マンションの最上階であるミースの部屋にそんなものはない。
結局その晩は、一睡も出来なかった。
空が白んで暫く経った頃───大体5時頃だろうか。控えめなノックが聞こえはい、と返せば部屋の扉が開いた。
「まさかと思ったけどやっぱり起きてたんだね、朝が早いのか…それとも眠れなかったかな」
ミースの眉が八の字になる。こういう顔をされた時、どうすればいいか分からない。分かりたくもない。
「……別に、寝ても眠れなくても生活には支障はないです。というか今まで無いんで」
そう言うとまた一段と困ったような顔になってしまった。
「ありゃ、眠れなかったんだね…朝食、置いてあるから食べてね。薬も忘れないこと。俺はこれから仕事だから…紫ヶ崎君も、出来れば寝ててほしいな」
「ええ、まあ…はい」
ミースが来たからといって身体を起こすというわけでもなく、横になったまま曖昧な返事をする。
「首輪はもう少し元気になってから買いに行こうね」
「だから要りませんって」
全く、執拗いな。
「ふふ、残念。でも服は必要だから今度買いに行こうね」
正直服もそこまで要らない気がするが。
しかし服に関しては首輪と違い行かないことには出来なさそうな雰囲気を感じる。
「………先に言っておきますがペットになる気も無ければ着せ替え人形になる気もございませんから」
「分かっているよ。俺が勝手に楽しみにしてるだけだから。…それじゃあね、ゆっくり休むんだよ?」
その言葉にただこくり、と頷くと満足気に笑って去っていった。少しして静かになった空間に玄関の扉が閉まる音が響く。
「はぁぁぁ…」
これで、もう少し落ち着けるようになった。
強ばっていた身体から力が抜けた。
毛布の上に寝転ぶ己と、2メートル超の人外。当たり前に見上げる形になってしまう。そうなるのは…その光景は凄く苦手だ、思い出して治療された筈の傷が疼くから。
今も、執拗く狙われた腹に手を添えていた。
いつまでも慣れず、無になることも出来ない己にほとほと苛ついている。
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