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3.霧、もしくは雨、もしくは…
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「あっ、ていうか髪濡れたままじゃないの!」
おいおい今度はなんだよ
「駄目でしょ~?ちゃんと拭いてこないと。説明した時もお風呂の後風邪引くから髪ちゃんと乾かそ…って、ハッ……これは、俺に乾かして欲しいっていう紫ヶ崎君の遠回しなお願い…!?」
「勘違いしないでください?」
思考が突飛すぎて反応が遅れてしまった。何を言っているんだ此奴は。
「滴らない程度には拭いてきたんだからいいでしょう…床もパジャマも濡れてません」
そして早く部屋に戻って1人になりたい。
今は脱衣場、風呂場へと続く扉とミースに紫ヶ崎が挟まれているといった状況だ。つまりこのデカブツを退かさないと部屋に戻れない。
「部屋に、戻りたいんですけど」
「髪乾かすまで行かせないからね」
いつの間にか脱衣場にあったはずの何かをビシッと指差すミース。
参ったな
「……………それ、使ったことないんですけど」
てか何それ?今関係あるやつ?
「…ドライヤーを?」
「あそれどらいやーっていうんですね」
「"ドライヤーっていうんですね"!?」
聞いたことはある。髪を乾かすものだと。ただ見た事は無かった。
「紫ヶ崎君…ソファーに座って。俺が乾かすから」
「だからいいです、って…ぁ、ハイ、座ります」
執拗いとミースの方を向いて確り伝えようとした。しかし些かこの世界にある言葉では説明し難い顔をしていたので、大人しく、仕方なく従うことにする。
ソファーに身体が柔く沈み込む慣れない感覚。金持ちクオリティ…などとどうでもいい事を考えた直後、後方から生温い風を感じた。
驚いて肩が跳ねてしまい、温風の隙間から小さな笑い声が聞こえた。
「…なんですか」
「いやあ本当に。捨てられて長い猫を拾って世話をしているような気分だ、と」
たのしげな声だ、腹が立つ。
「はあ。何度でも言いますが、僕は犬猫のような小動物ではなく人間です」
「ん?ドライヤーの風の音で聞こえないな~」
は?
「この趣味激悪デカブツ」
「誰が趣味激悪デカブツだって?」
都合のいい耳をお持ちのようで!
「…」
もう黙っておくことにした。
無意味で無駄でただそれだけの他者との会話。家に帰りたいなどとほざけばまた奴が何か言うので先程から口に出してはいないが、目が覚めてから、ご飯を食べて吐いて着替えて銀行に寄ってそれからもずっと。
早く日常に戻りたいと願っている。切望している。
時々触れる他人の手が、ドライヤーの風で髪が首筋に当たるこの感じが。何日続くのか。
「…おーい、紫ヶ崎君。終わったよ?ご飯だからこっちおいで」
「どうも。…ありがとうございます」
次からは、自分で乾かすか。触れられるのは好きじゃない。昔も今もこれからも。
おいおい今度はなんだよ
「駄目でしょ~?ちゃんと拭いてこないと。説明した時もお風呂の後風邪引くから髪ちゃんと乾かそ…って、ハッ……これは、俺に乾かして欲しいっていう紫ヶ崎君の遠回しなお願い…!?」
「勘違いしないでください?」
思考が突飛すぎて反応が遅れてしまった。何を言っているんだ此奴は。
「滴らない程度には拭いてきたんだからいいでしょう…床もパジャマも濡れてません」
そして早く部屋に戻って1人になりたい。
今は脱衣場、風呂場へと続く扉とミースに紫ヶ崎が挟まれているといった状況だ。つまりこのデカブツを退かさないと部屋に戻れない。
「部屋に、戻りたいんですけど」
「髪乾かすまで行かせないからね」
いつの間にか脱衣場にあったはずの何かをビシッと指差すミース。
参ったな
「……………それ、使ったことないんですけど」
てか何それ?今関係あるやつ?
「…ドライヤーを?」
「あそれどらいやーっていうんですね」
「"ドライヤーっていうんですね"!?」
聞いたことはある。髪を乾かすものだと。ただ見た事は無かった。
「紫ヶ崎君…ソファーに座って。俺が乾かすから」
「だからいいです、って…ぁ、ハイ、座ります」
執拗いとミースの方を向いて確り伝えようとした。しかし些かこの世界にある言葉では説明し難い顔をしていたので、大人しく、仕方なく従うことにする。
ソファーに身体が柔く沈み込む慣れない感覚。金持ちクオリティ…などとどうでもいい事を考えた直後、後方から生温い風を感じた。
驚いて肩が跳ねてしまい、温風の隙間から小さな笑い声が聞こえた。
「…なんですか」
「いやあ本当に。捨てられて長い猫を拾って世話をしているような気分だ、と」
たのしげな声だ、腹が立つ。
「はあ。何度でも言いますが、僕は犬猫のような小動物ではなく人間です」
「ん?ドライヤーの風の音で聞こえないな~」
は?
「この趣味激悪デカブツ」
「誰が趣味激悪デカブツだって?」
都合のいい耳をお持ちのようで!
「…」
もう黙っておくことにした。
無意味で無駄でただそれだけの他者との会話。家に帰りたいなどとほざけばまた奴が何か言うので先程から口に出してはいないが、目が覚めてから、ご飯を食べて吐いて着替えて銀行に寄ってそれからもずっと。
早く日常に戻りたいと願っている。切望している。
時々触れる他人の手が、ドライヤーの風で髪が首筋に当たるこの感じが。何日続くのか。
「…おーい、紫ヶ崎君。終わったよ?ご飯だからこっちおいで」
「どうも。…ありがとうございます」
次からは、自分で乾かすか。触れられるのは好きじゃない。昔も今もこれからも。
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