滅びゆく王国と平等の国を築く王女

第６話：贅沢の味

朝の陽光がエヴリン王女の私室の大きな窓から差し込み、豪華な部屋を黄金の光で包み込んだ。

焼きたてのパン、ジュージューと焼けるソーセージ、甘いタルトの香りが部屋中に広がり、メイドが豪華な朝食を飾り立てたダイニングテーブルに丁寧に並べていた。

エヴリンはテーブルの上座に優雅に座り、三人の男たちに合流するよう手招きした。

「好きなだけ食べて」
彼女は優しい微笑みを浮かべながら言った。
「これからの旅に力が必要だもの」

アデム、マリク、ジャヒは最初ためらったが、王族の私室で食事をするという非現実的な状況に少しずつ慣れていき、空腹が勝り、すぐに席に着いた。

彼らの前に並べられた皿には、黄金色に焼けたソーセージ、バターがたっぷり塗られた新鮮なパン、繊細なフルーツタルト、そして柔らかいチーズが盛り付けられていた。

別のトレイにはさまざまなパン菓子と、葡萄やベリーがたっぷり入ったクリスタルのボウルが置かれていた。

ジャヒは慎重にソーセージを一口食べ、目を丸くした。
「うわ…これ、うまい。」

マリクはすでに二切れ目のパンを食べながら、うなずいた。
「こんな味は初めてだ。白人の食べ物は思ってたよりうまいな」

アデムは考え深げに噛みしめ、味の豊かさを堪能していた。
「オレたちの故郷では、食べ物はただ生きるためのものだった。これは…まったく別物だ」

エヴリンは優しく微笑んだ。
「食べ物はただの栄養以上のものだと思う。温かさや安らぎ、喜びをもたらすもの。誰もが、どこから来たかに関係なく、美味しいものを食べるべきだ」

ジャヒは鼻で笑った。
「もし王国がそう思ってくれてたらな」

エヴリンの表情は一瞬暗くなったが、すぐに平静を取り戻した。
「だからこそ、私は変えなければならないのね」

男たちは食事を続け、貴族にふさわしい食事という珍しい贅沢を味わった。
ソーセージの濃厚で風味豊かな味、パンの柔らかさ、タルトの甘さは、彼らがこれまでに知っていたものとはまったく違っていた。

食事を終えると、王女はメイドにテーブルを片付けるよう呼びかけた。
「出発の準備をしよう。早く出発するに越したことはない」

しばらくして、目立たないように旅用のマントを身にまとった一行は、宮殿の秘密の通路を通り抜け、王室の厩舎へと向かった。

そこには、長旅に備えて整えられた馬車が待ち構えていた。

馬車に乗り込む際、アデムは背後にそびえる城を最後に一目見た。

彼はまだエヴリンのビジョンを完全に信じているわけではなかったが、彼女の隣に座り、彼女の決意の重みを感じながら、一つのことに気づいた——王国を信じているかどうかは別として、彼は彼女を信じている。

手綱を引くと、馬車は動き出した。ルシャール侯爵の領地への旅が始まった。