滅びゆく王国と平等の国を築く王女

第２６話：暗闇の中の希望

二人の黒人の男達、アデムとジャヒが町へ向かう前に、ルシャールは彼らを領地内の私室に呼び出した。

彼らが温かく照らされた部屋に入ると、驚くべき光景が目に入った——彼らが以前ちらりと見かけた異人種のカップルがそこにいた。

その黒人の男、ダリアンは、かつて奴隷だった。

彼の黒い肌は、隣に立つ美しい若いメイド、ジエネビエーブの白い磁器のような肌と対照的だった。

彼女の金色の巻き毛は肩にかかり、二人はしっかりと手を握り合い、指を絡めていた。まるで、もう二度と離れないと誓ったかのようだった。

「こちらはダリアンだ」
ルシャールは黒人の男を指差して紹介した。

「そして、こちらはジエネビエーブ」
彼はメイドに向かってうなずいた。

二人の黒人の男たちは、そんなカップルを見てまだ驚いていたが、互いに視線を交わした。

そのうちの一人、アデムが前に出た。
「前に窓からあんた達を見かけたけど…実際に会えるとは思ってなかった」

ダリアンは微笑んだ。
「ボクらも君らに会いたかったんだね。君らは王女のために、そしてボクらの自由のために戦っている。それはボクとボクの愛しきジエネのためでもある」

ジエネビエーブはダリアンの手を握りしめた。
「その通りよ。あたしはこの領地のメイドだけど、ダリアンを愛するに値しない人間だなんて思っていない。あたしたちは、自分たちのような人々が隠れる必要がなく、黒人の男性と白人の女性が公然と愛し合える日を夢見てきたの」

一人の黒人の男、ジャヒは腕を組んだ。
「キミ達…本当に愛し合ってるんだねー？」

ジエネビエーブは赤面したが、頭を高く掲げた。
「ええ。そして、あたしたちは結婚するつもりよ」

「いつ？」アデムが尋ねた。

ジエネビエーブはダリアンを見つめ、彼はうなずいた。
「王女様が戦争に勝った後だよ」
彼はしっかりと言った。

「奴隷制度が廃止され、王国が王女様の統治の下で生まれ変わったら、ボクらは新しい世界の前で自由に結ばれることを宣言しよう」

最初から王女と共にあると誓った二人の黒人の男、アデムとジャヒが二人してはしばらく黙り込むと、彼らの言葉の重みをかみしめた。

そんな愛が可能な未来…誰も隠れる必要のない未来。

それは強力なビジョンで、彼らの心の奥深くに何かをかき立てた。

ジャヒはついにうなずいた。
「じゃあ、僕たちはその未来を実現させる手伝いしてあげるねー？町に行って、言葉を広め、人々を僕たちの側につけるよー！」

アデムは笑みを浮かべた。
「そして、オレたちが戻ってきたら、結婚式の招待状を期待してるぜ」

ダリアンとジエネビエーブは笑い、その顔には希望が満ちていた。

「じゃあ、行け」
ルシャールは前に出て言った。
「王国は自分から変わりませんぞ。君たちが人々の心に反乱の火を灯さなければなりません」

二人の黒人の男たちはドアに向き直り、その任務を明確にした。

今こそ、庶民を奮い立たせる時だ。