滅びゆく王国と平等の国を築く王女

王族好きな鳥ちゃん

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第39話:新女王の誕生

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戦場への大行進を三日後に控えたある日、エヴリン新女王とマリクは、モンテクレールの首都、『モンテ・クレスタラ』の賑やかな中心部を歩いていた。

彼らには少数の騎士たちが護衛として付き従っていた。

その目的は?彼女が正当な王座に就く日にふさわしいドレスを見つけることだ。

彼らはモンテ・クレスタラで最も優れた仕立て屋、「メゾン・ベルクール」に到着した。

ここは王族や最高位の貴族だけが衣装を作る場所で、壁には豪華な生地が飾られ、エルフの魔法道具に見えるクリスタルのシャンデリアの光にきらめいていた。

深い青のシルクを身にまとった優雅な年配の女性である首席仕立て屋がお辞儀をした。
「新女王陛下、ご来店いただき光栄です。本日はどのようなお仕立てをなさいますか?」

エヴリンは微笑んだ。
「女王にふさわしいものを。新たな時代の夜明けのように輝くドレスを」

そして、制作が始まった。

数時間後、マリクは広いドレスルームの外で、仕立て屋たちが最後の調整を終えるのを辛抱強く待っていた。

その時、カーテンが開かれた。

マリクの息が止まった。

そこに立っていたのはー!

エヴリン陛下は、威厳と優雅さを象徴する真紅の王衣をまとっていた。

そのドレスには金色の炎と百合の模様が刺繍され、彼女の不屈の意志を表していた。肩からは雲のように柔らかいシルクで裏打ちされた金色のケープが流れ、頭には深紅の宝石が散りばめられた輝くティアラが乗っていた。

そして、最後の仕上げは?

彼女は手に金色の王族用の笏を持っていた。
その先端には不死鳥の彫刻が施されていた——再生の象徴だ。

マリクは息を飲んだ。

「陛下は…」
彼は言葉を探しながら息を吐いた。

「…本当に神々しい」

エヴリンの頬に薄い赤みが差したが、彼女はすぐにいつもの威厳ある冷静さを取り戻した。

ちょうど最終的な仕上がりを確認するために到着したモンテクレール公爵は、声を上げて驚いた。

「神よ…もしこれまで君の統治を疑う者がいたとしても、この姿を見れば、彼らは本能的にひざまずくでしょう!」

マリクはくすくす笑い、公爵を軽く肘で突いた。
「彼女を怒らせないようにしないと、俺たちは終わりだな」

モンテクレールは少し汗をかき、顎を撫でた。
「確かに。彼女に粋に処刑されかねない」

エヴリンは目を丸くした。
「聞こえてるわよ」

マリクは笑みを浮かべた。
「よかった。じゃあ、俺たちが本気だってわかってるな」

その後、高貴なる王族に相応しい王衣を身に纏う新女王陛下であるエブリンはマリクと公爵に伴われながら、仕立て屋を後にしたのだった。

.............

そして、優雅さと力のトレーニングも一セットでー!

その日の後半、公爵の広大な訓練場で、マリクとモンテクレール公爵は新女王の戦闘訓練を見学することにした。

彼らが見たものは、二人を冷や汗たらしにした。

そこには、真紅の王衣をまとい、金色のケープが風になびき、白く輝くタイツを履き、金色のティアラを頭に乗せたエヴリンがいた。

そして、彼女は訓練用の備品を完全に破壊していた。

バン!

彼女の鋭い金色のハイヒールが強化されたパンチングバッグに直撃し、厚い革を引き裂き、部屋の向こう側に飛ばした。

バキッ!

彼女の剃刀のように鋭い金色のハイヒールによる見事な回し蹴りが、木製の訓練用ダミーを粉砕し、破片を飛び散らせた。

マリクとモンテクレールは互いを見つめ、冷や汗をかいた。

モンテクレールは囁いた。
「…あの靴で人を殺せるな」

マリクはゆっくりとうなずいた。
「もう殺したよ。前のホモンクルスだけじゃなく、あのダミーにも家族がいたんだよ」
半ば冗談にそう言ったマリク。

エヴリンは振り返り、腰に手を当てて笑みを浮かべた。
「二人とも、幽霊でも見たような顔してるわね」

モンテクレールは咳払いをし、無理やり笑いを浮かべた。
「ああ、何でもありませんよ、陛下!ただ…その、トレーニングへの熱意に感心しているだけですね!そうです、ガははっ!~」

マリクはまだダミーの残骸を見つめながら、呟いた。
「陛下を怒らせないようにするのをいつでも覚えさせてくれ」

エヴリンはただ笑みを浮かべ、金色の髪を優雅になびかせた。
「それは賢明ね」

......

平和な夜も:

モンテクレールの屋敷に日が沈む頃、マリクとエブリン陛下は最後の平和な夜を共有した。
彼らはもうすぐ戦場への行進が始まることを知っていた。

そして、勝利の日には、彼女は真紅と金色に身を包んだ女王として立つだろう——新たな時代の象徴として。

公爵の屋敷のヴェランダにて、エヴリンはマリクに目を向け、声を柔らかくして言った。
「マリク、あなたは私にとってとても大切な存在よ。この戦いが終わったら、私が統治することになる新しい王国で私と共に生きよう?私の...専属の...近衛騎士団長として仕えるの」

心なしか、その『近衛騎士団長』という言葉を口にしたエブリンからは何か躊躇いのようなものも感じられた。
まるで、...主従関係以外のもっと親しい間柄を望むかのような切ない表情で......

マリクは彼女の目を見つめ、微笑んだ。
「陛下が望むなら、どこまでも付いていくよ。でも、一つだけ約束してくれ」

「何?」

「陛下自身の今までの自分を忘れないでくれ。たとえ女王になっていても、君はエヴリンだ。その心を失わないでほしい」

彼女は深く頷き、彼の手を握った。
「約束するわ。あなたがいてくれるから、私は強くなれるの」

二人は静かに夜の空を見上げ、迫りくる戦いの重さと、彼らが背負う責任を感じていた。

しかし、彼らは孤独ではなかった。互いの存在が、暗闇の中に一筋の光をもたらしていた。

そして、彼らは新たな時代の夜明けを信じて、次の日を迎える準備をした。
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