滅びゆく王国と平等の国を築く王女

第４１話：闇の謀略、そして王太子の不安

王都、『フェルダラリア』の王城にて：


王都フェルダラリアの中心にそびえる巨大な城の最上階、王座の間は静まり返っていた。

通常ならば衛兵や廷臣たちで賑わうこの場所だが、今はただ二人だけが残されていた。
国王ヴァルデンと王太子フレデリックだ。

重厚な扉が閉ざされ、外からの光はほとんど入ってこない。
部屋にはろうそくの灯りだけが揺らめき、二人の影を壁に映し出していた。

ヴァルデン王は王座に深く腰を下ろし、鋭い目で息子を見つめた。
「フレデリック、我が息子よ。我々の計画は順調か？」

フレデリックは父親の前に立ち、自信に満ちた笑みを浮かべた。
「父上、ご心配なく。すべては予定通り。三日後、あの忌まわしき『エブリク新女王軍』と自ら名乗った薄汚い反乱軍が戦場に現れるその日——それは我々にとって絶好の機会だ」

ヴァルデン王はゆっくりとうなずき、指で王座の肘掛けを叩いた。
「その日は、偶然にも冥界の門が最も強く開く日だ。我々はその力を利用し、彼らを一掃する」

冥界の悪魔召喚が始まった！

フレデリックは一歩前に出て、声を低くして続けた。

「父上、我々は冥界から最強の悪魔を召喚する。その力は、エヴリンとあの薄汚い黒ゴミとその精霊達を瞬く間に消し去るだろう。奴らの精霊など、悪魔の前では無力のはずだ」

ヴァルデン王は目を細め、冷酷な笑みを浮かべた。
「良い。我々の敵は、我々の手で滅ぼす。あやつが戦場に現れるその瞬間、悪魔を送り込み、希望を完全に打ち砕くのだ」

フレデリックは父親の言葉にうなずき、さらに詳細を説明した。
「召喚の儀式はすでに準備が整っている。我々の魔術師たちは、冥界の門を開くための呪文を完璧に習得したから。あとは、その日を待つだけだね」

ヴァルデン王はゆっくりと立ち上がり、窓の外を見つめた。
「我々の王国は長きにわたり、我々の血統によって統治されてきた。それを脅かす者たちは、たとえ我が娘であろうと、許すことはできない」

フレデリックは父親の横に立ち、同じく窓の外を見つめた。
「父上、ご安心ください。エヴリンとあの薄汚い黒い肌のゴミ共は、我々の手で屠る。そして、このフェルダリスカ王国の民は末永く我々の支配を受け入れるしかないだろう」

ヴァルデン王は静かに息を吐き、フレデリックに目を向けた。
「我が子よ、この計画が成功すれば、我々の力はさらに強固なものとなる。そして、我々の敵は二度と立ち上がれないだろう」

フレデリックは笑みを浮かべ、父親の言葉にうなずいた。
「その通りだ、父上。我々はこの機会を逃さない。三日後、妹と黒ゴミは冥界の悪魔を前にして滅ぼされるしか残されている運命がないと断言できる。『新王国エブリク』などという世迷言を演説でほざいた反乱軍の愚かな妹に相応しき鉄槌だ。だから悪魔を奴らに放つこそが私達の正義であり、大義なのだ！」

ヴァルデン王は再び王座に腰を下ろし、目を閉じた。
「その通りだ」

フレデリックは父親の前にひざまずき、忠誠を誓った。
「父上、私は必ずやこの任務を果たす。この王国のために、我々の血統のために」

...........

王座の間には再び静寂が訪れた。

ろうそくの灯りが揺らめき、二人の影が壁に長く伸びていた。

三日後、冥界の門が開くその日——エヴリンとマリクは、彼らが予期せぬ強大な敵に直面することになる。

そして、王国の運命は再び闇に包まれるのか、それとも新たな光が訪れるのか——その答えは、戦場で決まるだろう。

.....................


退散する前、フレデリックは父親に目を向け、少し不安げに尋ねた。
「父上、一つだけ気がかりがある。もし悪魔が我々の制御を超えて暴走した場合、どうすれば良いのだろうか？」

ヴァルデン王は冷たい笑みを浮かべ、ゆっくりと答えた。
「心配するな、我が息子よ。我々はすでにそのための術を用意している。悪魔が我々に牙を向けた瞬間、我々はそれを冥界に送り返す。我々の手で召喚したものは、我々の手で浄化し追い払うのだ」

フレデリックは父親の言葉に安堵の表情を浮かべた。
「父上のお言葉、心強い限りだ。では、我々はただ三日後を待つだけだね～」

ヴァルデン王はうなずき、再び目を閉じた。
「そうだ。我々の敵が戦場に現れるその日——それが我々の勝利の日となろう」

フレデリックは静かに部屋を後にし、計画の最終確認に向かった。
彼の心には、冷酷な決意と共に、わずかな不安が残っていた。

しかし、彼はそれを振り払い、父親の言葉を胸に刻んで、信じる！

「我々の敵は、我々の手で打ち滅ぼす」

その言葉を信じて、王族二人の親子は闇の計画を進めていった。