滅びゆく王国と平等の国を築く王女

第４３話：女王の夜想

夜は静かだったが、エヴリン新女王は目を覚ましたまま、公爵の屋敷にある豪華な天蓋付きのベッドに横たわっていた。月明かりが高いアーチ型の窓から差し込み、贅沢に装飾された部屋に柔らかな銀色の光を投げかけていた。

しかし、彼女の心は平穏からは程遠かった。

彼女の思いはマリクへと向かっていた。

最初、彼はただの自由な黒人男性で、有能な戦士であり、仲間でありながらも彼女の大義にとっての大切な『資産』に過ぎなかった。しかし、今は……

今や、彼はまったく別の存在になっていた。

彼女は横向きになり、天井を見つめながら、これまでに二人が共有したすべての瞬間を思い出していた——彼の揺るぎない支持、冷静な知恵、珍しいが本物の笑い。

彼女が育った上流階級の者たちとは違い、彼は彼女を対等に扱い、必要な時にはためらわずに彼女に挑戦した。

それは時々彼女を怒らせた。

しかし、今では彼女は気づいていた——それが彼女が最も大切にしていることでもあるのだと。

彼女は胸の上で金色のシーツを握りしめ、大胆な考えが心に浮かんだとき、心臓が高鳴った。

もし——この戦争が終わったら——彼女がマリクと結婚したらどうなるだろう？

彼女の頬が赤くなり、手で顔を覆った。

「神よ……私は何を考えているの？」

しかし、その考えは彼女から離れなかった。

貴族たちはそれを受け入れるだろうか？

いや、簡単にはいかないだろう。

たとえ彼女が女王として絶対的な権力を持っていたとしても、黒人男性が彼女の側に立つという考えは、貴族社会に衝撃を与えるに違いない。

しかし、彼女は彼らの偏見に屈することはない。

もしマリクが彼女の側に立つなら、彼にはふさわしい称号が必要だ。

彼の力と知恵に値する地位——しかし、彼女が依然として真の統治者であることを明確にするものだ。

彼女は唇を噛み、深く考え込んだ。

近衛騎士団長の座はまだ女王の下の地位だ。それだけじゃ足りない気がする。

おそらく、王国の歴史でこれまで使われたことのない新しい称号か？

パートナーシップを象徴するが、王冠に関する事柄では彼女の言葉だけが最終決定権を持つことを保証するもの？

「王室の配偶者」？いや、それはあまりにも受動的だ。

「王子司令官」？「護国卿」？

彼女はベッドに座り、顎に手を当てながら、金色の髪が肩にかかり、深く考え込んだ。

そう……これはうまくいくかもしれない。

彼女は勝利の演説を使って、王国の信念の基盤そのものを再構築することができる。

彼女は正義と平等についてだけでなく、統一についても語る——この国は、生まれや肌の色に関係なく、その価値を証明するすべての人々を受け入れるべきだと。

そして、彼女は彼らにはっきりと伝えるだろう：

エブリンのために戦い、血を流し、誰もが彼女を見捨てたときに彼女の側に立った黒人男性マリク——彼は永遠に彼女の側に立つに値するのだと。

彼女の指が唇を撫でながら、再びマリクの深い声、温かく揺るぎない目、新女王が気づいていないと思っている時に彼が彼女を見る様子を思い浮かべた。

小さくて恥ずかしそうな笑みが彼女の唇に浮かんだ。

「……たぶん、これは悪くないかもしれないわ」

その最後の考えと共に、彼女は再び横になり、心臓はまだ高鳴っていたが、新たな決意に満ちていた。

エブリンが王座に就く時、王国を永遠に変えるだろう。

そしてマリク……

マリクは彼女の側にいるだろう。

エヴリンはベッドの中で静かに呟いた。
「マリク、あなたは私にとって特別な存在よ。この戦いが終わったら、一緒に新しい平等の王国を築こう」

彼女の心には、マリクとの未来への希望が芽生え始めていた。

彼女は彼がただの戦士や騎士ではなく、彼女の心の支えであることを確信していた。

「でも、どうやって貴族たちを説得すればいいのかしら…」

彼女は再び深く考え込んだ。

彼女はマリクとの結婚が王国にとっての新たな始まりとなることを信じていた。

しかし、その道のりは決して簡単ではないだろう。

「たとえ反対があっても、私は諦めない。あなたと一緒に、この王国を変えてみせるわ」

彼女は静かに目を閉じ、マリクとの未来を夢見ながら眠りについた。

そして、彼女の心には新たな決意が刻まれていた——彼女は必ずやこの王国を変え、マリクと共に新たな時代を切り開いていくのだと。