滅びゆく王国と平等の国を築く王女

第４４話：エブリン女王陛下のビジョン

朝の光の中で......

朝日がモンテクレール公爵の屋敷の大きな窓から差し込み、豪華なダイニングホールを金色の光で満たしていた。

エヴリン新女王は長いテーブルに優雅に座っていたが、彼女の心は目の前にある繊細なペストリーや湯気の立つ紅茶からは遠く離れていた。

彼女の向かいにはマリクが座っていた。

公爵の使用人たちが用意した、黒と深紅の上品なチュニックを身にまとい、彼はハンサムで洗練されて見えた——しかし、それでも彼女が育った貴族たちとは一線を画す、静かな強さを保っていた。

彼は彼女がこれまでに出会った誰とも違っていた。

そして、彼女はそれについて考えるほど、彼を自分の側に置きたいと思った。

マリクが飲み物を一口飲むのを見ながら、エヴリンは彼を観察していた。

彼の強靭な手が銀のゴブレットを包む様子、彼の深く知的な目が部屋を見渡す様子——それは魅惑的だった。

「陛下？」
マリクの声が彼女のトランスを破り、彼は少し眉を上げた。

エヴリンはびくっとし、自分がじっと見つめていたことに気づいた。かなり長い間。

彼女は軽く咳をし、紅茶のカップを手に取って動揺した表情を隠した。
「え、ええ！な、何かしら？」

マリクは少し笑みを浮かべたが、それ以上は追及しなかった。
「いつもより静かだなと思って。何か考え事でもしていたのか？」

もしあなたが知っていたら……

エヴリンはそっと息をつき、紅茶のカップを置いた。
「私は……未来のことを考えていただけなの」

マリクはうなずいた。
「それも当然だな。戦争が近づいている。みんな先のことを考えなければならないはず」

そう……でも私の考えはもっと先まで進んでいるの。

エヴリンの視線は優しくなった。

彼女が女王になる未来。マリクが……まだ彼女の側にいる未来。

しかし、彼はどんな称号を持つべきだろう？

もし彼女が彼と結婚するなら、伝統的な制度では彼は王として戴冠することを要求するだろう——しかし、彼女はそれを許さない。

彼女はあまりにも多くの苦労を重ね、あまりにも多くの犠牲を払ってきた。

どんなに彼を大切に思っていても、彼女の絶対的な統治を覆い隠すようなことはさせない。

それでも、彼は認められるに値する。彼女の側に立つにふさわしい称号を。

そして、彼女はひらめいた。

新しい称号。

この王国の歴史でこれまでに見たことのないもの。

「『国領のクイーンズマン』、通称『クイーンズマン（女王主男《じょおうしゅだん》）』」。

それは、女王に嫁いだ男性を象徴し、彼女の最も近い相談役でありパートナーとして立つ——しかし、統治権を持たない地位だ。

王国のどのような称号と比較しても非常に名誉のある女王以下の最高地位のナンバーツー権力者だが、結婚が破綻した場合には女王がいつでも取り消すことができる。

それは完璧だった。

「マリク女王主男《クイーンズマン》...なんかいい響きだわ、ふふふ...」

新しい法律が制定される。歴史を変える法律だ。

もはやこの国は王とその女王によって統治されるのではなく——女王と、その側に立つ伴侶によって統治される。

白人、黒人、エルフが共に暮らし、調和を築く、世界がこれまでに見たことのない強力で公正な『帝国』。

真の多民族国家の始まり。

そして、それは彼女の勝利から始まる。

彼女は突然、マリクが彼女をじっと見つめていることに気づいた。彼の深い茶色の目は読み取れないものだった。

「陛下、笑っているぞ」

エヴリンはまばたきし、驚いて——彼がそのことに気づいた。
彼女は自分で自分に微笑みを浮かべていた。

彼女はすぐに平静を取り戻し、咳払いをした。
「私は……ただ、私たちの勝利がいかに輝かしいものになるかを考えていただけなのよ？」

マリクはくすくす笑った。
「かなり嬉しそうだったな、くす」

マリクの珍しい笑い声にエヴリンの心臓が高鳴った。
彼女はもっと話したいと思った。

彼女はすべてを伝えたいと思った——彼女のビジョン、彼女の計画、彼のために想像した称号を。

しかし、まだだ。

彼女が王座に就くまでにそんなことはしない。

今のところ、彼女はただ微笑み、未来に向かって静かに紅茶のカップを掲げた。

彼女が女王になる未来……そしてマリクがエブリン新女王のものになる未来に。