滅びゆく王国と平等の国を築く王女

王族好きな鳥ちゃん

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第46話:貴族たちの不満...

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新女王エブリン陛下がマリク護衛兵士と街へ出かけている同時刻のモンテクレール公爵の会議室にて:

モンテクレール公爵の豪華な屋敷の会議室では、緊張した空気が漂っていた。

長いテーブルを囲んで、公爵の配下の小貴族たちが集まっていた。
彼らの表情はどこか不満げで、互いに視線を交わしながらも、誰も最初に口を開こうとしない。

公爵はテーブルの上座に座り、鋭い目で彼らを見つめていた。
「さて、何か言いたいことがあるようだな。遠慮なく言ってみろ」

一人の貴族が慎重に口を開いた。
「公爵様、私たちは……少し気がかりなことがありまして」

公爵は眉を上げ、興味深そうにうなずいた。
「続けろ」

別の貴族が続けた。
「この数日間、エヴリン陛下とあのマリクという男が街を歩き、買い物をしているのをいつも目にしました。彼は元奴隷であり、黒人です。陛下がそんな男と親密に過ごすのは……どうかと思われます」

もう一人が付け加えた。
「わたしたちは陛下の行動に疑問を感じています。陛下がそんな男と一緒にいるのは、わたしたちの士気にも影響を与えるかもしれません」

「.....」

公爵の表情が一瞬で変わった。

彼の目は冷たくなり、声は低く威圧的になった。
「お前たちは、陛下の行動を疑問視するのか?」

貴族たちは一瞬たじろぎ、互いに顔を見合わせた。
最初に話した貴族が再び口を開いた。
「公爵様、私たちはただ——」

「黙れ!」公爵の声が雷のように響き渡った。
彼はゆっくりと立ち上がり、テーブルに手をついて前のめりになった。
「お前たちは、自分たちの立場を忘れているようだな」

貴族たちは凍りついたように動かなくなった。

公爵は冷たい笑みを浮かべながら続けた。
「エヴリン女王陛下は、エブリク新王国を築くための解放軍の指導者だ。陛下の行動や選択を、お前たちのような小貴族が疑問視する権利はない」

バタ――!

公爵はテーブルを叩き、声をさらに低くした。
「この話題を二度と口にしないことだ。もし儂の命令に背くなら、お前たちの称号を剥奪し、すべての財産を没収し、儂の領地から追い出す。そして、陛下のエブリク新王国軍から永遠に追放する」

貴族たちは顔を青ざめさせ、息をのんだ。
それもそのはずだ。
なぜなら、一度は公爵や反逆者とまで公式に認定されているエブリンと行動を共にしていたんだ。

公爵領だけじゃなくて解放軍の全てから追放されたら、自然と泣き虫鳴きながら他の解放軍の主だった領であるルシャ―ル侯爵とかヴァレリア伯爵夫人に保護して貰おうなど不可能になる。

そして、現国王ヴァルデンの治めている国王直結領へ戻るのも死罪を意味する。
だから、公爵に追い出されたら行く当てなどないと言っても同然である。

公爵もまた彼らを見下ろし、最後に言った。
「陛下は儂らの希望だ。だから陛下の選択を尊重し、支持するのがお前たちの役目だ。それ以外のことを考える余裕はない」

「「「....は、はい....」」」
貴族たちは声を小さく漏らしながらうなずき、急いで部屋を後にした。
彼らの足音が遠ざかる中、公爵は再び椅子に座り、深く息を吐いた。

「愚か者どもめ……」彼は呟き、窓の外を見つめた。

「王女のビジョンは、彼らにはまだ理解できないのだな」

...............


公爵は一人で部屋に残り、静かに考え込んだ。
「エヴリン陛下は、この王国を変える力を持っている。その選択は、儂らの未来を形作るものとなるだろう」

彼は再び立ち上がり、窓の外を見つめた。
「マリク……彼はただの元奴隷にして、平民の男ではない。陛下の側に立つにふさわしき強者だ。儂は十分にそれを理解しているつもり」

公爵は心の中で誓った。
「たとえ誰が反対しようと、儂は陛下を支持する。この戦いを通して、儂らは問答無用で新たな時代を築くのだ。...絶対にだ!」

そして、彼は部屋を後にし、次の戦いに向けて準備を始めた。

貴族たちのその後:
.............

部屋を出た貴族たちは、互いに不安げな表情を浮かべながら廊下を歩いていた。

「公爵様の言葉は重い……私たちは陛下の行動を疑問視すべきではなかった」
と一人が呟いた。

別の貴族はため息をつきながら答えた。
「でも、陛下があの男と一緒にいるのは……やはり気になる」

最初の貴族は首を振り、静かに言った。
「公爵様の命令に従うしかない。私たちにはもう選択肢はない」

彼らは静かに去り、それぞれの部屋に戻っていった。しかし、彼らの心にはまだ不満がくすぶっていた。

..............


公爵は屋敷の庭に出て、夜の空を見上げた。
「この戦いが終わったら、すべてが変わる。エブリン女王陛下のビジョンが現実となるのだからな」

彼は心の中で、エヴリンとマリクの未来を思い描いた。
「陛下達はこの王国を導くだろう。そして、儂らは新たなる黄金時代を迎えるのだ...」

公爵は静かに微笑み、次の戦いに向けての準備を進めた。
彼の心には、新たな決意が刻まれていた——彼は必ずやこの戦いで勝利し、新女王陛下のビジョンを実現する手助けをするのだと。
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