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26 どうせなら、極めたい
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目を開けると、そこはあずきのために用意された部屋のベッドの中だった。
頭が半分眠った状態であたりを見回すと、ベッドの横に置かれた椅子にポリーが座っている。
「アズキ様? 目が覚めたのですね」
すぐに気付いたポリーが、アズキの額に手を当てた。
「熱はありませんね。体の調子はいかがですか?」
「何ともないわ。……心配かけてごめんね、ポリー」
あずきが謝ると、ポリーは笑みを浮かべながら手を引いた。
「いいえ。事情は殿下から伺っています。大変でしたね」
上体を起こすと、水の入ったコップを渡される。
特別書庫に入った時から何も飲んでいないので、喉がカラカラだ。
一口飲みこんだだけで、ひび割れた地面に水をかけたように体に染みていくのを感じる。
そのままごくごくと一気に水を飲み干すと、コップを返す。
ポリーがカーテンを開けると日差しが一気に差し込み、あまりの眩しさにあずきは目を細めた。
「もう朝、よね? ねえ、私をここまで運んだのって」
「殿下です」
間髪入れない返答に、せっかく水で潤った体がもう一度干からびてしまいそうだ。
そんな気はしていたが、やはりクライヴはあのままあずきを運んだのか。
今頃、クライヴの腕の筋肉は悲鳴を上げていることだろう。
「重いのに、迷惑をかけちゃった。後で謝ろう」
「大丈夫だと思いますよ」
ポリーはあっさりとそう言うが、王子に運ばれた上に寝るという失態を経験していないから、のんきでいられるのだ。
「まあ、激怒するような人ではないだろうけど」
だが、クライヴの心根に関わらず重いものは重いのだから、負担には違いない。
「アズキ様をお連れした殿下の顔を、お見せ出来たら良かったのですが」
「何? 苦痛で歪んでいたの?」
「まさか。それはそれは大切そうに、ベッドに横たえておりましたよ。見ている私の方が恥ずかしいほどでした」
「そうねえ。クライヴは『豆の聖女』が凄く大切みたい。本当に悪いことをしたわ」
納得してうなずくあずきを見て、ポリーが小さく息をついた。
「何を仰るのやら。アズキ様だからではありませんか。殿下は見目麗しく物腰穏やかな方ですが、特定の方に笑みを向けるようなことはありませんでした。それが、アズキ様の前では初々しいこと」
「ああ、そうなの? 本当に、この国の人は豆と豆の聖女が好きなのねえ」
豆や豆の聖女を見ると顔が綻ぶと言うとしっくりこないが、要はケーキと有名パティシエを見て喜ぶ女子のようなものなのだろう。
「ですから、そういうことではなく」
「そういうことよ。だって、私は豆の聖女なんでしょう? その役割を果たして、元の世界に帰る。だからクライヴも同じよ。契約者として、王子として、それに見合った振舞いをしているだけよ」
ポリーは何だか不満そうな顔をしているが、そういうことだ。
だからこそ、この国の人のためにも、あずき自身のためにも、豆の聖女として頑張らなくては。
それが求められていることであり、同時にあずきが帰る術なのだ。
「さてと。お水はこれでいいかな」
食事を摂ったあずきは、早速神の庭で水やりをしていた。
もちろん、猫と戯れるのも忘れていない。
数多の猫が出入りしている神の庭だが、あずきの存在にもすっかり慣れたらしく、足元にスリスリしてくれることも多くなった。
もはや豆に水をあげに来ているのか、猫にい会いに来ているのか、よくわからないほどだ。
猫と癒しの交流を終えると、ジョウロを片手にあずきは水やりを始める。
手入れはいらないと最初に言われてはいたが、神の豆以外には水が必要だろう。
それに、何となく水をあげた方が神の豆の葉も生き生きしているような気がする。
何よりも、何をしたらいいのかよくわからないあずきには、いい運動であり気晴らしでもあった。
ジョウロを片付けると、あずきは両手を腰に当てて伸びをする。
「豆の聖女らしく、豆を育てて豆農家しているわけだけど。あとは、せっかくだから豆魔法を極めたいわよね」
豆の聖女としては、神の豆を実らせるだけで問題ないのだと思う。
だが魔法というものがあってそれを行使できるとなれば、やってみたくなるのが人間というものだ。
たとえ使える魔法が豆魔法とかいう珍妙なものでも、好奇心は変わらない。
「どうせならクライヴみたいに、風がビュー、とかやりたかったけど。まあ、仕方ないわ」
あちらは生粋の王子様で、こちらはただの女子高生だ。
豆でも魔法が使えるだけマシなのかもしれない。
今のところわかっているのは、〈開け豆〉で、ランダムに豆が出るということ。
その豆と、対応する神の言葉とやらで発動する魔法があるということだ。
「〈小豆のお供え〉に、〈空豆の揺り籠〉。豆の名前と単語ね。しかも何故か英語の」
ということは、他の豆でも魔法を使えるかもしれない。
サイラスは豆と神の言葉を使う魔法は稀と言っていたが、使えるものなら使えた方がいいだろう。
まずは、実践あるのみである。
「〈開け豆〉、〈開け豆〉、〈開け豆〉……」
まずは豆がないことには話にならないので、連続で豆を召喚してみる。
あずきの手のひらには、沢山の豆がころりと転がった。
「えーと。小豆に、ひよこ豆に、サヤインゲン。あとは、この豆は何だったかな……」
色々な豆が出てくれるのはありがたいが、なにぶん豆の名前がわからない。
有名かつ馴染みがあったり、サヤインゲンのように莢ごと出てきてくれればともかく、豆粒だけで判断するのはかなりの難易度だった。
仮に小豆っぽい違う豆が紛れ込んでも、正直言って判別できない。
「……駄目だわ。英単語の前に、豆の名前がハッキリしない」
ここはひとつ、豆大好きな豆王国民にでも聞いてみればいいのかもしれない。
そう思ってテーブルにお茶の用意をしているポリーの方へ向かうと、ちょうど向こうからクライヴがやって来るのが見えた。
あずきを見つけたクライヴは、眩い笑顔でこちらに向かって歩いてくる。
「笑みを向けないとかポリーは言っていたけど、嘘じゃない。結構な笑顔じゃない」
さすがは王子様。
自分の容姿を活用した、素晴らしい微笑みである。
感心しながらテーブルに到着するのと、クライヴが来るのはほぼ同時だった。
頭が半分眠った状態であたりを見回すと、ベッドの横に置かれた椅子にポリーが座っている。
「アズキ様? 目が覚めたのですね」
すぐに気付いたポリーが、アズキの額に手を当てた。
「熱はありませんね。体の調子はいかがですか?」
「何ともないわ。……心配かけてごめんね、ポリー」
あずきが謝ると、ポリーは笑みを浮かべながら手を引いた。
「いいえ。事情は殿下から伺っています。大変でしたね」
上体を起こすと、水の入ったコップを渡される。
特別書庫に入った時から何も飲んでいないので、喉がカラカラだ。
一口飲みこんだだけで、ひび割れた地面に水をかけたように体に染みていくのを感じる。
そのままごくごくと一気に水を飲み干すと、コップを返す。
ポリーがカーテンを開けると日差しが一気に差し込み、あまりの眩しさにあずきは目を細めた。
「もう朝、よね? ねえ、私をここまで運んだのって」
「殿下です」
間髪入れない返答に、せっかく水で潤った体がもう一度干からびてしまいそうだ。
そんな気はしていたが、やはりクライヴはあのままあずきを運んだのか。
今頃、クライヴの腕の筋肉は悲鳴を上げていることだろう。
「重いのに、迷惑をかけちゃった。後で謝ろう」
「大丈夫だと思いますよ」
ポリーはあっさりとそう言うが、王子に運ばれた上に寝るという失態を経験していないから、のんきでいられるのだ。
「まあ、激怒するような人ではないだろうけど」
だが、クライヴの心根に関わらず重いものは重いのだから、負担には違いない。
「アズキ様をお連れした殿下の顔を、お見せ出来たら良かったのですが」
「何? 苦痛で歪んでいたの?」
「まさか。それはそれは大切そうに、ベッドに横たえておりましたよ。見ている私の方が恥ずかしいほどでした」
「そうねえ。クライヴは『豆の聖女』が凄く大切みたい。本当に悪いことをしたわ」
納得してうなずくあずきを見て、ポリーが小さく息をついた。
「何を仰るのやら。アズキ様だからではありませんか。殿下は見目麗しく物腰穏やかな方ですが、特定の方に笑みを向けるようなことはありませんでした。それが、アズキ様の前では初々しいこと」
「ああ、そうなの? 本当に、この国の人は豆と豆の聖女が好きなのねえ」
豆や豆の聖女を見ると顔が綻ぶと言うとしっくりこないが、要はケーキと有名パティシエを見て喜ぶ女子のようなものなのだろう。
「ですから、そういうことではなく」
「そういうことよ。だって、私は豆の聖女なんでしょう? その役割を果たして、元の世界に帰る。だからクライヴも同じよ。契約者として、王子として、それに見合った振舞いをしているだけよ」
ポリーは何だか不満そうな顔をしているが、そういうことだ。
だからこそ、この国の人のためにも、あずき自身のためにも、豆の聖女として頑張らなくては。
それが求められていることであり、同時にあずきが帰る術なのだ。
「さてと。お水はこれでいいかな」
食事を摂ったあずきは、早速神の庭で水やりをしていた。
もちろん、猫と戯れるのも忘れていない。
数多の猫が出入りしている神の庭だが、あずきの存在にもすっかり慣れたらしく、足元にスリスリしてくれることも多くなった。
もはや豆に水をあげに来ているのか、猫にい会いに来ているのか、よくわからないほどだ。
猫と癒しの交流を終えると、ジョウロを片手にあずきは水やりを始める。
手入れはいらないと最初に言われてはいたが、神の豆以外には水が必要だろう。
それに、何となく水をあげた方が神の豆の葉も生き生きしているような気がする。
何よりも、何をしたらいいのかよくわからないあずきには、いい運動であり気晴らしでもあった。
ジョウロを片付けると、あずきは両手を腰に当てて伸びをする。
「豆の聖女らしく、豆を育てて豆農家しているわけだけど。あとは、せっかくだから豆魔法を極めたいわよね」
豆の聖女としては、神の豆を実らせるだけで問題ないのだと思う。
だが魔法というものがあってそれを行使できるとなれば、やってみたくなるのが人間というものだ。
たとえ使える魔法が豆魔法とかいう珍妙なものでも、好奇心は変わらない。
「どうせならクライヴみたいに、風がビュー、とかやりたかったけど。まあ、仕方ないわ」
あちらは生粋の王子様で、こちらはただの女子高生だ。
豆でも魔法が使えるだけマシなのかもしれない。
今のところわかっているのは、〈開け豆〉で、ランダムに豆が出るということ。
その豆と、対応する神の言葉とやらで発動する魔法があるということだ。
「〈小豆のお供え〉に、〈空豆の揺り籠〉。豆の名前と単語ね。しかも何故か英語の」
ということは、他の豆でも魔法を使えるかもしれない。
サイラスは豆と神の言葉を使う魔法は稀と言っていたが、使えるものなら使えた方がいいだろう。
まずは、実践あるのみである。
「〈開け豆〉、〈開け豆〉、〈開け豆〉……」
まずは豆がないことには話にならないので、連続で豆を召喚してみる。
あずきの手のひらには、沢山の豆がころりと転がった。
「えーと。小豆に、ひよこ豆に、サヤインゲン。あとは、この豆は何だったかな……」
色々な豆が出てくれるのはありがたいが、なにぶん豆の名前がわからない。
有名かつ馴染みがあったり、サヤインゲンのように莢ごと出てきてくれればともかく、豆粒だけで判断するのはかなりの難易度だった。
仮に小豆っぽい違う豆が紛れ込んでも、正直言って判別できない。
「……駄目だわ。英単語の前に、豆の名前がハッキリしない」
ここはひとつ、豆大好きな豆王国民にでも聞いてみればいいのかもしれない。
そう思ってテーブルにお茶の用意をしているポリーの方へ向かうと、ちょうど向こうからクライヴがやって来るのが見えた。
あずきを見つけたクライヴは、眩い笑顔でこちらに向かって歩いてくる。
「笑みを向けないとかポリーは言っていたけど、嘘じゃない。結構な笑顔じゃない」
さすがは王子様。
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感心しながらテーブルに到着するのと、クライヴが来るのはほぼ同時だった。
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