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第129話 Get out of your comfort zone.
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若槻の打ったボールに追いつけずポイントを失い、カリルはラケットを投げつけたくなる衝動を辛うじて堪えた。今の自分の腕力でそんなことをすれば、普通では考えられないような壊れ方をしてしまうだろう。いくらハードコートとはいえ、飴細工のようにラケットが砕け散ったら、どんな疑いの目を向けられるか分かったものではない。
(クソが! まさかアイツ、オレと同じクスリを?)
準決勝で若槻がイヴァニコフを倒した時から、カリルは彼を疑いの目でみていた。実際に相手をした最初の段階では、考えすぎかとも思った。しかし、指向性スピーカーの位置を特定し、サーブでそれを正確に狙って破壊するなど、普通とは思えない。クスリの力を使っているからこそ出来る芸当に違いないと、カリルはそう判断した。
(いや、日本人のガキに、そんな伝手があるとは思えない)
仮に若槻が何らかのクスリを使用していたとしても、カリルには勝算があった。自分が使っているクスリより優れたものなど無いと確信していたから。そのクスリは、中東地域でスポーツギャンブルを牛耳っているロシアンマフィアから入手したものだ。実際の効能について詳しいことは知らなかったが、他のスポーツでこれと同じものを使っているアスリートが軽々と世界記録を叩き出していた。売りつけてきたロシアンマフィア曰く、これがあればオリンピックで全種目金メダルが獲れる、などと言っていた。さすがにそれはただのセールストークだろう。しかしカリルも自分で使ってみて、その即効性と効果の高さには驚いた。
今も、疲れを感じているのに、身体はやけによく動くのだから。
(なら、なぜ先行される? 何かされてるのか?)
同じものを若槻が入手できるとは思えない。例えクスリの効果比べになったとしても、分は自分にあるはず。なのに、現実はそうなっていない。苛立ちと困惑。そしてクスリのせいか、やけに冴え渡る思考をフル回転させ、カリルはあらゆる可能性について思考する。やがてふと、ネガティブな考えが浮上してきた。クスリの差ではなく、実力の差なのか、と。
(ありえないありえないありえないオレは元世界47位だぞその時はまだクスリは使ってなかったせいぜい有利にことが運ぶように何試合か勝ちを金で買ったぐらいだあぁ疲労回復剤は使ったかしかしそんなのは数に入らないだろう実力がなきゃ試合にならないんだからとするとまさか、いや、そんなハズは)
カリルの脳裏に、嫌な予感が浮かぶ。
若槻はカリルと同じようにクスリを準備していた。
ならば自分と同じように、何らかの装置を用意しているのではないか。
(コイツまさか、オレと同じように、何か仕掛けを!?)
その可能性に思い至り、カリルは思わず会場を見渡す。
そして、クスリによって研ぎ澄まされた視覚で、あるものを見つけた。
(あの女!)
視線の先にいるのは、若槻と同じ日本人の男女だ。
ガタイのいい男と、胸をさらすような恰好の女。
そして女の方が、コートの方へ一眼レフを向けている。
(そうか! 電磁波だ!)
恐ろしい想像に、全身が総毛だつカリル。小型の電磁波発生装置。それを仲間に命じて照射しているのだ。最近、どこかの大会で選手の目を狙ってレーザーが打たれたという噂を耳にした。過去にも、カメラのフラッシュライトを使って妨害する者がいたと聞いたことがある。カリル自身も音による妨害を準備していた。ならば同じように、あるいはさらに巧妙に、相手に気付かれないよう妨害する手段があってもおかしくはない。電磁波を浴びせられるとどういう影響が出るのかなど、知りはしないが。
「オイ、主審! 観客席から妨害を受けているぞ!」
プレーを中断し、カリルが口角から泡を飛ばしながら抗議する。
「はい? カリル選手、もう一度ゆっくりお願いします」
「若槻の仲間だ! やつら電磁波を使ってる! わかんねぇのかボケ!」
怪訝そうな表情を浮かべる主審にイラつき、カリルは思わず暴言を吐いてしまう。常識的に考えればすぐに分かって当然なのだ。それを、なぜコイツは知らないフリをするのか。まさか、この主審は若槻に買収されているのでは? そう考えて審判の顔を見ると、主審はカリルの暴言に眉をひそめ、侮蔑するような眼差しをカリルに向けていた。その瞬間、最悪の事態に気付いたカリルは、慌てて弁明を口にする。
「いや、待て! 違う! 違うんだよ! そうじゃなくて……!」
「先ほどの若槻選手もそうでしたが、あなたもですか? 落ち着いてプレーしてください。お二人が高い集中力をもって試合に臨んでいることは知っています。ですが、上手くいかないときに周りのせいにするなんて、プロ選手のすることではありません。今のは聞かなかったことにしますから、プレーを続けてください。まだ言いたいことがあるというなら、私は審判としての義務を果たさなければなりません」
主審が諭すように、しかし毅然とした態度でカリルに告げる。その振舞いを見て、カリルは自分の考えが正しいことを確信する。やはりそうだ。これは買収などではなく、若槻の仲間の電磁波によって洗脳されているに違いない、と。ここで下手に抗議すれば、それを理由に失格処分を言い渡される可能性があり、それこそが若槻の真の狙い。カリルはその考えが真実だと確信した。
(野郎ォ……なんて汚ぇヤツだ!)
胸の内に激しい憤りがマグマのように沸いてくるのを、カリルは感じた。スポーツという神聖な勝負の場で、あろうことか主審を洗脳するなど、あってはならない最低の行為だ。そういえば、日本という国は世界で唯一原子爆弾を投下された国だという。その血を引く若槻もまた、おぞましい放射性物質によって著しく血や遺伝子が穢れているのだろう。仲間の連中も同じだ。だからこそ、このような薄汚い真似で、テニスというカリルが最も愛する競技を平気で侮辱するに違いない。
「許せねぇ……!」
正義感と義憤が、カリルのなかで嵐のように燃え盛る。
先ほどまでの不安は消え去り、再び身体に力が蘇った。
「例え死んでも、お前を倒す!」
全身の血管が、膨張して浮き上がる。
正義に心燃え、勝利を使命と胸に刻み、カリルは悪へと立ち向かった。
★
「被験体の脳波および神経伝達物質を限界値へ設定しましタ」
「結構」
中東に吹く乾いた風を頬に感じながら、新星は無感情に応える。さきほどまで雑用を片付けていた建物の屋上に出て、日向ぼっこを楽しんでいる。太陽の光を浴びることでセロトニンの分泌を促し、ストレスを緩和させ心身をリラックスさせていた。勿論、わざわざそんなことをせずとも、新星は自分の身体を完璧にメンテナンスできている。ただ時々こうして、アナログな手段を用いると、ほんの少しだけ物事が上手くいく。数値には現れない微妙な差だが、この一見無駄に思える手法に、人間を解明するヒントが隠されているのではないかと、新星は考えていた。
「常時モニタリングし、パフォーマンス低下が見られたら都度調整を。ただ、肉体が壊れると試合が成立しなくなりますから、できるだけ運動能力は限界値以内に留めるように。脳機能に関しては、臨界値まで引き上げて構いません」
「その場合、被験体の人格・精神は崩壊しますが、よろしいデスカ」
「些末な問題です。この際、むしろ人格は邪魔ですからね。せっかく若槻クンとの試合データが取れるのですから、できるだけ質の良い情報を収集しなければ」
「承知しましタ」
ウサギ耳のようなカチューシャをつけているマリーは、虚空を見つめながらオーダーを実行する。彼女の瞳の中ではコマンドプロンプト画面が表示され、おびただしい数のデータや数値が目まぐるしく動いていた。
「さてさて、どんなデータが採れるか、興味深いですねぇ」
好々爺のように優しく、新星は空に向かってつぶやいた。
★
「Game,Caryl. Wakatsuki leads 5-4」
顎の先から汗の雫がいくつも流れ落ち、コートに滴った。
(強い……! これはクスリのせいなのか? それとも実力なのか?)
3rdセット終盤。チャンスを逃しゲームをキープされた聖は、身体の疲労が限界に達しつつあるのを自覚した。既に非撹拌事象による能力の使用時間は一時間を越えている。できるだけ早く仕留めたかったが、カリルの粘りは想像以上だった。
(最近、能力を使い慣れてきたお陰か、最適化率の調整にある程度の自由が利くようになった。今回はもう決勝だし、相手が相手だから出来るだけフルパワーで使ってるのに、ここまで粘られるなんて)
途中、カリルが何やら主審に向かって喚き始めたときは、彼の精神面になんらかの不調が起こったのかと思った。上手くいかないことへのフラストレーションが爆発し、意味不明なことを叫んでいたカリルを見て、聖は勝利が近いことを予感する。しかし、現実は全く逆のことが起こった。急に冷静さを取り戻したかのように、カリルのプレーは恐ろしく冴え渡ってきた。
(あれは一種のパフォーマンスだったのか? 電磁波がどう、とか。勘違いでなければ、モモさんやイガさんの方に向かって何かいっていたような? 内容だけ聞くと、なんだか被害妄想っぽい感じがしたけど)
考えたところで、聖には答えが出ない。分かっていることは、カリルは間違いなくクスリを使い、自分も奥の手であるリザスを使っているということ。そしてその上で、今は互角の試合内容になっているということだけだった。
(なんであれ、ここをキープできれば僕の勝ち。ロディックのサーブを上手く使いこなしさえすれば、チャンスはある。落ち着いて一つ一つ、確実にいく。絶対に、コイツを勝たせちゃダメだ!)
聖はそう自分に言い聞かせ、現状出し得る最大の出力でロディックのサーブを放つ。しかし聖の意に反し、ここでカリルが猛追を見せる。見事に成功させた聖のファーストサーブを、カウンター気味にリターンエースで返した。それも、2ポイント連続でだ。
(ここでそれ?! どんなメンタルしてるんだよ!)
ヤケクソの一撃にさえ見えるリターンだったが、カリルからはそういう気配は感じない。それどころか、今のカリルは不気味なほど静かだ。先ほど主審に文句をいったときの様子とは全く違う。そしてその不気味さに、聖はなんだか見覚えがあった。
(あいつ、弖虎は今、どうしてるだろう)
厭世的な雰囲気をまとう、黒髪の少年、弖虎・モノストーン。初めて彼と出会ったときから、聖は妙に彼の存在が気になっている。会話らしい会話は殆どしておらず、友達はおろか知り合いとさえ言えるか怪しい間柄だ。マイアミで対戦して以降、彼の活躍はとんと聞かない。あれほどの選手であれば、何かしら大会に出て実績を出していてもおかしくないというのに。
(っと、今は集中するんだ。現実逃避するな)
頭を振って、意識を試合に向ける。深呼吸し、息を整え、自分の内側に宿している力強い選手の力と同調する。リザスを使い始めた頃は、選手の力に振り回される感覚があった。暴れ馬を力づくで御さなければならないようで、とても自分に扱いこなせるか自信が持てなかった。しかし今では、比較的上手く乗りこなせるようになってきている。選手の特徴や気質を受け入れ、自分と同調させることで、一つになるような感覚を獲得していた。
(そうだ、ロディックはなにも、パワー頼りの選手じゃない)
他を圧倒するサーブとフォア。それがロディックの代名詞だ。しかし彼は、右に並ぶ者がいないほどの強力な武器を持っていながら、時代の覇者にはなれなかった。21世紀初頭は、尋常ならざる4人の選手が台頭する時代だったからだ。俗にいう、BIG4時代。パワー一辺倒のロディックのテニスは、その偉大な選手たちの踏み台にされてしまう。『BIG4被害者の会』を設立するなら、ロディックはその筆頭になるだろう、などと揶揄されるほどに。それでも、彼は果敢に、何度も何度も、4人の王者に立ち向かった。だが結果的に見れば、彼の努力は実らなかった。最初に全米オープンを制して以降、ロディックが再びグランドスラムを手にすることは、遂になかったのだ。
だが、それでも。
Get out of your comfort zone. ――居心地の良い場所から出よ――
現状を打破すべく迎え入れた名コーチ、ラリー・ステファンキは、ロディックにそう言って聞かせたという。言葉にしてしまえば、意味はそれほど目新しいものではない。失敗を恐れず、挑戦しろ。苦手な事を克服しろ。そういったニュアンスを持つこの言葉は、しかし簡単には実行できない類のものだ。人は誰しも、自分の心地よい場所を離れたがらない。それでもステファンキの指導のもと、ロディックは打倒BIG4を目指し、その言葉を信じて自分を変えた。あのヤンチャ坊主だったロディックがストイックな練習に徹し、勝利へとひた向きに努力する姿を見せた。2009年に行われたウインブルドン決勝では、当時史上最長となる合計77ゲームを闘ってみせたのだ。望む結果こそ得られなかったものの、その試合で彼の成長とその情熱的な生き様を、観る者の記憶に焼き付けた。
(武器を武器としてだけ扱うな。武器は防具に、防具は武器になる)
先行され焦りを覚えた聖だったが、一度立ち止まって集中を深める。焦っている自分さえも客観的に、冷静に観察する。スピードとパワーに対応されているのなら、使いどころを変えてやれば良い。気持ちを整えた聖は、あえて1stサーブの速度を落とす。強い回転をかけて跳ね上がるサーブは、ポイントにこそ繋がり難いが、相手のリターンエースを防ぐ効果がある。主導権を握る方法は、スピードに限らない。
(ヤツは平気でリスクを負ってくる。ポイントが先行されているからなお更だ。でもだからって、後手には回らない。徹底的に守りを固めて攻める!)
宿したロディックの長所は、いうまでもなくスピードとパワー。しかし相手はそれを利用し、カウンターの一撃を狙ってくる。つまり、自分から攻めるほど相手にチャンスを与えてしまう。かといって守備的になれば、カリルは自分から攻撃することもできる。だからこそ、聖は攻めたい場面でスローボールを、守りたい場面でスピードボールを使った。それが功を奏し、どうにかポイントを取り返す聖。ブレイクポイントを握られはしたものの、ピンチを凌いでデュースへと並び、やっとマッチポイントを迎えた。
(あと少し、もう少し)
大尾が近付き、否応なく会場全体が緊張と静寂に包まれる。固唾を飲んで見守る観客の空気が、時の流れを留めようとするかのよう。向かい合う両者の呼吸が整うと同時、聖がゆったりとした動作でトスを上げた。
温存していた、時速220/㎞を超えるサーブが放たれる
即時反応し、平然と追いつき正確なリターンが返される
サーブの有利が無効化され、両者はラリー戦へと移行する
ショットスピードとショットテンポを巧みに操り、攻防が続く
(ここッ! 届く場所で構わない!)
鋭角なショートアングルでカリルをコートの外へと追い出し、聖は有利な状況を作り出す。安易に打ち込めば、尋常ならざるフットワークで追いついたカリルがカウンターを狙ってくる。かといって逆を突こうにも、同じく人間とは思えない反射神経で捕まってしまうだろう。それゆえ聖は、コート中央奥深くへロブを放つ。当然、決定打にはなり得ない。しかし、カウンターは打てないショットチョイス。普通の選手であれば、一旦ディフェンシブにその場を繋ぐだろう。完全に虚を突かれて体勢を崩した選手であれば、イチかバチかに賭けてくるだろう。しかしカリルはそのどちらでもない。体勢を崩すことなく追いつき、イチかバチかのギャンブルショットではなく、明確な攻撃的意志をもって打ち返してくるだろう。
ただその為には、ほんの一瞬だけ、聖から目を離さなければならない。
聖が突くのは、その一瞬。
気付かれぬうちに忍び寄る
「!」
ボールを打つ間際、カリルの目にはネット前へ陣取る聖の姿が映った。もし彼にまだ自らの戦意が残っていたら、驚いてミスをしただろう。そもそも、ロブを打たれた時点で虚を突かれ、性格的には諦めたかもしれない。ただ幸か不幸か、今の彼に戦意と呼べるものは残っておらず、勝手に動く身体に振り回されているだけだった。クスリだと聞いて身に宿したそれが、そんな生易しいモノではないということを、彼は知る由もない。振り始めたラケットの軌道を変えるには、本来ならばもう遅かった。そんなことをすれば、手首や肘に大きな負荷がかかり、小さくない怪我を負うハメになるだろう。相手が一枚上手だった。その現実を突きつけられながら、最後のスイングを終えたに違いない。そういう本来ならそうなるはずだった現実を、カリルの意志とは別の何かが覆す。手首と肘を犠牲にし、この時この一打に限り実行可能な凶悪なフルスイングを、カリルは強制された。彼の腕が壊れる小さな音は、誰の耳にも届かない。
(速ッ!)
奇襲をかけたはずの聖だったが、想定外の速度のボールが真正面に飛んできて瞠目する。安易に時間を作って守らないだろうと予想はしていたが、この強烈な一撃には驚きを禁じ得ない。例え来ると分かっていても、僅かなズレでミスに繋がってもおかしくないほどの威力。しかし、それでも。
(もう、揺るがないぞ)
襲い掛かる凶球に怯むことなく、聖は聳え立つ壁のように、それを弾き返した。
Azerbaijan All-Comers
Final
Winner Hijiri Wakatsuki(JP) 4-6、7-5、6-4
Runner-up Zachary Caryl (UZB)
続く
(クソが! まさかアイツ、オレと同じクスリを?)
準決勝で若槻がイヴァニコフを倒した時から、カリルは彼を疑いの目でみていた。実際に相手をした最初の段階では、考えすぎかとも思った。しかし、指向性スピーカーの位置を特定し、サーブでそれを正確に狙って破壊するなど、普通とは思えない。クスリの力を使っているからこそ出来る芸当に違いないと、カリルはそう判断した。
(いや、日本人のガキに、そんな伝手があるとは思えない)
仮に若槻が何らかのクスリを使用していたとしても、カリルには勝算があった。自分が使っているクスリより優れたものなど無いと確信していたから。そのクスリは、中東地域でスポーツギャンブルを牛耳っているロシアンマフィアから入手したものだ。実際の効能について詳しいことは知らなかったが、他のスポーツでこれと同じものを使っているアスリートが軽々と世界記録を叩き出していた。売りつけてきたロシアンマフィア曰く、これがあればオリンピックで全種目金メダルが獲れる、などと言っていた。さすがにそれはただのセールストークだろう。しかしカリルも自分で使ってみて、その即効性と効果の高さには驚いた。
今も、疲れを感じているのに、身体はやけによく動くのだから。
(なら、なぜ先行される? 何かされてるのか?)
同じものを若槻が入手できるとは思えない。例えクスリの効果比べになったとしても、分は自分にあるはず。なのに、現実はそうなっていない。苛立ちと困惑。そしてクスリのせいか、やけに冴え渡る思考をフル回転させ、カリルはあらゆる可能性について思考する。やがてふと、ネガティブな考えが浮上してきた。クスリの差ではなく、実力の差なのか、と。
(ありえないありえないありえないオレは元世界47位だぞその時はまだクスリは使ってなかったせいぜい有利にことが運ぶように何試合か勝ちを金で買ったぐらいだあぁ疲労回復剤は使ったかしかしそんなのは数に入らないだろう実力がなきゃ試合にならないんだからとするとまさか、いや、そんなハズは)
カリルの脳裏に、嫌な予感が浮かぶ。
若槻はカリルと同じようにクスリを準備していた。
ならば自分と同じように、何らかの装置を用意しているのではないか。
(コイツまさか、オレと同じように、何か仕掛けを!?)
その可能性に思い至り、カリルは思わず会場を見渡す。
そして、クスリによって研ぎ澄まされた視覚で、あるものを見つけた。
(あの女!)
視線の先にいるのは、若槻と同じ日本人の男女だ。
ガタイのいい男と、胸をさらすような恰好の女。
そして女の方が、コートの方へ一眼レフを向けている。
(そうか! 電磁波だ!)
恐ろしい想像に、全身が総毛だつカリル。小型の電磁波発生装置。それを仲間に命じて照射しているのだ。最近、どこかの大会で選手の目を狙ってレーザーが打たれたという噂を耳にした。過去にも、カメラのフラッシュライトを使って妨害する者がいたと聞いたことがある。カリル自身も音による妨害を準備していた。ならば同じように、あるいはさらに巧妙に、相手に気付かれないよう妨害する手段があってもおかしくはない。電磁波を浴びせられるとどういう影響が出るのかなど、知りはしないが。
「オイ、主審! 観客席から妨害を受けているぞ!」
プレーを中断し、カリルが口角から泡を飛ばしながら抗議する。
「はい? カリル選手、もう一度ゆっくりお願いします」
「若槻の仲間だ! やつら電磁波を使ってる! わかんねぇのかボケ!」
怪訝そうな表情を浮かべる主審にイラつき、カリルは思わず暴言を吐いてしまう。常識的に考えればすぐに分かって当然なのだ。それを、なぜコイツは知らないフリをするのか。まさか、この主審は若槻に買収されているのでは? そう考えて審判の顔を見ると、主審はカリルの暴言に眉をひそめ、侮蔑するような眼差しをカリルに向けていた。その瞬間、最悪の事態に気付いたカリルは、慌てて弁明を口にする。
「いや、待て! 違う! 違うんだよ! そうじゃなくて……!」
「先ほどの若槻選手もそうでしたが、あなたもですか? 落ち着いてプレーしてください。お二人が高い集中力をもって試合に臨んでいることは知っています。ですが、上手くいかないときに周りのせいにするなんて、プロ選手のすることではありません。今のは聞かなかったことにしますから、プレーを続けてください。まだ言いたいことがあるというなら、私は審判としての義務を果たさなければなりません」
主審が諭すように、しかし毅然とした態度でカリルに告げる。その振舞いを見て、カリルは自分の考えが正しいことを確信する。やはりそうだ。これは買収などではなく、若槻の仲間の電磁波によって洗脳されているに違いない、と。ここで下手に抗議すれば、それを理由に失格処分を言い渡される可能性があり、それこそが若槻の真の狙い。カリルはその考えが真実だと確信した。
(野郎ォ……なんて汚ぇヤツだ!)
胸の内に激しい憤りがマグマのように沸いてくるのを、カリルは感じた。スポーツという神聖な勝負の場で、あろうことか主審を洗脳するなど、あってはならない最低の行為だ。そういえば、日本という国は世界で唯一原子爆弾を投下された国だという。その血を引く若槻もまた、おぞましい放射性物質によって著しく血や遺伝子が穢れているのだろう。仲間の連中も同じだ。だからこそ、このような薄汚い真似で、テニスというカリルが最も愛する競技を平気で侮辱するに違いない。
「許せねぇ……!」
正義感と義憤が、カリルのなかで嵐のように燃え盛る。
先ほどまでの不安は消え去り、再び身体に力が蘇った。
「例え死んでも、お前を倒す!」
全身の血管が、膨張して浮き上がる。
正義に心燃え、勝利を使命と胸に刻み、カリルは悪へと立ち向かった。
★
「被験体の脳波および神経伝達物質を限界値へ設定しましタ」
「結構」
中東に吹く乾いた風を頬に感じながら、新星は無感情に応える。さきほどまで雑用を片付けていた建物の屋上に出て、日向ぼっこを楽しんでいる。太陽の光を浴びることでセロトニンの分泌を促し、ストレスを緩和させ心身をリラックスさせていた。勿論、わざわざそんなことをせずとも、新星は自分の身体を完璧にメンテナンスできている。ただ時々こうして、アナログな手段を用いると、ほんの少しだけ物事が上手くいく。数値には現れない微妙な差だが、この一見無駄に思える手法に、人間を解明するヒントが隠されているのではないかと、新星は考えていた。
「常時モニタリングし、パフォーマンス低下が見られたら都度調整を。ただ、肉体が壊れると試合が成立しなくなりますから、できるだけ運動能力は限界値以内に留めるように。脳機能に関しては、臨界値まで引き上げて構いません」
「その場合、被験体の人格・精神は崩壊しますが、よろしいデスカ」
「些末な問題です。この際、むしろ人格は邪魔ですからね。せっかく若槻クンとの試合データが取れるのですから、できるだけ質の良い情報を収集しなければ」
「承知しましタ」
ウサギ耳のようなカチューシャをつけているマリーは、虚空を見つめながらオーダーを実行する。彼女の瞳の中ではコマンドプロンプト画面が表示され、おびただしい数のデータや数値が目まぐるしく動いていた。
「さてさて、どんなデータが採れるか、興味深いですねぇ」
好々爺のように優しく、新星は空に向かってつぶやいた。
★
「Game,Caryl. Wakatsuki leads 5-4」
顎の先から汗の雫がいくつも流れ落ち、コートに滴った。
(強い……! これはクスリのせいなのか? それとも実力なのか?)
3rdセット終盤。チャンスを逃しゲームをキープされた聖は、身体の疲労が限界に達しつつあるのを自覚した。既に非撹拌事象による能力の使用時間は一時間を越えている。できるだけ早く仕留めたかったが、カリルの粘りは想像以上だった。
(最近、能力を使い慣れてきたお陰か、最適化率の調整にある程度の自由が利くようになった。今回はもう決勝だし、相手が相手だから出来るだけフルパワーで使ってるのに、ここまで粘られるなんて)
途中、カリルが何やら主審に向かって喚き始めたときは、彼の精神面になんらかの不調が起こったのかと思った。上手くいかないことへのフラストレーションが爆発し、意味不明なことを叫んでいたカリルを見て、聖は勝利が近いことを予感する。しかし、現実は全く逆のことが起こった。急に冷静さを取り戻したかのように、カリルのプレーは恐ろしく冴え渡ってきた。
(あれは一種のパフォーマンスだったのか? 電磁波がどう、とか。勘違いでなければ、モモさんやイガさんの方に向かって何かいっていたような? 内容だけ聞くと、なんだか被害妄想っぽい感じがしたけど)
考えたところで、聖には答えが出ない。分かっていることは、カリルは間違いなくクスリを使い、自分も奥の手であるリザスを使っているということ。そしてその上で、今は互角の試合内容になっているということだけだった。
(なんであれ、ここをキープできれば僕の勝ち。ロディックのサーブを上手く使いこなしさえすれば、チャンスはある。落ち着いて一つ一つ、確実にいく。絶対に、コイツを勝たせちゃダメだ!)
聖はそう自分に言い聞かせ、現状出し得る最大の出力でロディックのサーブを放つ。しかし聖の意に反し、ここでカリルが猛追を見せる。見事に成功させた聖のファーストサーブを、カウンター気味にリターンエースで返した。それも、2ポイント連続でだ。
(ここでそれ?! どんなメンタルしてるんだよ!)
ヤケクソの一撃にさえ見えるリターンだったが、カリルからはそういう気配は感じない。それどころか、今のカリルは不気味なほど静かだ。先ほど主審に文句をいったときの様子とは全く違う。そしてその不気味さに、聖はなんだか見覚えがあった。
(あいつ、弖虎は今、どうしてるだろう)
厭世的な雰囲気をまとう、黒髪の少年、弖虎・モノストーン。初めて彼と出会ったときから、聖は妙に彼の存在が気になっている。会話らしい会話は殆どしておらず、友達はおろか知り合いとさえ言えるか怪しい間柄だ。マイアミで対戦して以降、彼の活躍はとんと聞かない。あれほどの選手であれば、何かしら大会に出て実績を出していてもおかしくないというのに。
(っと、今は集中するんだ。現実逃避するな)
頭を振って、意識を試合に向ける。深呼吸し、息を整え、自分の内側に宿している力強い選手の力と同調する。リザスを使い始めた頃は、選手の力に振り回される感覚があった。暴れ馬を力づくで御さなければならないようで、とても自分に扱いこなせるか自信が持てなかった。しかし今では、比較的上手く乗りこなせるようになってきている。選手の特徴や気質を受け入れ、自分と同調させることで、一つになるような感覚を獲得していた。
(そうだ、ロディックはなにも、パワー頼りの選手じゃない)
他を圧倒するサーブとフォア。それがロディックの代名詞だ。しかし彼は、右に並ぶ者がいないほどの強力な武器を持っていながら、時代の覇者にはなれなかった。21世紀初頭は、尋常ならざる4人の選手が台頭する時代だったからだ。俗にいう、BIG4時代。パワー一辺倒のロディックのテニスは、その偉大な選手たちの踏み台にされてしまう。『BIG4被害者の会』を設立するなら、ロディックはその筆頭になるだろう、などと揶揄されるほどに。それでも、彼は果敢に、何度も何度も、4人の王者に立ち向かった。だが結果的に見れば、彼の努力は実らなかった。最初に全米オープンを制して以降、ロディックが再びグランドスラムを手にすることは、遂になかったのだ。
だが、それでも。
Get out of your comfort zone. ――居心地の良い場所から出よ――
現状を打破すべく迎え入れた名コーチ、ラリー・ステファンキは、ロディックにそう言って聞かせたという。言葉にしてしまえば、意味はそれほど目新しいものではない。失敗を恐れず、挑戦しろ。苦手な事を克服しろ。そういったニュアンスを持つこの言葉は、しかし簡単には実行できない類のものだ。人は誰しも、自分の心地よい場所を離れたがらない。それでもステファンキの指導のもと、ロディックは打倒BIG4を目指し、その言葉を信じて自分を変えた。あのヤンチャ坊主だったロディックがストイックな練習に徹し、勝利へとひた向きに努力する姿を見せた。2009年に行われたウインブルドン決勝では、当時史上最長となる合計77ゲームを闘ってみせたのだ。望む結果こそ得られなかったものの、その試合で彼の成長とその情熱的な生き様を、観る者の記憶に焼き付けた。
(武器を武器としてだけ扱うな。武器は防具に、防具は武器になる)
先行され焦りを覚えた聖だったが、一度立ち止まって集中を深める。焦っている自分さえも客観的に、冷静に観察する。スピードとパワーに対応されているのなら、使いどころを変えてやれば良い。気持ちを整えた聖は、あえて1stサーブの速度を落とす。強い回転をかけて跳ね上がるサーブは、ポイントにこそ繋がり難いが、相手のリターンエースを防ぐ効果がある。主導権を握る方法は、スピードに限らない。
(ヤツは平気でリスクを負ってくる。ポイントが先行されているからなお更だ。でもだからって、後手には回らない。徹底的に守りを固めて攻める!)
宿したロディックの長所は、いうまでもなくスピードとパワー。しかし相手はそれを利用し、カウンターの一撃を狙ってくる。つまり、自分から攻めるほど相手にチャンスを与えてしまう。かといって守備的になれば、カリルは自分から攻撃することもできる。だからこそ、聖は攻めたい場面でスローボールを、守りたい場面でスピードボールを使った。それが功を奏し、どうにかポイントを取り返す聖。ブレイクポイントを握られはしたものの、ピンチを凌いでデュースへと並び、やっとマッチポイントを迎えた。
(あと少し、もう少し)
大尾が近付き、否応なく会場全体が緊張と静寂に包まれる。固唾を飲んで見守る観客の空気が、時の流れを留めようとするかのよう。向かい合う両者の呼吸が整うと同時、聖がゆったりとした動作でトスを上げた。
温存していた、時速220/㎞を超えるサーブが放たれる
即時反応し、平然と追いつき正確なリターンが返される
サーブの有利が無効化され、両者はラリー戦へと移行する
ショットスピードとショットテンポを巧みに操り、攻防が続く
(ここッ! 届く場所で構わない!)
鋭角なショートアングルでカリルをコートの外へと追い出し、聖は有利な状況を作り出す。安易に打ち込めば、尋常ならざるフットワークで追いついたカリルがカウンターを狙ってくる。かといって逆を突こうにも、同じく人間とは思えない反射神経で捕まってしまうだろう。それゆえ聖は、コート中央奥深くへロブを放つ。当然、決定打にはなり得ない。しかし、カウンターは打てないショットチョイス。普通の選手であれば、一旦ディフェンシブにその場を繋ぐだろう。完全に虚を突かれて体勢を崩した選手であれば、イチかバチかに賭けてくるだろう。しかしカリルはそのどちらでもない。体勢を崩すことなく追いつき、イチかバチかのギャンブルショットではなく、明確な攻撃的意志をもって打ち返してくるだろう。
ただその為には、ほんの一瞬だけ、聖から目を離さなければならない。
聖が突くのは、その一瞬。
気付かれぬうちに忍び寄る
「!」
ボールを打つ間際、カリルの目にはネット前へ陣取る聖の姿が映った。もし彼にまだ自らの戦意が残っていたら、驚いてミスをしただろう。そもそも、ロブを打たれた時点で虚を突かれ、性格的には諦めたかもしれない。ただ幸か不幸か、今の彼に戦意と呼べるものは残っておらず、勝手に動く身体に振り回されているだけだった。クスリだと聞いて身に宿したそれが、そんな生易しいモノではないということを、彼は知る由もない。振り始めたラケットの軌道を変えるには、本来ならばもう遅かった。そんなことをすれば、手首や肘に大きな負荷がかかり、小さくない怪我を負うハメになるだろう。相手が一枚上手だった。その現実を突きつけられながら、最後のスイングを終えたに違いない。そういう本来ならそうなるはずだった現実を、カリルの意志とは別の何かが覆す。手首と肘を犠牲にし、この時この一打に限り実行可能な凶悪なフルスイングを、カリルは強制された。彼の腕が壊れる小さな音は、誰の耳にも届かない。
(速ッ!)
奇襲をかけたはずの聖だったが、想定外の速度のボールが真正面に飛んできて瞠目する。安易に時間を作って守らないだろうと予想はしていたが、この強烈な一撃には驚きを禁じ得ない。例え来ると分かっていても、僅かなズレでミスに繋がってもおかしくないほどの威力。しかし、それでも。
(もう、揺るがないぞ)
襲い掛かる凶球に怯むことなく、聖は聳え立つ壁のように、それを弾き返した。
Azerbaijan All-Comers
Final
Winner Hijiri Wakatsuki(JP) 4-6、7-5、6-4
Runner-up Zachary Caryl (UZB)
続く
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