恋の実、たべた?

午後野つばな

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 手を引かれ、一階にある彼の寝室へと向かう。心臓がどきどきしていた。日下は自分が緊張していることに気がつき、わずかに驚いた。まさか自分にこんな気持ちが残っているとは考えてもみなかった。
 朝、出勤前に整えたばかりのベッドに腰を下ろす。元々徹の部屋は日下の部屋とは違って、持ち主の性格を表すようにきれいに整っている。実際、日下がすることはほとんどなかった。
 口づけを交わしながら、徹が身体を日下のほうに傾けた。ふたり分の体重がベッドにかかり、スプリングがギシッと鳴った。
 頭に巻いた白い包帯が痛々しかった。本当に無事でよかった。いまあらためて徹が無事でいることが、奇跡のようだと思う。
「衛さん?」
 徹の頭に両手を当て、傷口に障らないようそっと口づけを落とした日下に、徹が切なげに目を細めた。
「お前のことがたまらないくらい好きだ……」
 キスを交わしながら、徹の手が滑るように日下の胸から平らな腹に触れる。シャツの前を開かれ、脱がされた。ひやりとしたクーラーの冷気を感じた。徹が上体を起こし、着ていたTシャツを引き抜く。引き締まった男らしい肉体にどきどきした。こんなの変だ。自分の身体が自分のものでなくなったみたいに言うことを聞かない。こんなのどうしていいかわからない。
「衛さん、きれいだ……」
 生まれたままの姿になった日下に、熱を帯びた徹の視線を感じた。徹の腕の中に、すっぽりと包み込まれる。
「そうだ、足の怪我は? ほかにどこを怪我した? 全部見せて、……あっ」
 首筋を吸われ、思わず甘い声が漏れた。じんと痺れるほどの快感に震える。
「こんな怪我何でもない。それよりも衛さんを抱きたい」
「……んっ」
 キスをするたび、幸福な何かがあふれるように日下の胸を満たす。どこからか甘い花の香りがした。花は蜜を滴らせ、部屋中を香りで満たす。何度キスをしてもし足りなかった。それは徹も同じようだった。
「衛さん」
 口づけを交わし、相手の肌に触れる。体温が上昇し、身体がしっとりと汗ばんでいく。鼓動が速くなる。くらくらするような幸福感に包まれる。
「あ……んっ」
 そのとき、日下の身体に触れていた徹の指が、胸のあたりをかすめた。胸は日下の性感帯だ。ぷくりと勃ち上がった乳首が、刺激を求めてずきずきと疼く。日下はごくりと唾を飲んだ。その反応に、徹が気がつく。
「ここ? 衛さん、ここが感じるの?」
「感じる。感じるから触って……、あんっ、あぁ……っ」
 きつく乳首を吸われ、日下はびくんと背中を反らした。ねっとりとした舌が包み込むように乳輪を愛撫し、一番敏感になった先端を徹がカリッと甘噛みした。
「あっ、あ、あぁ……ッ」
 びくびくっと身体を震わせ、徹の首にしがみついて快感に堪える日下を、徹がじっと見た。
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