恋の実、たべた?

午後野つばな

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「なんだかきょうの衛さんかわいい」
 愛しいものでも見るような眼差しで見つめられ、息が止まりそうになる。きっとこれまでの日下だったら、自分の姿が相手にどう見えるかなんて気にも止めなかっただろう。セックスは日下にとって何の意味も持たず、自分を強くする武器であり、快楽を求めるための道具でしかなかった。だけどいまは違う。自分を見つめる徹の眼差しが、日下の身も心もとろけさせる。
「お前が好きだ……。その目も、身体も……」
 徹の首に腕をまわし、口づける。引き締まった肉体の感触を確かめるようにキスを落とし、甘噛みする。はっと、徹が快感を堪えるような息を漏らした。日下は上体を起こすと、徹の下腹部に手をついた。
「衛さん? ……あっ」
 徹の胸部に口づけ、少しずつ頭を下げていく。日下がしていることがわかったのか、徹の下腹部がぴくりと緊張した。
「あ、あの、衛さん、待ってっ。俺きのう風呂に入っていなくて……っ」
「黙って」
 焦ったようすで身体を起こそうとした徹を止め、行為を続ける。徹のその部分が、着衣の上からでもきつそうに膨らんでいるのがわかった。ファスナーを下ろすと、完全に勃起した徹の性器が勢いよく飛び出した。ムスクのような匂いがした。舐めると微かに塩の味がした。徹が生きている証だ。
 このときまで、日下はわずかだが恐れを抱いていた。徹の自分を好きだという気持ちが本気だとしても、そこに身体が伴うとは限らない。自分を見つめる徹の瞳に、嫌悪が滲んだらどうしようという不安だ。
 勇気を出して顔を上げると、徹が恥ずかしそうにしながらも、食い入るように日下の行為を見ていた。その瞳に明らかな欲望が灯っているのに力を得て、日下は再び頭を下げる。
 徹のペニスはずしりと重く、日下の視線の下で健気に震えていた。大きくて、一度に呑み込むのは無理だ。日下は少しずつ口に含むと、唇で圧をかけながら同時に舌で愛撫した。徹の手がさらりと日下の髪を撫でた。徹の位置からは、日下がしていることは丸見えだろう。
「……っ、あっ、衛さん……っ」
 緩急をつけて徹のペニスを愛撫する。口の中にわずかな苦みを感じた。裏筋を刺激すると、完全に勃ち上がっていたはずの徹のペニスが、日下の口の中でぐうっと大きくなった。
「出していいぞ」
「……っ」
 囁いたとたん、喉の奥に叩きつけるように放たれたものを、日下はほんのわずかな躊躇もなく飲み下した。手の甲で口元を拭う。
「持っているか」
 訊ねると、日下が何のことを言っているのかわかったのだろう、徹が引き出しからまだ封を切っていないコンドームを取り出した。日下はそれを受け取り、袋を破る。たったいま達したばかりの徹のペニスは勃ち上がり、先端から透明な滴を滲ませていた。若いってすごいなと感心しながら、袋から取り出したゴムを徹のペニスに装着する。
「衛さん……」
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