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瀬戸の視線が面倒くさそうに犬飼を見た。
その場にいなくても、犬飼にはそのときの光景が目に浮かぶようだった。その場では上司の意を汲んだとしても、瀬戸を見る周囲の目は冷たかっただろう。当たり前だ、デザインを盗用したと思わされたのだ。おそらくはその上司によって意図的に。これは想像でしかないが、もしかしたらそのあと瀬戸が言い寄って振られたという噂も、その上司によってわざと流されたものではないかと疑った見方をしてしまう。
瀬戸は愛想もないし、決してつき合いやすい相手ではない。自分以外の他人はどうでもいいと思っているような冷めたところもある。犬飼だってはじめのころは瀬戸のことを誤解していた。
もちろん瀬戸にだって責任はある。あえて厳しい見方をするならば、そのとき瀬戸の味方になるものがひとりもいなかったとしたら、それは彼が選んだことだ。もし瀬戸がもっと周囲との関係を円滑に築けていたならば、状況は変わっていたのではないかと犬飼は思う。だが、瀬戸は決して誰かのデザインを盗むようなやつではない。瀬戸はしてもいない罪を着せられただけではなく、逆に自分のデザインを奪われたのだ。
「その酒造メーカーの広告はシーズン毎に出ていたよな。お前、なんでそのあと何も言わなかった。いくらでも誤解を解く機会はあったはずだ。なんで素直にその男の言いなりになっていた」
「……正直、どうでもいいと思ったからですよ。今回が最後だからと頭を下げるあの男の顔を見るのも、周りの反応も。デザインなんてただの仕事です。働いて、給料をもらう。ただそれだけだ」
瀬戸が淡々とした顔で強がりを言うのを、犬飼はそれは嘘だな、と一蹴した。
「だったらなんでお前、体調を悪くしたんだ? 本当はストレスを感じて、限界だったんじゃないのか?」
ふいっと顔をそらした瀬戸の瞳には、拗ねたような、そして傷ついたような色があった。
瀬戸がいう酒造メーカーがシーズン毎に出していた広告、それは犬飼がずっと憧れていたものだ。
その場にいなくても、犬飼にはそのときの光景が目に浮かぶようだった。その場では上司の意を汲んだとしても、瀬戸を見る周囲の目は冷たかっただろう。当たり前だ、デザインを盗用したと思わされたのだ。おそらくはその上司によって意図的に。これは想像でしかないが、もしかしたらそのあと瀬戸が言い寄って振られたという噂も、その上司によってわざと流されたものではないかと疑った見方をしてしまう。
瀬戸は愛想もないし、決してつき合いやすい相手ではない。自分以外の他人はどうでもいいと思っているような冷めたところもある。犬飼だってはじめのころは瀬戸のことを誤解していた。
もちろん瀬戸にだって責任はある。あえて厳しい見方をするならば、そのとき瀬戸の味方になるものがひとりもいなかったとしたら、それは彼が選んだことだ。もし瀬戸がもっと周囲との関係を円滑に築けていたならば、状況は変わっていたのではないかと犬飼は思う。だが、瀬戸は決して誰かのデザインを盗むようなやつではない。瀬戸はしてもいない罪を着せられただけではなく、逆に自分のデザインを奪われたのだ。
「その酒造メーカーの広告はシーズン毎に出ていたよな。お前、なんでそのあと何も言わなかった。いくらでも誤解を解く機会はあったはずだ。なんで素直にその男の言いなりになっていた」
「……正直、どうでもいいと思ったからですよ。今回が最後だからと頭を下げるあの男の顔を見るのも、周りの反応も。デザインなんてただの仕事です。働いて、給料をもらう。ただそれだけだ」
瀬戸が淡々とした顔で強がりを言うのを、犬飼はそれは嘘だな、と一蹴した。
「だったらなんでお前、体調を悪くしたんだ? 本当はストレスを感じて、限界だったんじゃないのか?」
ふいっと顔をそらした瀬戸の瞳には、拗ねたような、そして傷ついたような色があった。
瀬戸がいう酒造メーカーがシーズン毎に出していた広告、それは犬飼がずっと憧れていたものだ。
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