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前編
旅立ち
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夏は半ばをすぎ、日差しは強烈な強さで降り注ぐ。
オフィス街は照り返しもあり、肌がジリジリと痛いほど。
それなのに、なぜだろう。凍えるように寒い。
オフィス街の外れ。
目の前には大きなガラス張りのビルがある。
その高さは、見上げると首が痛くなり、逆光に目が眩みそうなほど。
時折出入りするサラリーマンは、皆どこか誇らしげだ。きちんと整えられた髪。よく磨かれたピカピカの革靴。暑さなど微塵も感じさせない颯爽としたスーツ姿。
それを、道路を挟んだ向かいのガードレールに腰掛けて、綺はじっと眺めていた。
ビル風に煽られて髪は乱れ、代わり映えのしないTシャツにジーンズの軽装。絵の具で汚れたスニーカーの足元には、キャンバス地のトートバッグがクタッと倒れている。手には使い込んで短くなった鉛筆。膝にはスケッチブック。
たとえこの先の自分の人生が、このビルで働く人々の人生と交わることはなくとも。何一つ恥じはしない。
自分が自分だから。
自分しか知らない景色がある。
今の自分にしか見えないものがある。
右手を失いそうになった時に叫んだ言葉は、頭を使って紡いだものではないからこそ、綺の本心だ。
これまで生きた二十一年間の、どの瞬間も、今の自分を形作った大切なものだ。
「緒月さんっ」
声をかけられても、最初は自分のことだと思わなかった。
「緒月綺さんっ」
強い口調でそう呼ばれて、ようやくハッと我に返った。
心臓が飛び出しそうなほど驚いて振り向くと、スーツ姿の男性が息を切らして立っていた。
濃紺のスーツにダークカラーのネクタイ、キリッと整えられた眉とスッと細い鼻筋には、知的で洗練された雰囲気が漂っている。だが、やや大きな黒目と少し厚みのある唇には、柔らかな雰囲気と少しの愛嬌があった。
総じて、人当たりのいい、実直そうな人だった。
「突然声をおかけして申し訳ありません。私、支倉燿隆の秘書をしております、黒崎透と申します」
「支倉燿隆?」
「玲一さんの祖父に当たります」
息を整えながら、内ポケットから名刺入れを取り出したのを見て、慌てて手を翳した。
「結構です。すみません。目障りでしたらすぐに立ち去りますからっ」
黒崎は一瞬、気圧されたように目を見張ったが、何も言わず名刺入れをしまった。
「いえ、目障りなどとは……ただ、私も一度お会いしたいと思っておりましたので。先ほど車の中からあなたをお見かけして、私は雑誌に掲載されていた写真でしか存じ上げないので見間違いかとも思いましたが、引き返して来てしまいました」
こちらを安心させるように微笑む。自分のカッチリしたスーツ姿が学生に与える印象をわかってのことかもしれないが、綺の心の強張りと焦燥が解けることはない。
「顔色がよろしくありませんが、大丈夫ですか?」
「大丈夫です。それより、何かご用ですか?」
「いえ、特に用があるわけでは。こちらには玲一さんに会いに?」
「いえ、そういうわけじゃ……できれば、僕に会ったことも話さないでください。お願いします」
「……どういうことですか?」
さすがに怪訝そうな顔をされる。
「あの、その前に教えてもらえませんか。支倉さんのお祖父様のいらっしゃるビルは、ここからも見えますか?」
ますます怪訝そうな顔をして、けれど、黒崎は遠くにあるガラス張りの高層ビルの一つを指差した。
「あれですが、わかりますか? 上部に横長の隙間のある……」
説明してくれるのを聞きながら、じっと見つめる。
(あれが、玲一さんの目標……)
ギュッと胸が締め付けられた。
「立派なビルですね」
「ただの箱ですよ」
「えっ……」
綺は、昨日玲一と交わした会話を思い出したが、黒崎に他意はなかったらしい。
「インターンシップや説明会で来る学生が、こういったオフィス街に来るとよく圧倒されていますが、あれはただの箱で、あの中にいるのはただの人です」
「そう、ですね。そうかもしれません……」
(それでも、あの箱に僕が入ることは一生ない……)
ガードレールから降り、黒崎に向き合う。
ギュッと、スケッチブックを握りしめる。
「あなたに、お願いしたいことがあります」
どうやってここに来たのか覚えていない。
だけど目の前の『紺野』という表札を見て、少しホッとしてインターホンを鳴らした。
高校時代にはしょっちゅう遊びに来ていた、縁側のある古い一戸建て。
「はーい、ちょっと待ってて」
家の中から声が聞こえて、ダッダッダッダッと慌ただしい足音が近付いてくる。建て付けの悪い木の門扉がいつも半分開いていて、玄関から出てきた冬樹がそこから顔を出すのも、昔と変わらない。
「うち来んの久しぶり――綺っ!?」
冬樹の顔を見たら安心して、もう立ってもいられなかった。
両手で口を押さえて、その場に崩れ落ちる。
「ふっ、う……ぅっ!」
「綺っ、何があった!?」
駆け寄ってくる冬樹の顔も。
夏の青空も。
海の残像も。
優しいアイスグレーの思い出も。
溢れ出した涙の向こうに消えていく。
どう手を打っていいのかわからなかった。
なんの連絡もない携帯を、もう何度も確認した。
車のキーを握りしめて立ち上がっては、思い留まった。
会ってどうする。
説得するのか。
今更言葉などで彼の心が動かせるのか。
まだ力尽くで体ごと拘束してつなぎとめておく方が易しいと、あり得ない妄想をしては頭を振った。そうじゃない。そんなことがしたいわけじゃない。
そうやって迷っていたら、急に白石商事以外での仕事が立て込んだ。おまけに遠方のセミナーに出席する祖父への同行まで重なり、身動きが取れなくなった。
ただもう顔を見たいという気持ちだけで、いても立ってもいられず、会う約束を取り付けようと玲一が電話をかけたのは、夏の終わりになってだった。だが――
「どういうことだ……」
電話はつながらなかった。
メッセージも送ったが、半日経っても『既読』が付かない。
嫌な予感がした。
最低限、急ぎの仕事だけを片付けて、会社を早退した。
綺のアパートに向かったが、何度インターホンを鳴らしても彼が出てくることはなく、部屋からは物音一つしない。諦めて外から見れば、二階にある綺の部屋の窓からはカーテンが外されていて、バルコニーの柵の向こうに空っぽの室内が見えた。
(どうして……)
頭が上手く回らない。
鼓動が早鐘のように打ち始める。
全身の血の気が引いて、スーツを着て夏の日差しを浴びているのに、寒気に襲われる。
叫び出したいのを抑えてハンドルを握った。
大学に向かいアトリエを訪ねたが、そこにも綺の姿はない。血相を変えて飛び込んできたスーツ姿の男に、怯えた目をして固まっていた学生の一人から、事務室の場所を聞き出して飛び出す。
(綺っ……!)
大学は、最後に会った日の翌日に休学手続きが取られていた。
綺が所属するゼミの教授によれば、一応自分が引き止めて休学ということにさせたが、本人は退学を希望していたということだった。
実家にも行った。
義弟だという高校生くらいの少年が出てきて、綺は絵の勉強のために海外へ行ったが、詳細な行き先や日程は知らされていないと話した。
ギャラリーhakuにも連絡した。
義弟から聞いたのと同じ話を受け、契約は一旦解消したとのことだった。
冬樹にも連絡した。
やはり義弟から聞いたのと同じ話を受け、エールを送って別れたと言った。
「様子がおかしいってことはなかったのか?」
『えっ。いつも通りの綺でしたけど?』
「だが、唐突だとは思わなかったのか?」
引き止めなかったことを責める気持ちがあった。
もちろん、それがただの八つ当たりだともわかっていた。
『それは思いましたけど、でも綺って昔から、時々突拍子もないこと思いついてやっちゃうとこありますし。一度決めたら、オレが何言ったって曲げませんから』
冬樹はさらりと、何でもないことのようにそう応えた。
彼が自分の知らない綺を語っていることに、苛立ち、そしてやり切れなくなった。
玲一と綺は、たった二週間一緒にすごしただけだ。きっと綺には、玲一の知らない面がまだまだたくさんあって、それをこれから、一番近くで見ていけると、そう思っていたのに。
どうしてこんなことになったのか。
呼吸する喉がわななく。
『そういえば』
これ以上聞いていられないと、電話を切り上げかけたとき、冬樹が思い出したように言った。
『楽しかったって言ってましたよ、玲一さんとのバカンス』
「えっ……」
『一晩かけていろいろ聞かされました。海が綺麗だったとか、ペンションが楽しかったとか。浜辺で進路相談に乗ってもらって、自分の世界が変わったとか。別荘のアトリエなんか、あんなに素晴らしい贈り物をもらった自分は、世界で一番幸せな画家の卵だって。表現が一々ドラマチックすぎて笑っちゃいましたけど』
電話の向こうで、冬樹が苦笑している。
『感謝してました、すごく。親友としては悔しい気持ちもあるんですけど、でも、綺のこと救ってくれてありがとうございます』
「俺は……」
本当に救えたのだろうか。
最後の最後で追い詰めてしまったんじゃないのか。
「……悪い。また連絡する」
携帯を握りしめて、ハンドルに突っ伏した。
初めて出会ったときのドレス姿の綺から、最後に会ったときの裸のまま腕の中で幸せそうに微笑んでいた綺まで、彼の様々な表情が脳裏をよぎっては消える。
「綺っ……」
推測できることは二つある。
一つは、小さな箱を出た綺は、玲一の言葉通りに、世界を見渡しに行ったのだろうということ。
そしてもう一つは、綺は玲一から逃げたのだろうということ。だから、玲一にだけは何も告げず、彼を追うための手がかりも一切残さず、旅立ってしまった。
だが、綺がどうしてこんな、徹底的なやり方で姿を消してしまったのかは、どうしてもわからない。きっかけが自分の告白だったのは間違いないのだろうが。
『恋人じゃないと、ダメですか……?』
あのセリフが、耳から離れない。
あれはどういう意味だったのか。
『恋人』という枠にはめられることが不快だったのだろうか。それとも感謝の気持ちを体で返していただけで、恋愛感情は一切なかったから、困らせてしまったのだろうか。
綺のことを理解しているつもりだったのに、いざこうなると何もわからない――そんな、綺が倒れたときに冬樹が嘆いていたのと同じことを思っている。
ということは、綺は冬樹に彼への執着とその理由を隠していたように、自分にも何か隠していたのだろうか。
わからない。
何も。
「っ……」
嗚咽が漏れる。
眉間にグッと力を込めて、固く目を瞑る。
誰の目にも触れない車内で、それでも玲一は声を殺した。
――嘘をついた。
玲一との通話を終えて、緊張から解放された冬樹はフーッと長く息を吐いた。
あの日、冬樹を訪ねてきた綺は真っ青な顔をしていて、顔を合わせるなり泣き崩れた。
様子がおかしいどころじゃない。
いつも通りなんかじゃない。
見たこともない姿だった。
とりあえず、と手を引いて自室に連れて行ったが、握った手は氷のように冷たかった。ベッドに腰掛けさせると、何かに怯える子どものように、冬樹にしがみついて泣き続けた。
一晩かけて玲一との思い出を聞かされることになったのは、土産話が山のようにあったからではなく、そもそも話せるような状態になったのが夜になってからだったのと、話しながら何度も泣いて声を詰まらせていたからだ。
あんな状態だったのに、綺は玲一との思い出を話し続けた。
自分のすごした二週間が夢ではなかったと確かめるように。
玲一は綺のために、いろいろと手を尽くしてくれたようだった。今の玲一は仕事が忙しすぎてプライベートがない、とバンド活動ができなくなって杏介がボヤいていたことを考えれば、ありえないほどの時間を綺に割いてくれていた。
だが、お気に入りの画家、親友の弟の親友、それだけの存在のために、往復六時間かけて通勤するなんてことがあるだろうか。
それに、綺が玲一に感謝と尊敬を超えた感情を抱いていることは、恋愛に疎い冬樹でさえすぐにわかった。
「なぁ、それ、両思いだと思うんだけど……」
指摘すると、綺はビクリと体を震わせ、綺麗な顔を歪ませた。
ゆるゆるとかぶりを振って「でも……」と俯いた。
ポタポタッと膝に涙が落ちた。
「恋人にはなれない」
「なんで?」
長く黙り込んだ後、絞り出すような声で言った。
「……怖い……」
社会的な立場の違い。
玲一から家庭を持つ未来を奪うこと。
玲一の将来を嘱望する支倉家を裏切ること。
自分がいつか夢を追う彼の足かせになるかもしれないこと。
何より、自分が愛している人に、同じように愛されることが怖いと、彼は怯えていた。
せめて自分が恋人ではなく、彼にとっての唯一ではなく、彼に都合が悪くなったときに心を痛めずに切り離してもらえるような存在であれば側にいられたのにと、とんでもないことを言いだすほどに。
「バカなこと言うなよ。素直に愛されてればいいのに……」
愛されるのが怖い、というのは、冬樹にはよくわからなかった。
ただそれ以外についての『怖い』については、わかる気がした。
それくらい、玲一と玲一の背後にあるものは大きい。まして同性愛だ。シンデレラストーリーだなんて浮かれたところで、ハッピーエンドまでにどれほどのハードルがあるかしれない。
一晩かけて思い出を吐き出した綺は、翌朝何もなかったように「おはよう」と笑った。泣き腫らしてひどい顔だったが、目には輝きが戻っていた。
「僕は必ず、画家になるよ」
別れ際、綺は宣言した。
そして、
「僕があの人に応えられるのは画家としてだけだし、何より、絵を描く幸せはあの人が気付かせてくれたものだから」
そう付け加えて、微笑んだ。
透明な笑顔は、朝日の中で思わず見とれるほど美しかった。
綺の決断の全てが正しいことなのかはわからないが、親友としても、一個人としても、この先彼が描く絵を見たいと思った。
だから引き止めなかった。
「淋しくなるな。何かあったら連絡しろよ」
「ありがとう。冬樹の結婚式には戻ってくるよ」
「まだ早いって。もう愛想尽かされそうになってんのに」
小さく溜息をついて見せると、綺はおかしそうに笑った。
「杏介さんにもよろしく」
「ああ。またな」
「うん。また」
親友は旅立った。
「失礼します」
夜遅く。
玲一のマンションに呼ばれた黒崎は、リビングに通された瞬間ドキッとしていた。
ダイニングテーブルの上に、壁にかけられていたはずの綺の絵が伏せて置かれていた。
思いがけず綺と会ってから、もう半月ほどが立つ。
綺麗な青年だった。
無垢な瞳は、まだあどけなさを感じるほどだった。
その目のまま、彼は、困っているので助けてほしいと言った。
自分が誑かしたらし込んだ某御曹司が、自分に本気になってしまったので、逃げるのを手伝ってほしい。具体的には、これから半月ほどの間自分の動きが彼に勘付かれないよう、逃げた後は彼が自分の後を追ってこられないよう、手を回してほしいと。
某御曹司などという言い方をしても、それが玲一であることは明白だった。誑かしたなどと言ってはいても、到底そんなことができるような青年には見えず、綺自身それをわかっているようだった。
あの時、なぜ彼が見え透いた嘘をつき、自身を貶めるような説明をしたのかはわからない。玲一が同性愛者というわけではないと主張し偏見から庇うためか、手を貸す黒崎に罪悪感を持たせないためか、深く説明を求められたくなかったのか。
悪意は感じなかったが、納得はできなかった。
「玲一さんは、あなたが必要だと言っていました」
「ありえません。まだ自分の足場さえ確かでない一介の男子大学生が、彼に対して、足を引っ張る以外の何ができるっていうんですか」
ああこの言葉がすべてなのだ、と黒崎は理解した。
だから受け入れた。
大人らしく小狡い知恵をはたらかせて。
「条件があります」
「……なんでしょうか?」
「この先、一度だけでいい。玲一さんに会いに来てください」
玲一の笑顔を守りたいと思った。
だが支倉邸で榊を前にして、自身の力不足を痛感したのも確かだった。
燿隆と榊は玲一を監視している。同性愛が、一時の気の迷いではなく本気のものだと知れば、容赦なく引き離すだろう。そしてきっと、今の玲一と自分には、それに抗えるだけの十分な力がない。
目の前の青年を、そんな世界に巻き込むのは酷だ。
だが、十年側にいて、あの幸せそうな笑顔を見たのは初めてだったのだ。綺のような存在がそうそう現れるとは思えない以上、玲一がもう一度彼を取り戻すチャンスを残しておきたかった。
その後、彼が海外に発ったことは確認した。
今どこにいるのかは、黒崎も知らない。
玲一は窓の外を眺めていた。
視線の先には、真っ暗な中に煌々と聳そびえ立つ高層ビル群。
「一つ、決めたことがあります」
感情の窺えない、静かな声だった。
「二年後を目処に、祖父の元へ行きます」
ドッ、と鼓動が乱れた。
いずれは、と誰もが思っていたことだ。
それなのになぜ、こんなにも胸が騒ぐのだろう。
「そのために少し手荒なことをします。きっと恨みも買うでしょうが……黒崎さんの手を借してもらえますか?」
玲一が振り返る。
アイスグレーの双眸が、ひしと黒崎を見据える。
ぞっとするほど鋭く、冷たく、揺るぎない眼差し。
「燿隆様の座を目指すのですか?」
「ええ」
「勝算は、おありなのですか」
その問いに、玲一はフッと微笑んだ。
「もう飽きるほどシミュレートして、そう……退屈なくらいです」
震えが走るほど美しい笑みに、魅入られる。
「私でお役に立てるのでしたら」
黒崎は恭しく頭を下げた。
end.
オフィス街は照り返しもあり、肌がジリジリと痛いほど。
それなのに、なぜだろう。凍えるように寒い。
オフィス街の外れ。
目の前には大きなガラス張りのビルがある。
その高さは、見上げると首が痛くなり、逆光に目が眩みそうなほど。
時折出入りするサラリーマンは、皆どこか誇らしげだ。きちんと整えられた髪。よく磨かれたピカピカの革靴。暑さなど微塵も感じさせない颯爽としたスーツ姿。
それを、道路を挟んだ向かいのガードレールに腰掛けて、綺はじっと眺めていた。
ビル風に煽られて髪は乱れ、代わり映えのしないTシャツにジーンズの軽装。絵の具で汚れたスニーカーの足元には、キャンバス地のトートバッグがクタッと倒れている。手には使い込んで短くなった鉛筆。膝にはスケッチブック。
たとえこの先の自分の人生が、このビルで働く人々の人生と交わることはなくとも。何一つ恥じはしない。
自分が自分だから。
自分しか知らない景色がある。
今の自分にしか見えないものがある。
右手を失いそうになった時に叫んだ言葉は、頭を使って紡いだものではないからこそ、綺の本心だ。
これまで生きた二十一年間の、どの瞬間も、今の自分を形作った大切なものだ。
「緒月さんっ」
声をかけられても、最初は自分のことだと思わなかった。
「緒月綺さんっ」
強い口調でそう呼ばれて、ようやくハッと我に返った。
心臓が飛び出しそうなほど驚いて振り向くと、スーツ姿の男性が息を切らして立っていた。
濃紺のスーツにダークカラーのネクタイ、キリッと整えられた眉とスッと細い鼻筋には、知的で洗練された雰囲気が漂っている。だが、やや大きな黒目と少し厚みのある唇には、柔らかな雰囲気と少しの愛嬌があった。
総じて、人当たりのいい、実直そうな人だった。
「突然声をおかけして申し訳ありません。私、支倉燿隆の秘書をしております、黒崎透と申します」
「支倉燿隆?」
「玲一さんの祖父に当たります」
息を整えながら、内ポケットから名刺入れを取り出したのを見て、慌てて手を翳した。
「結構です。すみません。目障りでしたらすぐに立ち去りますからっ」
黒崎は一瞬、気圧されたように目を見張ったが、何も言わず名刺入れをしまった。
「いえ、目障りなどとは……ただ、私も一度お会いしたいと思っておりましたので。先ほど車の中からあなたをお見かけして、私は雑誌に掲載されていた写真でしか存じ上げないので見間違いかとも思いましたが、引き返して来てしまいました」
こちらを安心させるように微笑む。自分のカッチリしたスーツ姿が学生に与える印象をわかってのことかもしれないが、綺の心の強張りと焦燥が解けることはない。
「顔色がよろしくありませんが、大丈夫ですか?」
「大丈夫です。それより、何かご用ですか?」
「いえ、特に用があるわけでは。こちらには玲一さんに会いに?」
「いえ、そういうわけじゃ……できれば、僕に会ったことも話さないでください。お願いします」
「……どういうことですか?」
さすがに怪訝そうな顔をされる。
「あの、その前に教えてもらえませんか。支倉さんのお祖父様のいらっしゃるビルは、ここからも見えますか?」
ますます怪訝そうな顔をして、けれど、黒崎は遠くにあるガラス張りの高層ビルの一つを指差した。
「あれですが、わかりますか? 上部に横長の隙間のある……」
説明してくれるのを聞きながら、じっと見つめる。
(あれが、玲一さんの目標……)
ギュッと胸が締め付けられた。
「立派なビルですね」
「ただの箱ですよ」
「えっ……」
綺は、昨日玲一と交わした会話を思い出したが、黒崎に他意はなかったらしい。
「インターンシップや説明会で来る学生が、こういったオフィス街に来るとよく圧倒されていますが、あれはただの箱で、あの中にいるのはただの人です」
「そう、ですね。そうかもしれません……」
(それでも、あの箱に僕が入ることは一生ない……)
ガードレールから降り、黒崎に向き合う。
ギュッと、スケッチブックを握りしめる。
「あなたに、お願いしたいことがあります」
どうやってここに来たのか覚えていない。
だけど目の前の『紺野』という表札を見て、少しホッとしてインターホンを鳴らした。
高校時代にはしょっちゅう遊びに来ていた、縁側のある古い一戸建て。
「はーい、ちょっと待ってて」
家の中から声が聞こえて、ダッダッダッダッと慌ただしい足音が近付いてくる。建て付けの悪い木の門扉がいつも半分開いていて、玄関から出てきた冬樹がそこから顔を出すのも、昔と変わらない。
「うち来んの久しぶり――綺っ!?」
冬樹の顔を見たら安心して、もう立ってもいられなかった。
両手で口を押さえて、その場に崩れ落ちる。
「ふっ、う……ぅっ!」
「綺っ、何があった!?」
駆け寄ってくる冬樹の顔も。
夏の青空も。
海の残像も。
優しいアイスグレーの思い出も。
溢れ出した涙の向こうに消えていく。
どう手を打っていいのかわからなかった。
なんの連絡もない携帯を、もう何度も確認した。
車のキーを握りしめて立ち上がっては、思い留まった。
会ってどうする。
説得するのか。
今更言葉などで彼の心が動かせるのか。
まだ力尽くで体ごと拘束してつなぎとめておく方が易しいと、あり得ない妄想をしては頭を振った。そうじゃない。そんなことがしたいわけじゃない。
そうやって迷っていたら、急に白石商事以外での仕事が立て込んだ。おまけに遠方のセミナーに出席する祖父への同行まで重なり、身動きが取れなくなった。
ただもう顔を見たいという気持ちだけで、いても立ってもいられず、会う約束を取り付けようと玲一が電話をかけたのは、夏の終わりになってだった。だが――
「どういうことだ……」
電話はつながらなかった。
メッセージも送ったが、半日経っても『既読』が付かない。
嫌な予感がした。
最低限、急ぎの仕事だけを片付けて、会社を早退した。
綺のアパートに向かったが、何度インターホンを鳴らしても彼が出てくることはなく、部屋からは物音一つしない。諦めて外から見れば、二階にある綺の部屋の窓からはカーテンが外されていて、バルコニーの柵の向こうに空っぽの室内が見えた。
(どうして……)
頭が上手く回らない。
鼓動が早鐘のように打ち始める。
全身の血の気が引いて、スーツを着て夏の日差しを浴びているのに、寒気に襲われる。
叫び出したいのを抑えてハンドルを握った。
大学に向かいアトリエを訪ねたが、そこにも綺の姿はない。血相を変えて飛び込んできたスーツ姿の男に、怯えた目をして固まっていた学生の一人から、事務室の場所を聞き出して飛び出す。
(綺っ……!)
大学は、最後に会った日の翌日に休学手続きが取られていた。
綺が所属するゼミの教授によれば、一応自分が引き止めて休学ということにさせたが、本人は退学を希望していたということだった。
実家にも行った。
義弟だという高校生くらいの少年が出てきて、綺は絵の勉強のために海外へ行ったが、詳細な行き先や日程は知らされていないと話した。
ギャラリーhakuにも連絡した。
義弟から聞いたのと同じ話を受け、契約は一旦解消したとのことだった。
冬樹にも連絡した。
やはり義弟から聞いたのと同じ話を受け、エールを送って別れたと言った。
「様子がおかしいってことはなかったのか?」
『えっ。いつも通りの綺でしたけど?』
「だが、唐突だとは思わなかったのか?」
引き止めなかったことを責める気持ちがあった。
もちろん、それがただの八つ当たりだともわかっていた。
『それは思いましたけど、でも綺って昔から、時々突拍子もないこと思いついてやっちゃうとこありますし。一度決めたら、オレが何言ったって曲げませんから』
冬樹はさらりと、何でもないことのようにそう応えた。
彼が自分の知らない綺を語っていることに、苛立ち、そしてやり切れなくなった。
玲一と綺は、たった二週間一緒にすごしただけだ。きっと綺には、玲一の知らない面がまだまだたくさんあって、それをこれから、一番近くで見ていけると、そう思っていたのに。
どうしてこんなことになったのか。
呼吸する喉がわななく。
『そういえば』
これ以上聞いていられないと、電話を切り上げかけたとき、冬樹が思い出したように言った。
『楽しかったって言ってましたよ、玲一さんとのバカンス』
「えっ……」
『一晩かけていろいろ聞かされました。海が綺麗だったとか、ペンションが楽しかったとか。浜辺で進路相談に乗ってもらって、自分の世界が変わったとか。別荘のアトリエなんか、あんなに素晴らしい贈り物をもらった自分は、世界で一番幸せな画家の卵だって。表現が一々ドラマチックすぎて笑っちゃいましたけど』
電話の向こうで、冬樹が苦笑している。
『感謝してました、すごく。親友としては悔しい気持ちもあるんですけど、でも、綺のこと救ってくれてありがとうございます』
「俺は……」
本当に救えたのだろうか。
最後の最後で追い詰めてしまったんじゃないのか。
「……悪い。また連絡する」
携帯を握りしめて、ハンドルに突っ伏した。
初めて出会ったときのドレス姿の綺から、最後に会ったときの裸のまま腕の中で幸せそうに微笑んでいた綺まで、彼の様々な表情が脳裏をよぎっては消える。
「綺っ……」
推測できることは二つある。
一つは、小さな箱を出た綺は、玲一の言葉通りに、世界を見渡しに行ったのだろうということ。
そしてもう一つは、綺は玲一から逃げたのだろうということ。だから、玲一にだけは何も告げず、彼を追うための手がかりも一切残さず、旅立ってしまった。
だが、綺がどうしてこんな、徹底的なやり方で姿を消してしまったのかは、どうしてもわからない。きっかけが自分の告白だったのは間違いないのだろうが。
『恋人じゃないと、ダメですか……?』
あのセリフが、耳から離れない。
あれはどういう意味だったのか。
『恋人』という枠にはめられることが不快だったのだろうか。それとも感謝の気持ちを体で返していただけで、恋愛感情は一切なかったから、困らせてしまったのだろうか。
綺のことを理解しているつもりだったのに、いざこうなると何もわからない――そんな、綺が倒れたときに冬樹が嘆いていたのと同じことを思っている。
ということは、綺は冬樹に彼への執着とその理由を隠していたように、自分にも何か隠していたのだろうか。
わからない。
何も。
「っ……」
嗚咽が漏れる。
眉間にグッと力を込めて、固く目を瞑る。
誰の目にも触れない車内で、それでも玲一は声を殺した。
――嘘をついた。
玲一との通話を終えて、緊張から解放された冬樹はフーッと長く息を吐いた。
あの日、冬樹を訪ねてきた綺は真っ青な顔をしていて、顔を合わせるなり泣き崩れた。
様子がおかしいどころじゃない。
いつも通りなんかじゃない。
見たこともない姿だった。
とりあえず、と手を引いて自室に連れて行ったが、握った手は氷のように冷たかった。ベッドに腰掛けさせると、何かに怯える子どものように、冬樹にしがみついて泣き続けた。
一晩かけて玲一との思い出を聞かされることになったのは、土産話が山のようにあったからではなく、そもそも話せるような状態になったのが夜になってからだったのと、話しながら何度も泣いて声を詰まらせていたからだ。
あんな状態だったのに、綺は玲一との思い出を話し続けた。
自分のすごした二週間が夢ではなかったと確かめるように。
玲一は綺のために、いろいろと手を尽くしてくれたようだった。今の玲一は仕事が忙しすぎてプライベートがない、とバンド活動ができなくなって杏介がボヤいていたことを考えれば、ありえないほどの時間を綺に割いてくれていた。
だが、お気に入りの画家、親友の弟の親友、それだけの存在のために、往復六時間かけて通勤するなんてことがあるだろうか。
それに、綺が玲一に感謝と尊敬を超えた感情を抱いていることは、恋愛に疎い冬樹でさえすぐにわかった。
「なぁ、それ、両思いだと思うんだけど……」
指摘すると、綺はビクリと体を震わせ、綺麗な顔を歪ませた。
ゆるゆるとかぶりを振って「でも……」と俯いた。
ポタポタッと膝に涙が落ちた。
「恋人にはなれない」
「なんで?」
長く黙り込んだ後、絞り出すような声で言った。
「……怖い……」
社会的な立場の違い。
玲一から家庭を持つ未来を奪うこと。
玲一の将来を嘱望する支倉家を裏切ること。
自分がいつか夢を追う彼の足かせになるかもしれないこと。
何より、自分が愛している人に、同じように愛されることが怖いと、彼は怯えていた。
せめて自分が恋人ではなく、彼にとっての唯一ではなく、彼に都合が悪くなったときに心を痛めずに切り離してもらえるような存在であれば側にいられたのにと、とんでもないことを言いだすほどに。
「バカなこと言うなよ。素直に愛されてればいいのに……」
愛されるのが怖い、というのは、冬樹にはよくわからなかった。
ただそれ以外についての『怖い』については、わかる気がした。
それくらい、玲一と玲一の背後にあるものは大きい。まして同性愛だ。シンデレラストーリーだなんて浮かれたところで、ハッピーエンドまでにどれほどのハードルがあるかしれない。
一晩かけて思い出を吐き出した綺は、翌朝何もなかったように「おはよう」と笑った。泣き腫らしてひどい顔だったが、目には輝きが戻っていた。
「僕は必ず、画家になるよ」
別れ際、綺は宣言した。
そして、
「僕があの人に応えられるのは画家としてだけだし、何より、絵を描く幸せはあの人が気付かせてくれたものだから」
そう付け加えて、微笑んだ。
透明な笑顔は、朝日の中で思わず見とれるほど美しかった。
綺の決断の全てが正しいことなのかはわからないが、親友としても、一個人としても、この先彼が描く絵を見たいと思った。
だから引き止めなかった。
「淋しくなるな。何かあったら連絡しろよ」
「ありがとう。冬樹の結婚式には戻ってくるよ」
「まだ早いって。もう愛想尽かされそうになってんのに」
小さく溜息をついて見せると、綺はおかしそうに笑った。
「杏介さんにもよろしく」
「ああ。またな」
「うん。また」
親友は旅立った。
「失礼します」
夜遅く。
玲一のマンションに呼ばれた黒崎は、リビングに通された瞬間ドキッとしていた。
ダイニングテーブルの上に、壁にかけられていたはずの綺の絵が伏せて置かれていた。
思いがけず綺と会ってから、もう半月ほどが立つ。
綺麗な青年だった。
無垢な瞳は、まだあどけなさを感じるほどだった。
その目のまま、彼は、困っているので助けてほしいと言った。
自分が誑かしたらし込んだ某御曹司が、自分に本気になってしまったので、逃げるのを手伝ってほしい。具体的には、これから半月ほどの間自分の動きが彼に勘付かれないよう、逃げた後は彼が自分の後を追ってこられないよう、手を回してほしいと。
某御曹司などという言い方をしても、それが玲一であることは明白だった。誑かしたなどと言ってはいても、到底そんなことができるような青年には見えず、綺自身それをわかっているようだった。
あの時、なぜ彼が見え透いた嘘をつき、自身を貶めるような説明をしたのかはわからない。玲一が同性愛者というわけではないと主張し偏見から庇うためか、手を貸す黒崎に罪悪感を持たせないためか、深く説明を求められたくなかったのか。
悪意は感じなかったが、納得はできなかった。
「玲一さんは、あなたが必要だと言っていました」
「ありえません。まだ自分の足場さえ確かでない一介の男子大学生が、彼に対して、足を引っ張る以外の何ができるっていうんですか」
ああこの言葉がすべてなのだ、と黒崎は理解した。
だから受け入れた。
大人らしく小狡い知恵をはたらかせて。
「条件があります」
「……なんでしょうか?」
「この先、一度だけでいい。玲一さんに会いに来てください」
玲一の笑顔を守りたいと思った。
だが支倉邸で榊を前にして、自身の力不足を痛感したのも確かだった。
燿隆と榊は玲一を監視している。同性愛が、一時の気の迷いではなく本気のものだと知れば、容赦なく引き離すだろう。そしてきっと、今の玲一と自分には、それに抗えるだけの十分な力がない。
目の前の青年を、そんな世界に巻き込むのは酷だ。
だが、十年側にいて、あの幸せそうな笑顔を見たのは初めてだったのだ。綺のような存在がそうそう現れるとは思えない以上、玲一がもう一度彼を取り戻すチャンスを残しておきたかった。
その後、彼が海外に発ったことは確認した。
今どこにいるのかは、黒崎も知らない。
玲一は窓の外を眺めていた。
視線の先には、真っ暗な中に煌々と聳そびえ立つ高層ビル群。
「一つ、決めたことがあります」
感情の窺えない、静かな声だった。
「二年後を目処に、祖父の元へ行きます」
ドッ、と鼓動が乱れた。
いずれは、と誰もが思っていたことだ。
それなのになぜ、こんなにも胸が騒ぐのだろう。
「そのために少し手荒なことをします。きっと恨みも買うでしょうが……黒崎さんの手を借してもらえますか?」
玲一が振り返る。
アイスグレーの双眸が、ひしと黒崎を見据える。
ぞっとするほど鋭く、冷たく、揺るぎない眼差し。
「燿隆様の座を目指すのですか?」
「ええ」
「勝算は、おありなのですか」
その問いに、玲一はフッと微笑んだ。
「もう飽きるほどシミュレートして、そう……退屈なくらいです」
震えが走るほど美しい笑みに、魅入られる。
「私でお役に立てるのでしたら」
黒崎は恭しく頭を下げた。
end.
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