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庸子の家に戻ってきた洋吉と神川は庸子の部屋ではなく、ドールハウスがある、庸子の妹、義理の妹幸江の部屋にいた。幸江は神川がいることに驚いた。幸江の顔は青ざめたままでいる。
「あなた達、なにをしているのよ」
とがめるように幸江は言った。幸江に頭を下げた大滝は手のひらにある小さな犬の人形を幸江に見せた。
「こんなおもちゃを出してなにをするのよ」
「これは庸子お嬢様を呪詛するものです」
「ただのおもちゃよ」
「本当にそう思っていますかな」
大滝が疑わしいと言いたげだった。そんな大滝にひるむことすらなく、嫌悪感を隠さずに険しい視線を幸江は大滝に浴びせていた。大滝はなにやら考えている様子だった。
「まあ、幸江お嬢様が置いたのかい」
「こんな趣味を私が持っているなんて」
「ドールハウスは、開かなかったと」
「ふふん。なんだ、簡単なじゃないか」
三津堂はいつの間にか三味線を取り出した。幸江は驚き呆れた顔をした。
洋吉は久しい見ていなかった、三味線だった。三津堂ならば簡単にこれを解決してくれる。そう考えていた。
「嘘を言ってはダメですよ。三津堂にはお見通しです」
三味線がジャンと鳴る。洋吉はなにが始まるのか身構えた。ジャンジャンと三味線はうなるように鳴る。
「寂しい、寂しい令嬢は。この世をはかなんでいました」
はらり、はらりと桜の花びらが舞ってきた。洋吉の目の錯覚かもしれない。どういう原理なのか洋吉にはよくわからない。
悲しい令嬢にはお友達がいましたが、それを打ち明けるにはとても勇気が必要でした。だから、あえて日記で自分の胸の内をはき出していました。
悲しい令嬢、悲しい令嬢。呪詛をしたのはあなた自身だ。最初は軽い気持ち。
「なっ、なんで私が」
幸江がいうと、大滝は「あなたではない。庸子自身が呪詛を行ったのか」と考えているようだった。
「なんで、そんなことを」
洋吉は三津堂に問いかけようとした。が、神川は洋吉の腕を取っていた。洋吉は神川をにらみつける。
「もう少し様子を見よう」
「あなたは、悲しみのあまりに孤独になった。あなたには友達がいる。庸子さん。あそこにいる」
洋吉は顔を上げた。洋吉の目にはなにもうつらない。桜の花びらが見える。洋吉は「庸子さん」と言っていた。
大滝の手にある、犬がピキリと割れた。それが合図になって、屋敷が騒がしくなった。幸江は泣き出していた。
「あなたは頼まれただけですね。庸子さんから」
「呪詛なんて信じていなかった。ただ、頼まれただけだから。私はなにもしていない」
「ええ。お嬢さんはなにもしていません。ただの遊び半分でした。しかし、呪詛返しはちゃんとあるんですよ」
キャッと幸江は叫んだ。倒れる前に大滝はいつの間にかあの剣を持っていた。幸江の前に立って、黒いなにかを剣で斬りつけたように洋吉には見えた。幸江はブルブルと震えていた。
「痛い」
幸江の指先が切れていた。神川は颯爽と幸江に近づいて、ハンカチで手を抑えた。幸江の頬が赤く染まったのを洋吉は気がついた。
「まあ、あなた達、まだいたのですか。なんですか、あなたも」
夫人は険しい顔を隠すつもりがないのか、そう言った。怒っているようだが、喜びで頬は赤いのは隠しようにもなかった。
「その、庸子さんは気がつきましたか」
洋吉が問いかけると夫人はうなずいていた。お医者さまのおかげでね、とも言いたげであった。
「面白いものを見せてもらったよ。またよろしく」
にこりとも笑わず庸子の父親が言った。果たして洋吉には茶番のような気がした。なぜ三津堂は庸子が自分で自分を呪詛した理由を言わなかったか。どうして三津堂はまるで庸子に話しかけるような口振りだったのか洋吉には不思議だった。
洋吉と神川は立ち去ることにした。またしとしと雨が降ってきた。寒くなった体でまたホッピーを飲もうかとのんきに言っていた。
「それにしても今回は洋吉君の手柄だね」
なにげなく洋吉の隣に歩いている神川が言った。洋吉と神川は重たいコウモリ傘をかぶっていた。コウモリ傘に雨粒が弾いていた。
ぬかるんだ道に足をとらわれながらも洋吉は神川を見つめた。暗闇の中では彼がなにを考えて言っているのか洋吉にはわからなかった。
寒さに身を縮めていた洋吉に「庸子さんは私より君を選ぶよ」と自信ありげに言った。洋吉にはそれが神川の慰めであることはわかった。
「神川は恋をしたことがないのかい」
「さあ。私は忘れてしまったから」
「嘘を言うのがうまいな。もし恋敵から慰めてもらうような言葉が嬉しいかい」
洋吉の言葉に冷ややかな口調で神川は答えていた。
「庸子さんは恋に憧れただけだよ。それに私は彼女とはあまり話したことはないよ」
洋吉は暗闇の中で目を見張った。洋吉の表情など神川ならばお見通しだろうか。神川か短く笑った。
「洋吉君。普通の女性は恥じらいを知っているよ」
洋吉はなにがなんだか、わからなかった。洋吉の困惑など神川は素知らぬ顔をしているようだった。
洋吉は手紙をもらった。神川を介して、庸子からの手紙だ。庸子の手紙は白い封筒に入れられ、女性らしいたおやかな曲線を描いていた字だった。洋吉さんと始まる手紙だぢた。
「洋吉さん。やっぱり面と向かってあなたに会うのは恥ずかしいから、こうして手紙をしたためています。小説のような気取った女のようだと思われないか、私はちょっとだけ面はゆいものです。だけど文を書くのは嫌いではないのです。こうして洋吉さんと三津堂さんや大滝さん、神川先生にお礼の手紙を書いているのは不思議と心が凪いでいくようです」
洋吉は読み終わると駆け出していた。洋吉は見送る神川はまぶしそうに目を細めていた。洋吉は駆け出した。屋敷ではない。むしろあの神社に向かっていた。神社のすぐそばに黒塗りの車が止まっているのを横目に洋吉は息を切らしていた。
庸子まであとわずかだった。手紙を手にしたまま洋吉は庸子へと向かっていた。
「庸子さん」
「あら、洋吉さん」
息を切らして顔を真っ赤にした洋吉を庸子は驚いていない。
「どうしたの」
「あなた……に、会いたく……て」
切れ切れにいう洋吉を見つめていた庸子は笑った。
「手紙を読んだのですか」
「お母さんが亡くなったあとすぐに再婚して。居場所がないと絶望したあなたを私は、なにもしてあげられなかった。意地悪なことを言って」
すみませんと洋吉は頭を下げていた。
「いいの。だって洋吉さん私に相手をしてくれた」
庸子はそれだけだった。洋吉にはそれだけしかできずにいた。洋吉は悲しかった。
「君は家で孤独だった」
庸子の眼鏡越しの目を見つめていた洋吉は彼女が澄んでいることに気がついた。庸子の目をみると、手を握りたくなった。そんな自分の衝動を抑える洋吉がいた。
「洋吉さん。私ね、あなたと会うのがちょっとだけ怖かった」
「正体の知れない男ですからね」
「それもあるけど私の正体を知ったらきっと驚いて逃げるんじゃないかと」
洋吉はそれもそうだと納得する。洋吉の表情を見ていた庸子はなにかに誘われて笑ったような顔をした。それはいたずらめいた、かわいらしい笑顔だった。
「寒いですね」
「洋吉さん。あなたはお母さまが自殺したと思いましたか」
「えっ」
洋吉は庸子を見ていた。彼女は立っている。そうして近づいてきた洋吉は彼女の手をつかんだ。彼女の冷たい手をつかみ、ぎゅっと握った。彼女の張り詰めた気持ちがゆっくりとでもいいからほぐれるように願いをこめていた。
「ごめんなさい。手を離してください」
「はい」
「洋吉さん、どうしてこんなことを」
「あなたが心細いのかと思いました。いきなりすみません」
庸子は顔を真っ赤にした。庸子は山を見た。あまり怒ってはいないようだ。
「洋吉さん。私はお母さまが自殺したのではないかと考えているんです。病気、胸の病気で亡くなったなんて信じられない」
「それは」
「私は変かもしれません」
洋吉はじっとしていた。風がさらさらと紅葉を散らしていく。赤い色や黄色が混じった世界で確かにそれは散った。
「なにも言わないんですね。面食らいましたか」
「私は、あの、違うと思います。庸子さんを置いてお母さまが逝けば、庸子さんがひとりぼっちになってしまいます」
だからと洋吉は言った。庸子はぼんやりとした顔を見つめていた。
「洋吉さんは暖かな人なんですね。普通ならば責めるのに。おまえの頭はおかしい、と言えるのに」
「庸子さん。疲れているんです。あなたは」
歩きましょうと洋吉は歩いていく。二人は距離を保ったままに歩くのだ。
「山が美しいでしょう」
「ええ、本当に」
「これから寒くなりますよ。風邪を引かないように」
「冬にここには来れないかもしれません。試験がありますから。もし遊びにいらっしゃって。神川さんと一緒に」
「行きますよ」
洋吉は苦い気持ちを飲み込んで言った。洋吉の気持ちを知らずに庸子は山を見ていた。その横顔に影はなく、ただ山の風景に魅了されているように見える。
彼女の頭の中の妄想は彼女を今も追い詰めているのだろうか。洋吉はそう思うと切なく、庸子の肩を抱きしめていたい気持ちになった。
「庸子様」
使用人が呼び止める。庸子は顔を上げる。
「またお話しましょう」
「あなた達、なにをしているのよ」
とがめるように幸江は言った。幸江に頭を下げた大滝は手のひらにある小さな犬の人形を幸江に見せた。
「こんなおもちゃを出してなにをするのよ」
「これは庸子お嬢様を呪詛するものです」
「ただのおもちゃよ」
「本当にそう思っていますかな」
大滝が疑わしいと言いたげだった。そんな大滝にひるむことすらなく、嫌悪感を隠さずに険しい視線を幸江は大滝に浴びせていた。大滝はなにやら考えている様子だった。
「まあ、幸江お嬢様が置いたのかい」
「こんな趣味を私が持っているなんて」
「ドールハウスは、開かなかったと」
「ふふん。なんだ、簡単なじゃないか」
三津堂はいつの間にか三味線を取り出した。幸江は驚き呆れた顔をした。
洋吉は久しい見ていなかった、三味線だった。三津堂ならば簡単にこれを解決してくれる。そう考えていた。
「嘘を言ってはダメですよ。三津堂にはお見通しです」
三味線がジャンと鳴る。洋吉はなにが始まるのか身構えた。ジャンジャンと三味線はうなるように鳴る。
「寂しい、寂しい令嬢は。この世をはかなんでいました」
はらり、はらりと桜の花びらが舞ってきた。洋吉の目の錯覚かもしれない。どういう原理なのか洋吉にはよくわからない。
悲しい令嬢にはお友達がいましたが、それを打ち明けるにはとても勇気が必要でした。だから、あえて日記で自分の胸の内をはき出していました。
悲しい令嬢、悲しい令嬢。呪詛をしたのはあなた自身だ。最初は軽い気持ち。
「なっ、なんで私が」
幸江がいうと、大滝は「あなたではない。庸子自身が呪詛を行ったのか」と考えているようだった。
「なんで、そんなことを」
洋吉は三津堂に問いかけようとした。が、神川は洋吉の腕を取っていた。洋吉は神川をにらみつける。
「もう少し様子を見よう」
「あなたは、悲しみのあまりに孤独になった。あなたには友達がいる。庸子さん。あそこにいる」
洋吉は顔を上げた。洋吉の目にはなにもうつらない。桜の花びらが見える。洋吉は「庸子さん」と言っていた。
大滝の手にある、犬がピキリと割れた。それが合図になって、屋敷が騒がしくなった。幸江は泣き出していた。
「あなたは頼まれただけですね。庸子さんから」
「呪詛なんて信じていなかった。ただ、頼まれただけだから。私はなにもしていない」
「ええ。お嬢さんはなにもしていません。ただの遊び半分でした。しかし、呪詛返しはちゃんとあるんですよ」
キャッと幸江は叫んだ。倒れる前に大滝はいつの間にかあの剣を持っていた。幸江の前に立って、黒いなにかを剣で斬りつけたように洋吉には見えた。幸江はブルブルと震えていた。
「痛い」
幸江の指先が切れていた。神川は颯爽と幸江に近づいて、ハンカチで手を抑えた。幸江の頬が赤く染まったのを洋吉は気がついた。
「まあ、あなた達、まだいたのですか。なんですか、あなたも」
夫人は険しい顔を隠すつもりがないのか、そう言った。怒っているようだが、喜びで頬は赤いのは隠しようにもなかった。
「その、庸子さんは気がつきましたか」
洋吉が問いかけると夫人はうなずいていた。お医者さまのおかげでね、とも言いたげであった。
「面白いものを見せてもらったよ。またよろしく」
にこりとも笑わず庸子の父親が言った。果たして洋吉には茶番のような気がした。なぜ三津堂は庸子が自分で自分を呪詛した理由を言わなかったか。どうして三津堂はまるで庸子に話しかけるような口振りだったのか洋吉には不思議だった。
洋吉と神川は立ち去ることにした。またしとしと雨が降ってきた。寒くなった体でまたホッピーを飲もうかとのんきに言っていた。
「それにしても今回は洋吉君の手柄だね」
なにげなく洋吉の隣に歩いている神川が言った。洋吉と神川は重たいコウモリ傘をかぶっていた。コウモリ傘に雨粒が弾いていた。
ぬかるんだ道に足をとらわれながらも洋吉は神川を見つめた。暗闇の中では彼がなにを考えて言っているのか洋吉にはわからなかった。
寒さに身を縮めていた洋吉に「庸子さんは私より君を選ぶよ」と自信ありげに言った。洋吉にはそれが神川の慰めであることはわかった。
「神川は恋をしたことがないのかい」
「さあ。私は忘れてしまったから」
「嘘を言うのがうまいな。もし恋敵から慰めてもらうような言葉が嬉しいかい」
洋吉の言葉に冷ややかな口調で神川は答えていた。
「庸子さんは恋に憧れただけだよ。それに私は彼女とはあまり話したことはないよ」
洋吉は暗闇の中で目を見張った。洋吉の表情など神川ならばお見通しだろうか。神川か短く笑った。
「洋吉君。普通の女性は恥じらいを知っているよ」
洋吉はなにがなんだか、わからなかった。洋吉の困惑など神川は素知らぬ顔をしているようだった。
洋吉は手紙をもらった。神川を介して、庸子からの手紙だ。庸子の手紙は白い封筒に入れられ、女性らしいたおやかな曲線を描いていた字だった。洋吉さんと始まる手紙だぢた。
「洋吉さん。やっぱり面と向かってあなたに会うのは恥ずかしいから、こうして手紙をしたためています。小説のような気取った女のようだと思われないか、私はちょっとだけ面はゆいものです。だけど文を書くのは嫌いではないのです。こうして洋吉さんと三津堂さんや大滝さん、神川先生にお礼の手紙を書いているのは不思議と心が凪いでいくようです」
洋吉は読み終わると駆け出していた。洋吉は見送る神川はまぶしそうに目を細めていた。洋吉は駆け出した。屋敷ではない。むしろあの神社に向かっていた。神社のすぐそばに黒塗りの車が止まっているのを横目に洋吉は息を切らしていた。
庸子まであとわずかだった。手紙を手にしたまま洋吉は庸子へと向かっていた。
「庸子さん」
「あら、洋吉さん」
息を切らして顔を真っ赤にした洋吉を庸子は驚いていない。
「どうしたの」
「あなた……に、会いたく……て」
切れ切れにいう洋吉を見つめていた庸子は笑った。
「手紙を読んだのですか」
「お母さんが亡くなったあとすぐに再婚して。居場所がないと絶望したあなたを私は、なにもしてあげられなかった。意地悪なことを言って」
すみませんと洋吉は頭を下げていた。
「いいの。だって洋吉さん私に相手をしてくれた」
庸子はそれだけだった。洋吉にはそれだけしかできずにいた。洋吉は悲しかった。
「君は家で孤独だった」
庸子の眼鏡越しの目を見つめていた洋吉は彼女が澄んでいることに気がついた。庸子の目をみると、手を握りたくなった。そんな自分の衝動を抑える洋吉がいた。
「洋吉さん。私ね、あなたと会うのがちょっとだけ怖かった」
「正体の知れない男ですからね」
「それもあるけど私の正体を知ったらきっと驚いて逃げるんじゃないかと」
洋吉はそれもそうだと納得する。洋吉の表情を見ていた庸子はなにかに誘われて笑ったような顔をした。それはいたずらめいた、かわいらしい笑顔だった。
「寒いですね」
「洋吉さん。あなたはお母さまが自殺したと思いましたか」
「えっ」
洋吉は庸子を見ていた。彼女は立っている。そうして近づいてきた洋吉は彼女の手をつかんだ。彼女の冷たい手をつかみ、ぎゅっと握った。彼女の張り詰めた気持ちがゆっくりとでもいいからほぐれるように願いをこめていた。
「ごめんなさい。手を離してください」
「はい」
「洋吉さん、どうしてこんなことを」
「あなたが心細いのかと思いました。いきなりすみません」
庸子は顔を真っ赤にした。庸子は山を見た。あまり怒ってはいないようだ。
「洋吉さん。私はお母さまが自殺したのではないかと考えているんです。病気、胸の病気で亡くなったなんて信じられない」
「それは」
「私は変かもしれません」
洋吉はじっとしていた。風がさらさらと紅葉を散らしていく。赤い色や黄色が混じった世界で確かにそれは散った。
「なにも言わないんですね。面食らいましたか」
「私は、あの、違うと思います。庸子さんを置いてお母さまが逝けば、庸子さんがひとりぼっちになってしまいます」
だからと洋吉は言った。庸子はぼんやりとした顔を見つめていた。
「洋吉さんは暖かな人なんですね。普通ならば責めるのに。おまえの頭はおかしい、と言えるのに」
「庸子さん。疲れているんです。あなたは」
歩きましょうと洋吉は歩いていく。二人は距離を保ったままに歩くのだ。
「山が美しいでしょう」
「ええ、本当に」
「これから寒くなりますよ。風邪を引かないように」
「冬にここには来れないかもしれません。試験がありますから。もし遊びにいらっしゃって。神川さんと一緒に」
「行きますよ」
洋吉は苦い気持ちを飲み込んで言った。洋吉の気持ちを知らずに庸子は山を見ていた。その横顔に影はなく、ただ山の風景に魅了されているように見える。
彼女の頭の中の妄想は彼女を今も追い詰めているのだろうか。洋吉はそう思うと切なく、庸子の肩を抱きしめていたい気持ちになった。
「庸子様」
使用人が呼び止める。庸子は顔を上げる。
「またお話しましょう」
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