25 / 67
25話 アイトさん、スノーモービルですよ
しおりを挟む
「さぁ、アイトさん! ウーゼンに到着しまし……た?」
ナナさんは固まって前方を眺めている。
「えーと、ウーゼンって火山地帯なんだよね?」
「ですね……」
しかし、目の前には雪による銀世界が広がっていた。
「うーん? 地図的にはここで合っているんですよね」
ナナさんは端末と外の景色を見比べながら言う。
「ウーゼンの街はこの先にあるの?」
「はい、温泉街があります。とりあえずそこまで行ってみましょう」
「そうだね」
「だけどその前に……」
ナナさんは車から降りた。
何をしているのか見ていると、彼女が指を鳴らした瞬間、キャンピングカーの前輪が板状に、後輪がゴツゴツしたタイヤに変化していった。
「雪道をこのまま走るのは不便ですからね。スノーモービルにモードチェンジしました」
すのーもーびる?
たぶん、見た目的にソリのようなモノだろうと納得した。
運転席に戻ったナナさんはブツブツと文句を言っている。
「ホント雪って面倒で嫌いです!」
「そうなんだ? 僕は見慣れてないからちょっと新鮮だな」
「最初はそう、綺麗だなぁと思ったりするんですけど、すぐに飽きてウンザリしちゃいますって」
確かに、雪では行動が阻害されそうだし、厄介かもしれない。
◆
キャンピングカー(スノーモービルモード)で進んでいると、建物群が見えてきた。
アレがウーゼンの温泉街だろう。
しかし、街中に入ってみても人の気配はしなかった。ここも、カルネスト湖や古代樹の街のように廃墟のようである。
「温泉街って感じじゃなさそうだね」
「うー、ここまで来たからには意地でも温泉に入りたいです」
「ちょっと探索してみようか?」
僕らは入ることができる温泉がないか探してみたが、どこにも温泉は湧いていなかった。
「ダメだね。それらしき形跡はあるけど、どこも枯れてしまってる」
廃墟の様子を見るに、何十年と経ってしまっているようだ。
この街は、温泉が枯れてしまったせいで寂れたのかもしれない。
「どうしようかナナさん?」
と、話を向けるがナナさんの反応がない。
どうしたのかと見てみると、彼女は不可思議そうに首を傾げている。
「ナナさん?」
「ん? あぁ、ごめんなさいアイトさん。ちょっと変な気配を感じていまして……」
それが何なのか尋ねようとした時、ふとどこかから女の子の鼻歌が聴こえてきた。
さっきまでは誰もいなかったはずなのに。
怪しい。
「いや、これって……まさか……」
ナナさんは訝しげな表情で声のする方を見ている。
建物の角から、雪だるまを転がしながら女の子が現れた。
背は低いが、緑色の髪が腰より下まで伸びている。
「げっ!?」
ナナさんが後ずさる。
「あっ!」
女の子がこちらに気づいた。
「ナナしゃーん!!」
彼女はいきなりナナさんに抱きついてきた。
「うげぇ、ミミ!」
ナナさんは顔を引き攣らせている。
「えっとナナさん、その娘とは知り合いなの?」
「知り合いというか……この娘もわらわと同じ魔神です」
ナナさんは抱きついている女の子を指差す。
「魔神ミミナミナエルです」
ナナさんは固まって前方を眺めている。
「えーと、ウーゼンって火山地帯なんだよね?」
「ですね……」
しかし、目の前には雪による銀世界が広がっていた。
「うーん? 地図的にはここで合っているんですよね」
ナナさんは端末と外の景色を見比べながら言う。
「ウーゼンの街はこの先にあるの?」
「はい、温泉街があります。とりあえずそこまで行ってみましょう」
「そうだね」
「だけどその前に……」
ナナさんは車から降りた。
何をしているのか見ていると、彼女が指を鳴らした瞬間、キャンピングカーの前輪が板状に、後輪がゴツゴツしたタイヤに変化していった。
「雪道をこのまま走るのは不便ですからね。スノーモービルにモードチェンジしました」
すのーもーびる?
たぶん、見た目的にソリのようなモノだろうと納得した。
運転席に戻ったナナさんはブツブツと文句を言っている。
「ホント雪って面倒で嫌いです!」
「そうなんだ? 僕は見慣れてないからちょっと新鮮だな」
「最初はそう、綺麗だなぁと思ったりするんですけど、すぐに飽きてウンザリしちゃいますって」
確かに、雪では行動が阻害されそうだし、厄介かもしれない。
◆
キャンピングカー(スノーモービルモード)で進んでいると、建物群が見えてきた。
アレがウーゼンの温泉街だろう。
しかし、街中に入ってみても人の気配はしなかった。ここも、カルネスト湖や古代樹の街のように廃墟のようである。
「温泉街って感じじゃなさそうだね」
「うー、ここまで来たからには意地でも温泉に入りたいです」
「ちょっと探索してみようか?」
僕らは入ることができる温泉がないか探してみたが、どこにも温泉は湧いていなかった。
「ダメだね。それらしき形跡はあるけど、どこも枯れてしまってる」
廃墟の様子を見るに、何十年と経ってしまっているようだ。
この街は、温泉が枯れてしまったせいで寂れたのかもしれない。
「どうしようかナナさん?」
と、話を向けるがナナさんの反応がない。
どうしたのかと見てみると、彼女は不可思議そうに首を傾げている。
「ナナさん?」
「ん? あぁ、ごめんなさいアイトさん。ちょっと変な気配を感じていまして……」
それが何なのか尋ねようとした時、ふとどこかから女の子の鼻歌が聴こえてきた。
さっきまでは誰もいなかったはずなのに。
怪しい。
「いや、これって……まさか……」
ナナさんは訝しげな表情で声のする方を見ている。
建物の角から、雪だるまを転がしながら女の子が現れた。
背は低いが、緑色の髪が腰より下まで伸びている。
「げっ!?」
ナナさんが後ずさる。
「あっ!」
女の子がこちらに気づいた。
「ナナしゃーん!!」
彼女はいきなりナナさんに抱きついてきた。
「うげぇ、ミミ!」
ナナさんは顔を引き攣らせている。
「えっとナナさん、その娘とは知り合いなの?」
「知り合いというか……この娘もわらわと同じ魔神です」
ナナさんは抱きついている女の子を指差す。
「魔神ミミナミナエルです」
0
あなたにおすすめの小説
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ
月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。
こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。
そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。
太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。
テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~
さとう
ファンタジー
とある王国貴族に生まれた少年リュウキ。彼は生まれながらにして『大賢者』に匹敵する魔力を持って生まれた……が、義弟を溺愛する継母によって全ての魔力を奪われ、次期当主の座も奪われ追放されてしまう。
全てを失ったリュウキ。家も、婚約者も、母の形見すら奪われ涙する。もう生きる力もなくなり、全てを終わらせようと『龍の森』へ踏み込むと、そこにいたのは死にかけたドラゴンだった。
ドラゴンは、リュウキの境遇を憐れみ、ドラゴンしか使うことのできない『闘気』を命をかけて与えた。
これは、ドラゴンの力を得た少年リュウキが、新しい人生を歩む物語。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる