底辺冒険者、ギルドを辞めて最強鬼畜魔神(美少女)とキャンピングカーで旅に出る

一本坂苺麿

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50話 アイトさん、科学技術です

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「君たちはちょっと待っていてくれ」

 イースはそう言って雑踏の中に姿を消した。

「大丈夫なのかな?」
「まぁ、アイツの力があれば大丈夫ですよ」

 ナナさんはどうでも良さそうに手をヒラヒラと振る。

 僕らは近くにあったベンチに腰掛ける。それは弾力性があって座り心地が良い。

「凄い技術を持っているんだね、天使って。それと彼らの姿……」
「地上の人間と変わらない、ですよね? そうなんです。種族としては同じなんです。地上と天上、その違いは魔術で発展したか、科学技術で発展したかです」

 科学技術……
 それが天使たちが使う術。魔術とは異なる力。

 僕は通りを行き交う天使たちを眺める。

「こうして見ると、天使の人たちは幸せそうだね」

 みんな笑顔で楽しそうだ。物で溢れているし、食べ物に困ることもなさそうに思える。
 地上とは大違いだ。

「アイトさんから、いいえ、地上の人たちからしたらそう見えるでしょうね」
「ホントは違うの?」

 ナナさんは首を振る。

「いえ、ここは幸福な場所でしょう。ただしそれはこの場所の束縛に適応している者に限った話です」

 ナナさんも通りの天使たちを眺める。

「与えられた役割を何の疑問を持たずに全うする。その枠組みから外れた者は処分されるんです」
「処分って……?」

 僕は遠慮がちに尋ねる。

「秩序を乱す者は消される。わらわのような魔神なんて許されない存在なんです」

 ナナさんは魔神になってしまったから、他の天使たちに命を狙われたのか。

「まぁ、わらわは魔神になる前からこんな所は牢獄としか思えなかったんですけど。自由がないんですよ」

 彼女の言うことはなんとなくわかる気がする。
 冒険者ギルドに所属していた時は僕も同じように感じていた。その牢獄から救ってくれたのが他ならぬナナさんなのだ。

 その場で待っていると、一台の自動車が僕らの側に降りて来た。

「やぁ、待たせたね」

 助手席からイースが顔を覗かせている。
 運転席には見知らぬ男がハンドルを握っている。
 その男は虚ろな瞳で前を見続けている。

「彼がその地上監視センターに案内してくれるよ。さぁ、乗って」

 僕とナナさんは車の後部座席に乗り込んだ。

「その人は何者なんですか?」

 僕はイースに問いかけた。

「ソイツには死霊が取り憑いているんですよ」

 答えたのはナナさんだ。彼女は忌々しそうに運転手を見ている。

「死霊?」
「えぇ、それがイースのデーモン・ディメンションなんです」

「死霊なんて呼び方はよしてくれ。彼らは王家の為に尽くしてくれているんだ。英霊だよ」

 イースが憤慨したように言う。

「どういうことなんです?」
「彼らは私に肉体を提供してくれた王子たちの霊だよ」

 イースはは運転手を示して言う。

「彼らはその肉体だけでなく、魂も王家に捧げてくれているんだ」
「はん! 強制させてるだけでしょうに」
「それが彼らにとっての本望なのだよ?」
「客観的に見たら、あんた悪党じゃない」
「心にも無いことを。ここまで来て今更善悪もないだろう。大事なのはアナフィリア王国の発展さ」

 違う。
 僕らとイースは違う。
 僕とナナさんは自由を求め、イースは自由を是としない。
 今は協力し合っているけれど、もし天使との戦いが終わったらどうなるのか?
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