あの頃のあなたに

そら

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新たな疑問

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目が覚めると、わたしは学校にいた。
あれから数日後、近所の神社で例の儀式を行ってみた。すると思った通り意識を失い、目を開けるとわたしは過去の夢の中にいた。わたしの見立ては間違っていなかった。
この日は学活の時間で、誕生日の児童のためにお楽しみ会をするというものだった。お楽しみ会というのは、クラスの皆でだるまさんがころんだやこおりおになどの遊びをして交流をはかる時間だ。今は5月の終わりだけれど4月は忙しくてお楽しみ会ができなかったので、4月生まれと5月生まれの人を祝って開催するようだ。黒板には子どもの字で活動内容が記載されている。どうやらフルーツバスケットとドッヂボールをするらしい。
「プログラム一番、初めの挨拶。明石さんお願いします。」
「はい。」
明石さんが前へ出て、楽しみましょうといった簡単な挨拶をする。そういえば、純平も4月生まれだったな、と思っていると、明石さんが4月5月の誕生日の人の名前と誕生日を読み上げる。
「4月2日生まれ、森純平くん。4月25日生まれ、佐藤美鈴さん。…」
耳を疑った。聞き間違えたかと思った。純平が4月2日生まれ…?1日の間違いではないだろうか。
「…、おめでとうございます。」
明石さんがお祝いの言葉を述べると拍手が沸き起こった。先生が手を叩きながら大声をあげる。
「それじゃあ皆、椅子の用意をしてー。」
時間がないからと皆急いで机を後ろに移動させる。机と椅子を動かす鉄とタイルがこすれるギーという不快な音が教室中に響く。
―純平は同一人物じゃない…?
考えながら身体は動かす。誕生日が違うということは違う人物なのだろうか、それとも夢だと思っていたこの世界は現実世界の過去で、わたしがきたことによって何かが変わってしまったのだろうか…。…いや、こちらにきたときの新聞は、22年前だった。純平は28歳だから、この世界が過去だとしたら今目の前にいる10歳の純平と、現代の純平は6歳のはずで、計算が合わない。それならば、この世界は一体…。
椅子を円形になるように中心に向かって並べ、フルーツバスケットの準備をする。ふと対面に座る純平を見たとき、ある仮説が頭に浮かんだ。
―この世界とわたしがいた世界は、まったく別の時間軸が流れているのだろうか。
この世界はわたしの元いた世界と繋がりのない、全くの別世界つまり平行世界。それぞれの世界で、純平は別々の人物として過ごしている。思考も、経験も、もしかしたら体格まで違うのではないだろうか。性格は変わっていないし、顔も全く同じに見えるが…。
そこまで考えて急にお腹が痛くなり、うっすらと冷や汗をかく。これは…おならの兆候だ。だめだ。我慢しなければならない。お腹に力を入れるが、ガスはひいてくれそうにない。すかしっぺをしようと覚悟を決めたその時。
プッ
甲高い音が教室に鳴り響いた。一瞬の沈黙。誰が先か、わはははと笑い声がし始めた。笑っていない子もいたけれど、ほとんどの子は笑顔だった。恥ずかしくて顔が真っ赤になっていただろう。
「すみません…。」
と言ったわたしは、翌日からプチお笑い担当になってしまった。
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