あの頃のあなたに

そら

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ショックなこと

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「おならちゃん。」
一番ひどいあだ名をこそっと純平につけられた。小さいころから人をおちょくることは忘れないらしい。それが悲しいような、変わってなくてうれしいような、複雑な気持ちだった。好きな人からいじられるとは、神様はなんと素敵なイベントを用意してくれたんだろう。そういう状況を自分で作り出したことが複雑だった。それまでは、大人しくて真面目なイメージで通っていたのに…。掃除時間やすれ違いざまなど、ちょっとしたときに純平は『おならちゃん』と口にした。やめなさい、と口にしてくれる同級生もいたが、わたしの様子を見てそれも引いていった。小学生がおちょくるのは、好きな人だと相場が決まっている。純平はわたしのことが好きなのだろうか…。それも思い上がりなのだろうか。純平と関われる時間があって、それでお笑い担当になるならそれでもかまわなかった。

 「純平って三神さんのこと好きでしょ。」
ある日の掃除時間に、谷川君が聞いた。小声で聞いたようだったが、わたしにはばっちり聞こえていた。教室掃除なので、ほかにも聞いていた人がいたかもしれない。
「なんで?」
「そんな気がするから。」
谷川君はほうきで床を掃きながらおちょくるように言う。
「好きじゃないし。」
純平は笑いながら言う。聞こえているわたしは目の前が銀色に染まっていくような気がした。
「じゃあ誰が好きなの。」
緊張で、お腹が痛くなる。胸が締め付けられるようだった。やめて。それ以上は聞きたくない。
「うーん、山川さん、かな。」
志織のこと…?やっぱりそうだったか。色白のぱっちりした目の女の子が好きなのは、今も昔も変わらない。そういえばよく笑う子も好きだと言っていた。志織は好きな人はいないと言っていたが…もし志織も好きだったらどうしよう。夢から覚めたらわたしが純平の妻だからいいんだ、という気持ちと、ほかの子を好きになってほしくないという気持ちでいっぱいだった。
―そっか。志織が好きなんだ。
自分の顔が熱くなり、徐々に体中が熱くなっていった。
―人生なんて、そんなものだよね。
結局、わたしは純平のタイプではなかったのだ。浮かれていた自分が恥ずかしい。
―なんで純平はこっちの世界では同級生になったの。
疑問がだんだんと怒りに変わっていく。理不尽な怒りだとはわかっていても、純平が同じ年齢でなければ、こんな思いをすることもなかったのだろうか…。違う世界では結婚しているのだから、こちらの世界でも両思いのはずと思い込んでいたわたしは、間違っていたのだろうか。
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