不器用なたかしと器用な仲間たち アメリカ編

1年生

第58話 ヒロを助けて下さい!

ボクは浦嶋グループのビルを後にして実家へ帰った。

百合子「どうしたの？スーツ着て。何かあった？」
高嗣「ちょっと色々と事情があってさ、大変で。面接受けに行ったわけではないよ。」
百合子「そう…。」

　次の日。
ボクは夕方に浦嶋グループから連絡があり、次の日ヒロのおじいちゃんと面談することになった。待ち合わせ場所はおじいちゃんが案内したマンションの一室だった。ボクはドキドキしていた。この日は緊張のあまり、夕食が喉を通らなかった。
　土曜日。
ボクはヒロのおじいちゃんが待つマンションへ向かう。マンションへ到着すると、マンションの入口で立ち止まる。正面から一番上の階まで眺めた。おじいちゃんがボクを呼んだマンションはボクとヒロが暮らすアメリカのマンションと同じくらいの高級そうなマンションだった。
　ボクは深呼吸してマンションの中へ入る。玄関で部屋番号を入力し、インターホンを押した。

ピーンポーン

山本「はい、浦嶋ですが。」
高嗣「さ、佐藤高嗣です。」
山本「どうぞ、お入り下さい。佐藤さん。」

ガラー

玄関の扉は開いた。中へ進み歩いていると、やっぱりどことなくボクたちの暮らすマンションと同程度のマンションだと感じた。エレベーターで最上階へ到着し、インターホンを押す。

ピーンポーン

山本「はーい。」

ガチャ

山本「はじめまして。佐藤さん。浦嶋一彰様の秘書と世話役をしております。山本と申します。よろしくお願いします。」

ボクは秘書の山本さんから挨拶を受け、名刺を受け取った。そして、部屋の中へ入る。

山本「会長。佐藤高嗣さんが参りました。」
一彰「中へ通しなさい。」
山本「はい。」

ボクは山本さんから中へ入るよう促され、リビングへ入った。

一彰「はじめまして。高嗣くん。私がジェイミーの祖父の浦嶋一彰です。よろしく。」
高嗣「こ、こちらこそはじめまして。佐藤高嗣と申します。よ、よろしくお願いします。」
一彰「さあ、座って。ゆっくりしていくといい。」

ボクはヒロのおじいちゃんに促され、ソファーに腰掛けた。

一彰「高嗣くん。ジェイミーと仲良くしてくれてキミにはとても感謝しているよ。キミが私に話があるのは、ジェイミーを助けてほしいんじゃろ？」
高嗣「はい！そ、そうなんです！佳宏を、ヒロを助けて彼とおばあちゃんの仲が良くなってほしいんです。彼の力になりたいんです！おじいさん、ボクに力を貸して下さい!お願いします!」
一彰「うーむ。私はキミの力に是非なりたい！しかし、あのばあさんは結構厳しい人でね。なかなか難しいんじゃよ。私も最近あのばあさんに嫌気がさして、別居してここで暮らしているんじゃよ。」
高嗣「そこを何とかお願いできないでしょうか？」
一彰「うーむ。難しいが、何とか頑張ってみよう。」
高嗣「ありがとうございます!よろしくお願いします！」