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君に伝えない
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「先輩、この飾りつけはこっちでいいんすか?」
「あっ、うん。いい感じだね。それじゃこっちもお願い」
了解でーすという私の伸びた返事に満足したのか、先輩は笑顔を浮かべてから自分の仕事に戻った。今は机の上を丁寧に拭いている。濡れた机は照明から注ぐ光を反射して光沢を帯びていた。鼻唄を歌いながら、先輩は作業を続ける。どうやら相当に気分がいいらしかった。
私は私で百均で売られている金色のモールを壁に飾っていた。これが最後の飾りだ。準備は今のところ滞りなく進んでいる。
そう言えば、
「さっき安藤さんから連絡入ってて、あと十分かからないくらいでチキンは受け取れるらしいっす」
「そうなんだ。まあ、私たちもこれでほとんど終わりだし・・うん、大丈夫そうじゃないかな。予定通りにパーティーは始められそう」
「良かったっすね。これなら藤崎も喜ぶと思いますよ」
「うーん、そうだといいんだけどねー」
「むしろこれだけ歓待されてあんまり喜ばないとかだったら、私がその場でぶん殴りかねないっすからね」
「アハハ、過激だねー。まあでもそうか、うん、喜んでもらえると今は素直に信じようかな」
「それがいいと思います」
「あっ、じゃあ私ちょっとお菓子買ってくるね」
「?別にいいっすけど、安藤さんもまあまあの量買ってくると思いますよ?」
「・・安藤くんは多分おつまみとかポテチとかばっかり買ってくるから。しょっぱい系に片寄らないように、甘いのを何個かね」
「あー、確かにあの人、お酒大好きですもんね」
「そそ、それじゃあちょっと行ってくるから。お留守番よろしくね」
「・・分かりました。行ってらっしゃーい」
フフフと笑いながら行ってきますと言って、先輩は出ていった。多分目的地は近くのコンビニだ。往復で十分前後だったはずだから、帰ってくるのは安藤さんと同じ頃だろう。
「全く藤崎・・・。死ねばいいくらい幸せ者だな、お前・・・」
羨望と嫉妬が混じって、私の口をついて言葉が出た。毒の籠った声が吐き捨てるように出て、自分でもビックリする。まさか、ここまで露骨に嫌悪感を覚えているとは思わなかった。
先輩がいなくて良かった。こんな私を、あの人に見せたくはない。こんな私を、見られたくはない。
気分を落ち着けるために、部屋の中心に立って三六〇度回って見ると、四方の壁に飾られたカラフルなモールやら毒々しい派手さのミニカラーボールやらが視界に写る。その中に混じって--いや混じりきれてはいないのだけれど--白い紙とその上に墨で書かれた文字がある。
藤崎 成人おめでとう
書道歴十年を豪語する安藤さんによって書かれた文字は達筆で、むしろ達筆すぎて他の飾りつけとの雰囲気の調和が全くとれてなかった。何だろう、これだけ極道系のオーラを放っている。その文字に圧倒されてぼーっとした頭が、後ろから聞こえる冷蔵庫のウォンウォンという音を朧気ながら捉える。その中には安い発泡酒が何本も眠っている。
パーティーの準備は順調だった。
首尾よく整った部屋を見たからか、あと数分でパーティーが始まるからか、安藤さんが私たちに藤崎の誕生日を祝おうと言ってきた二週間前のことを思い返す。
あの日は確か、一月にしては暖かい日差しが差す日だった。
「藤崎の誕生日を祝ってやろう!!」
サークル活動の三十分前、いつもより早い時間に私と先輩を集めた安藤さんはそう切り出してきた。今この場所に藤崎はいない。まあつまり、サプライズでと言うことだろう
「はあ、お誕生日会・・開くんすか?」
正直あまり乗り気ではなかった。藤崎が嫌いなわけじゃない。ただ、人の誕生日を祝うという感覚がイマイチ私にはよく分からないのだ。祝われて嫌な気はしないだろうが、別に祝われなかったらそれはそれで構わない。人が生まれてくるのはただの偶然だ。数ある可能性の一つが選ばれたにすぎない。その偶然の繋がりに意味を持たせても、結局それは迷信という言葉で片付けられるものにとどまる。
そんな訳で私は露骨にテンションの下がった声で返事したわけだが、その回答は安藤さんのお気に召すものではなかったらしい。というかこの人、本当に騒々しいと賑やかの境界をいつも歩いてるな。ちなみに今は騒々しいの方にだいぶ寄って歩いている。
「お前なぁ、何でそんなテンション低いんだよ。祝ってやろうぜ、盛大に!」
「いや、藤崎今年二十歳ですよ。二十歳でお誕生日会はちょっと・・」
「ばっ、お前バッカ!誕生日祝うのに年齢は関係ねえだろ」
「っていうかそもそも藤崎の誕生日いつでしたっけ?二月の中旬とか、
その辺でしたっけ?」
「ああ、二月八日だな」
「まだまだ時間あるじゃないっすか。何もこんな早い段階から話し合わなくても・・」
「いや、綿密に準備してヤツを驚かせてやりたい!」
「お誕生日会で?」
「お誕生日会で!」
「・・・ハッ」
「お前!鼻で笑ってんじゃねえよ!!」
「だって、お誕生日会って響き面白すぎて・・・」
「うるせー!お前は藤崎の背負っている悲しみを知らねーからそんなこと言えんだよ!」
「悲しみ?」
「お前、誕生日五月だったよな?」
「ええまあ」
「じゃあつい最近の成人式で・・呑んだよな?」
「いや私アルコールは体質的に無理なんでお茶しか飲んでないっすけど・・・」
「うるせー!大事なのはお前が呑んだかどうかじゃねえ、呑めたかどうかだ!」
「はぁ、それが悲しみっすか?」
「お前には成人式の日に成人してないヤツの悲しみがわからねえんだ!」
「そーいや安藤さん、三月生まれでしたっけ?」
「三月どころか三月三日、ひな祭りの日だよ」
「あー、そういやそうでしたね」
「小学校低学年の頃、俺がこれのせいでどれだけいじられたか・・・」
「御愁傷様です」
「成人式で俺はみんなと一緒に呑めないし・・」
「それは別に一ヶ月の誤差だし構わないのでは?」
「いや普通に違法だろ。罪を犯すつもりは毛頭ないぞ」
「変なところで真面目だなー」
「・・あのー」
私と安藤さんの言葉のキャッチボールを黙って聞いていた先輩が、控えめに挙手しながらおずおずと会話に入ってきた。決して大きい声ではないのだが、何故だろう、先輩の声だけは私の鼓膜を震わせる。たとえ東京の通勤ラッシュの駅の中でも、この人の声だけは聞き取れる。そう確信できるほどに先輩の声は澄んでいて、その音は吸い込まれるように耳に入ってくるのだ。
「誕生日を祝うのはいいんだけど、今この場に彼がいないってことは・・サプライズでやるってことだよね?」
「まあそうなるな!どうせならその方が面白い」
「向こうの予定を確認しなくていいのかな?バイトもそうだけど、もしかしたら私たち以外の友達とワイワイするのかもしれないし・・」
「それは大丈夫。もう藤崎の予定は確認してるから。ちゃんと空いてた」
「いや、誕生日会しないって結論に私たちが落ち着いたらどうする気ですか?」
「そん時は俺が藤崎を連れ回す!」
「アンタ藤崎大好きだな!!」
私の指摘に安藤さんはハッハッハッと豪快に、愉快そうに笑っていた。
まあ気持ちは分からんでもない。確かに藤崎は人懐っこいわりに距離感を心得てるし、たまにズレたこともするが基本的には気遣いもある程度出来る。悪いヤツではないのだ。どころか普通に良いヤツ。裏表もあんまりないしな。
何だかんだで私も藤崎のことは好きなのだ。人として、友達として。
なら、二十歳という節目の誕生日くらい祝ってやるか。
「それで、どうする?まあ無理にとは言わねえし、この事を藤崎にチクったりもしねえよ」
「・・私は、その、祝ってあげたいかな・・折角だし・・・」
「私も同感っすね」
「何だよ、お前らも結局藤崎大好きじゃねえか」
そう言って安藤さんは鼻の頭を人差し指で嬉しそうに擦っていた。ヘヘヘとかガキ大将みたいな笑いも聞こえてきた。うーん、藤崎が愛されていることに嬉しそうにする辺り、なんとなくBLっぽい気がする。・・いつから私は腐女子になってしまったのだろう。
「さて、それじゃあ本格的な場所とかパーティーの内容とかについて話し合っていこうぜ」
パンパンと手を鳴らしながら安藤さんが言うのと同時に、部室--と言う名の使われていない古い会議室--のドアがガチャと開けられた。
「失礼しまーす。あれ?今日みんなちょっと早いですね?」
入ってきたのは藤崎だった。既に集合していた私たちの顔を見てホヘッと顔を横にする。
「ん、まあちょっとな。別に遅刻じゃねえから安心しろ」
「あっ、ですよねー。いやーちょっと焦りましたよ。まだ僕原稿出来てないんで」
「それは早いとこ終わらせろっ!」
「アハハ、すいません」
「ったくよー。んじゃまあ、今日の活動チャッチャッと始めるかー」
「うーす」
「うぃーっす」
「はーい」
藤崎と少しじゃれるように話し、小突きを一発喰らわせた後、安藤さんは活動開始の指揮を執った。まあ、具体的な話し合いはこのあとLINEを使ってやるのだろう。
少しだけ、藤崎の誕生日を祝うことを楽しみにしている自分がいた。柄にもなく、はしゃぎたい気分だった。
だから、私でさえ浮かれるこの状況のなか、わりとこういうの楽しむタイプの先輩が無口だったのは少し気がかりだった。
それから私たちは藤崎にバレないように連絡を取り合い、二週間かけて藤崎の誕生日会の準備をした。場所は先輩の家で、日取りは藤崎の誕生日の一日後になった。基本的な準備--企画からパーティーグッズの調達まで--は安藤さんが全部バリバリにこなしてしまったので、私と先輩の主な仕事は当日の会場の飾りつけとなった。
安藤さん・・藤崎好きすぎるだろ
二週間前から今日までの準備を振り返って、最後に出てきた言葉はそれだった。確かに安藤さんと藤崎は趣味も合うらしく、兄弟のように仲良くしているが、にしたって可愛がりすぎじゃなかろうか。私の中から腐の妄想が消えてくれなくて困る。
頭を切り替えるために首を回して、ついでに時計を見る。五分も経っていなかった。つまり、先輩や安藤さんが来るまでにはまだ五分以上残っているわけだ。いつもならスマホをいじくったり、床にぐてーと突っ伏して時間を浪費する私だが、今日は何故だかそわそわしてあまりそういう気分にはなれない。
だからだろうか、邪な考えが、私の頭の中を駆け巡った。
・・・今なら何でも出来るな。そう、何でも。
「ふむ・・、下着でも覗くか」
私が男だったら完全にアウトな台詞を呟いてから、私は先輩のクローゼットがある部屋に身を滑らせた。電気はあえて点けないでおいた。
「どれどれ、先輩はムッツリスケベだったりするのかなー」
クローゼットは小さな部屋の隅、ドアの対角線上に位置していた。壁際には本棚やオシャレな調度品が他には飾られていた。それらに軽く視線を飛ばしつつ、私はズシズシとクローゼットに近づいていく。
しかし、私の足はクローゼットを開け、先輩の下着を拝見するその数歩前で止まってしまった。まるで足が金の延べ棒にでもなってしまったかのように重く、上手く動かすことができなかったのだ。
その現象が起きたのは、恐らく視界に一枚の写真が入ったからだった。
何てことはないツーショット。大学の先輩と後輩が遊びに行ったときに撮った何気ない一枚。
なのに、私の心からはドロッとしたモノが次から次へと溢れ出てきて、止まらない。止められない。感情の奔流が気持ち悪くって一瞬嗚咽が漏れそうになる。
その写真に写っていたのは、先輩と藤崎だった。
二人ともピースしていて、最高に楽しそうな笑顔を浮かべている。これは--私の記憶が正しければ--去年の十一月頃に某ネズミの国に私と先輩と安藤さんと藤崎の四人で行ったときに撮ったものだ。あの時は安藤さんがことある毎にシャッターを切っていて、後日まとめてプリントアウトしたものを私たちにくれたのだ。LINEに載せるだけで済ませないところに謎の職人気質を感じたのをよく覚えている。四人で撮ったものもあったし、ペアを変えてツーショットを撮ったものもたくさんあったはずだ。そしてこれは、確かその中の一枚。
別にここに置いてあることに大した意味はないのかもしれない。もしかしたらこの写真が皆で写っている写真だったり、あるいは私と先輩のペアで撮ったものだったりしたのかもしれない。それでも良いのかもしれない。本当に先輩が片付け忘れただけなのかもしれない。いや、きっとそうに違いない。
・・・・・・・・・誤魔化すなよ、私
心は答えを知っていた。それも、多分ずっと前から。でもそれを認めるのが怖かった。認めてしまえば、私の中の何か大切なモノが消えてしまう気がしたのだ。
つまり、そういうことなのだ。
先輩は・・・・・・・・、
そして私は・・・・・・
結局、そういうことなのだ。
「ただいまー」
先輩の部屋から大人しく出てきて、スマホをポチポチといじっていたら先輩の声が聞こえてきた。立ち上がって玄関まで足を運ぶ。重い足取りを堪えて、なるべく自然な足運びで。
伝えたいことが、伝えないといけないことが・・あった。
「おかえりなさい」
「あっ、うん。お留守番ありがとう」
「早かったんすね」
「そう・・かな?まあ、確かにいつもよりはちょっと早いかもね」
「荷物、持ちましょうか?」
「ん、ありがとう」
「・・・藤崎のこと、好きなんすね」
「うん。うん?!」
私が唐突に会話に投げ込んだ事実確認に適当に相槌を打っていた先輩は、質問の意味を後から理解したようで、驚きを隠せずに俯けていた顔を素早く上げた。そして、その顔がジワジワと赤く染まっていく。
「なっ、なっ、何て?」
「先輩、藤崎のこと、好きなんですねって」
「なっ、なっ、何で?」
「先輩、藤崎の名前呼ばなくなりましたよね。初めの頃は普通に呼んでたのに」
「そうだったったっけ?」
「ええ、今は会話の上では「彼」とかで済まして、藤崎に用があるときも「ねぇ」とか言いながら肩チョンチョンしてます」
「・・・・・・・・・」
「・・それにこのお菓子」
「!!」
「安藤さんと私は塩分廚、先輩もどっちかっていうとしょっぱいもの派です。甘いのが必要なのって甘党の藤崎くらいなんすよね」
「・・今日は彼を祝うための会なわけだから、彼の好きなものがあった方がいいかなと思って・・」
「まあ、道理っすね。にしたってこの量は要らないと思いますけどね」
私は先輩から受け取ったコンビニの半透明のレジ袋を軽く持ち上げる。少し動かしただけでガサッと音がした。重み故に引っ張られて薄くなった箇所からはチョコレート菓子の茶色い包装が透けて見えた。
「あと最後の推理材料として・・すいません。部屋に置かれてた写真見ちゃいました」
私が謝罪しながら告げた言葉に先輩はハッとした顔をして、それから諦めるような、受け入れるような顔を示した。靴を脱ぎ、私の横を抜けて部屋に入っていく。この向きからでは先輩の表情は伺えなかった。
「まあ、そりゃいつか絶対気づかれるよね」
そう、先輩はポツリと呟いた。それは肯定であると同時に、諦観めいたものに聞こえた。
そしてこっちを振り返ってから言葉を続けた。少し晴れやかな顔をしているように見えたのは、気のせいだろうか。
「認めちゃうと、私は彼のことが、藤崎くんのことが・・好きだよ。それも結構本気で」
「・・いつからですか?」
「分かんない。強いて言うなら「気づいた時には」、かな?」
ああ、全く同じだ。まったく、どうしてこうも・・。
「理由とか・・訊いても?」
「これも何とも言えないかな。「彼だから」としか」
ここも同じか・・。というか、この調子じゃ後もほとんど同じだろうな。
「告白とか、するんですか?」
「しようと思っている・・よ。一応、今日・・」
最悪のタイミングだったな。聞かなきゃ良かったかもしれない。
でもまあ聞かなかったら、多分こんな気持ちにはならなかったから、結果オーライなのかもしれない。
「ハハハ、バレちゃったかー。・・うん、話せて少し楽になったかな。頑張れそうな気がするよ。ありがとうね」
「先輩、気づいてましたか?」
「何を?」
「私も先輩のこと、名前で呼ばないでいつも「先輩」って言うんですよ」
「ああ、そうだよね。でもそっちは最初からじゃない」
「そうですね。確かに私は基本年上の人を「先輩」って呼びます。稀に安藤さんみたいな人がいますけどね」
「安藤くんは肩書きとかで呼ばれるの嫌いだからね」
「でも、先輩に関しては何も年上だから「先輩」って呼んでる訳じゃないんですよ」
「・・・・・・・・・」
「・・恥ずかしいんです、先輩の名前を呼ぶのが。呼ぼうとすると、なんかむず痒くなっちゃうっていうか、変な電気が身体中をピリピリ流れるっていうか。いつからかは、自分でも分からないんですけど・・」
「・・・・・・・・・」
「同じなんですよ。先輩が藤崎の名前を呼ばない理由と、私が先輩の名前を呼ばない理由は」
「それって、つまり・・・」
「・・私は、先輩のことが好きです。好きなんです」
「・・・・・・・・・」
「すいません、急に変なこと言って困らせてしまって。でも、先輩が今日藤崎に告白するって言うなら私も今日しか伝えられないんです」
「えっと・・その・・」
「返事はいいですよ。答えは知ってますから。その代わりに・・」
「その代わりに・・・?」
「その代わりに、キスさせてください。軽いのでいいんで」
「!?いやっ、ちょっと待って!えっ!」
「目、瞑ってください」
「えっ!えっ!ちょっと待ってって!待ってってば!」
静止させようと手を勢いよく先輩を無視して私はズカズカと近づいていく。後退りして壁にぶつかった先輩を逃がさないように、手を壁に添えて退路を塞いだ。まさか人生初の壁ドンをやる側で体験するとは思わなかった。
壁と私に挟まれて、先輩はプルプルと身体を震わせていた。不安になっているらしい。まずは優しい言葉で落ち着けてあげないと。
「安心してください。舌とかは入れませんから」
「そういう問題じゃないよ!えっ、本当にするの?!」
「そのつもりです」
キャーとか何とか軽く叫びながら、先輩は怯えたように上目づかいで私の方を見つめていた。小動物めいたその姿に嗜虐心がそそられてしまう。興がのる、というやつだろうか。
見下ろすようにしながら顔を近づけると、先輩の濡れた瞳に激しく胸を打たれた。綺麗だと、そう思う。夜の海のような魅力だった。深く、深く、取り込まれていくのを自覚する。
その潤んだ瞳は上からの明かりを反射して、わずかに輝きを放つ。今度はその光が空に瞬く星に見えた。白く明るく煌めいていて、綺麗だなと、また思う。
海と星。
先輩の瞳は、夜の浜辺を体現したような美しさだった。少なくとも私にとっては、クルタ族の緋の眼なんかよりずっと価値あるものだった。
いよいよ唇がぶつかるなというところで、先輩はキュッと目を瞑った。それは委ねるということなのだろうか。
だとしたら、私は・・・
あと数センチ足らずで先輩を、その熱を感じられる。私のモノには出来なくても、それでも一瞬、先輩と混じり合える。多分、それは最高の快楽で、愉悦で、幸福だ。
それなら私は・・・、私は・・・
私もまた目を瞑り、そして、先輩の唇に私の唇を近づけたのだった。
唇が何かに触れる感触を味わって、先輩は驚いたように目をパチクリとしていた。それもまあそうだろう。なにせ触れたものはまったく柔らかくない。むしろ、若干骨のような硬質さを帯びている。
「えっと・・・これは一体・・?」
「誓いの印ですよ。先輩が藤崎のこと好きなのを誰にも言わないっていう、そういう誓いです」
先輩はもう一度目をパチクリとして、今唇に触れているものを見つめた。それは私の人差し指だった。端的にいうと、私と先輩の二人が私の人差し指にキスしているわけだ。
「本気にしちゃいました?まさか、本当にキスするわけないじゃないですか」
「アハハ、うんまあ普通に考えてそうだよね。だって私たち、女の子同士、だもんね」
「・・ええ、私たち、女の子同士ですから」
「ハハハ。あーあっ、一本とられちゃったなー」
ピンポーン
インターホンが鳴って、続けてコンコンというノック、安藤でーすという声が一連の流れとして聞こえてきた。
「安藤くん、来たみたいだね」
「ええ、私開けてきますよ。ついでにちょっとコーヒー飲んできます」
「ちょっと待ってくれればこっちで淹れられるよ?」
「今は缶コーヒーが飲みたい気分なんです」
「何よそれ?変なの。まあ、行ってらっしゃい」
「はい、行ってきます」
そう言って私は直ぐに先輩に背を向けて玄関の方に向かった。顔はうつ伏せで、地面とご対面する。早足で移動して、ドアを開けたら再び直ぐに地面と向かい合った。安藤さんの影と靴が視界に入った。
「どうぞ、安藤さん」
「おっ、サンキューな」
「私このままちょっとコーヒー買ってくるんで」
「ん?そうなのか?」
「会場の準備はもう終わってるんで、藤崎来るまで先輩と二人で待っといて下さい。・・襲ったりしないで下さいね」
「ハッハッハッ、大事な友達襲うほどバカじゃねえよ」
「・・だといいんですけどね」
「いや本当に襲わねえって。何でちょっと疑ってんだよ」
「とりあえず私は出るんで、仲良く待っててください」
「おうよ。あっ、ちょっと待てっ!」
安藤さんの横を抜けて、自販機のある公園まで行こうとしたところを呼び止められる。立ち止まってから振り返って、何の用かと態度だけで問う。失礼だという自覚はあった。
「ほれ、これ」
私の態度は意にも介さず、安藤さんは鞄をガサゴソと漁ったあと、そう言ってこっちに何かを放ってきた。反射的に受け取り、確認してみると
「・・何すかこれ」
「いや小銭入れだよ。見りゃ分かんだろ」
まあ確かに小銭入れだ。しかもがま口。今日日大学生が持つ代物ではない気がするのだが、何でこの人ちょっとどや顔なんだろう?
「それは分かりますけど、これをどうしろと?」
「先輩が後輩に金を渡す。この意味が分からんお前じゃあるまい」
「・・・奢ってくれるんすか?」
「惜しいな!正解は、奢ってやるからパシられろ、だ」
「・・・はあ。それで?何をご所望で?」
「お前と同じコーヒーを頼む」
「はーい。承知しましたー」
「ただし、ただのコーヒーじゃ駄目だ。条件がある!」
「・・何すか?今日一段と面倒くさいテンションっすね?」
「俺のコーヒーは常温で持ってこい。ホットでもアイスでも駄目だ。常温で頼む」
「まさかのガン無視。っていうか常温のコーヒーってどこで売ってるんすか?自販機にもコンビニにも置いてない気がするんすけど」
「そりゃ売ってねえだろうよ。常温のコーヒーとか需要低いだろ。皆無に等しい」
「・・それじゃ私にどうしろと?一休さんじゃないんすけど」
「んなもんお前、ホットで買ったやつ冷ましゃいいだけだろ」
「・・・・・・つまり?」
「お前がコーヒー買うタイミングで俺の分も買っといて、お前はその後適当にブラブラしとけ。んで常温になった頃合いに帰ってこい。というか、それまで帰ってくんな。先輩命令だ」
「・・・横暴っすね。それもとんでもないレベルで」
「コーヒー奢ってやるんだ、我慢しろ」
「先輩命令・・なんすよね?」
「そう、先輩命令だ。黙って聞いとけ」
「・・分かりました。行ってきます」
「おう、気を付けろよ。常温になってなかったら、パーティー始まる時間になっても帰ってくんな」
「大丈夫っすよ。それまでには、常温にしてみせます」
そう言って私は自販機のある方に足を向け、歩き出した。途中で一旦振り返って、安藤さんにペコリと一礼。
安藤さんは、ずっとこっちに手を振ってくれていた。
変な勘繰りしてごめんなさい。あなたはただのいい人でした。
外を歩いて少しすると、二月に相応しい冷気が顔を覆う。上に羽織るものを忘れたので、肌が寒さに少し震える。鳥肌が立つのを感じて、久々にここまで寒いと思ったなと独り言ちだ。
寒い。でも、今はこれぐらいがちょうどいい
この分なら、案外早くコーヒーも常温まで下がりそうだった。
「誓い、ねえ・・」
熱い缶コーヒーを飲み、ふぅーと一息ついた後呟く。公園のベンチに座ったまま空を仰ぎ見ると、恨めしいぐらいに晴れていた。快晴というほどではないが、太陽の明かりがときどき目に入り込んできて眩しい。風が吹くと、季節相応の冷たさを味わえるので、総合的にはちょうどいいぐらいの天候だった。
「誓い、かぁ・・」
数分前、自分が言ったことをもう一度言葉にする。人差し指を立てて、先輩の口が触れた方をじっと見た。今この場所に私がキスすれば間接キスになるわけだ。
「近くて遠いなあ。誓いじゃなくて、むしろこれは・・・」
そこまで言ってから、私は自分の人差し指に唇を押し当てた。当然先輩が触れた方に押し付けている。触れた瞬間、私の中からシュワシュワとサイダーのような音が聞こえてきて、同時に嬉しさと切なさが込み上げてきた。それを忘れたくて、もう一度だけ口を人差し指に押し付ける。公園で間接キスに興じる女子大生なんて立派な変態だが、これで完成だ。
「むしろこれは、呪い、かな」
先輩の恋心を言わないという、先輩に対する誓い。
そして私の恋心を告げないという、私に向けた呪い。
好きになった人には幸せでいてほしい。
たとえその人が、私を受け入れてくれなくても。
たとえその人と、私が結ばれることがなくても。
その人が幸せであるために私に出来ることがあるなら、私はそれをしたい。上からな物言いだけど、してやりたい。
多分今回のケースに関して私に出来ることは、何も言わないことだ。
先輩にも、藤崎にも、安藤さんにも。
誰にも何も、必要ない口出しをしないことだろう。
だから私は、私に向けて、シーッとした。
人差し指と、唇を合わせて。
「あっ、うん。いい感じだね。それじゃこっちもお願い」
了解でーすという私の伸びた返事に満足したのか、先輩は笑顔を浮かべてから自分の仕事に戻った。今は机の上を丁寧に拭いている。濡れた机は照明から注ぐ光を反射して光沢を帯びていた。鼻唄を歌いながら、先輩は作業を続ける。どうやら相当に気分がいいらしかった。
私は私で百均で売られている金色のモールを壁に飾っていた。これが最後の飾りだ。準備は今のところ滞りなく進んでいる。
そう言えば、
「さっき安藤さんから連絡入ってて、あと十分かからないくらいでチキンは受け取れるらしいっす」
「そうなんだ。まあ、私たちもこれでほとんど終わりだし・・うん、大丈夫そうじゃないかな。予定通りにパーティーは始められそう」
「良かったっすね。これなら藤崎も喜ぶと思いますよ」
「うーん、そうだといいんだけどねー」
「むしろこれだけ歓待されてあんまり喜ばないとかだったら、私がその場でぶん殴りかねないっすからね」
「アハハ、過激だねー。まあでもそうか、うん、喜んでもらえると今は素直に信じようかな」
「それがいいと思います」
「あっ、じゃあ私ちょっとお菓子買ってくるね」
「?別にいいっすけど、安藤さんもまあまあの量買ってくると思いますよ?」
「・・安藤くんは多分おつまみとかポテチとかばっかり買ってくるから。しょっぱい系に片寄らないように、甘いのを何個かね」
「あー、確かにあの人、お酒大好きですもんね」
「そそ、それじゃあちょっと行ってくるから。お留守番よろしくね」
「・・分かりました。行ってらっしゃーい」
フフフと笑いながら行ってきますと言って、先輩は出ていった。多分目的地は近くのコンビニだ。往復で十分前後だったはずだから、帰ってくるのは安藤さんと同じ頃だろう。
「全く藤崎・・・。死ねばいいくらい幸せ者だな、お前・・・」
羨望と嫉妬が混じって、私の口をついて言葉が出た。毒の籠った声が吐き捨てるように出て、自分でもビックリする。まさか、ここまで露骨に嫌悪感を覚えているとは思わなかった。
先輩がいなくて良かった。こんな私を、あの人に見せたくはない。こんな私を、見られたくはない。
気分を落ち着けるために、部屋の中心に立って三六〇度回って見ると、四方の壁に飾られたカラフルなモールやら毒々しい派手さのミニカラーボールやらが視界に写る。その中に混じって--いや混じりきれてはいないのだけれど--白い紙とその上に墨で書かれた文字がある。
藤崎 成人おめでとう
書道歴十年を豪語する安藤さんによって書かれた文字は達筆で、むしろ達筆すぎて他の飾りつけとの雰囲気の調和が全くとれてなかった。何だろう、これだけ極道系のオーラを放っている。その文字に圧倒されてぼーっとした頭が、後ろから聞こえる冷蔵庫のウォンウォンという音を朧気ながら捉える。その中には安い発泡酒が何本も眠っている。
パーティーの準備は順調だった。
首尾よく整った部屋を見たからか、あと数分でパーティーが始まるからか、安藤さんが私たちに藤崎の誕生日を祝おうと言ってきた二週間前のことを思い返す。
あの日は確か、一月にしては暖かい日差しが差す日だった。
「藤崎の誕生日を祝ってやろう!!」
サークル活動の三十分前、いつもより早い時間に私と先輩を集めた安藤さんはそう切り出してきた。今この場所に藤崎はいない。まあつまり、サプライズでと言うことだろう
「はあ、お誕生日会・・開くんすか?」
正直あまり乗り気ではなかった。藤崎が嫌いなわけじゃない。ただ、人の誕生日を祝うという感覚がイマイチ私にはよく分からないのだ。祝われて嫌な気はしないだろうが、別に祝われなかったらそれはそれで構わない。人が生まれてくるのはただの偶然だ。数ある可能性の一つが選ばれたにすぎない。その偶然の繋がりに意味を持たせても、結局それは迷信という言葉で片付けられるものにとどまる。
そんな訳で私は露骨にテンションの下がった声で返事したわけだが、その回答は安藤さんのお気に召すものではなかったらしい。というかこの人、本当に騒々しいと賑やかの境界をいつも歩いてるな。ちなみに今は騒々しいの方にだいぶ寄って歩いている。
「お前なぁ、何でそんなテンション低いんだよ。祝ってやろうぜ、盛大に!」
「いや、藤崎今年二十歳ですよ。二十歳でお誕生日会はちょっと・・」
「ばっ、お前バッカ!誕生日祝うのに年齢は関係ねえだろ」
「っていうかそもそも藤崎の誕生日いつでしたっけ?二月の中旬とか、
その辺でしたっけ?」
「ああ、二月八日だな」
「まだまだ時間あるじゃないっすか。何もこんな早い段階から話し合わなくても・・」
「いや、綿密に準備してヤツを驚かせてやりたい!」
「お誕生日会で?」
「お誕生日会で!」
「・・・ハッ」
「お前!鼻で笑ってんじゃねえよ!!」
「だって、お誕生日会って響き面白すぎて・・・」
「うるせー!お前は藤崎の背負っている悲しみを知らねーからそんなこと言えんだよ!」
「悲しみ?」
「お前、誕生日五月だったよな?」
「ええまあ」
「じゃあつい最近の成人式で・・呑んだよな?」
「いや私アルコールは体質的に無理なんでお茶しか飲んでないっすけど・・・」
「うるせー!大事なのはお前が呑んだかどうかじゃねえ、呑めたかどうかだ!」
「はぁ、それが悲しみっすか?」
「お前には成人式の日に成人してないヤツの悲しみがわからねえんだ!」
「そーいや安藤さん、三月生まれでしたっけ?」
「三月どころか三月三日、ひな祭りの日だよ」
「あー、そういやそうでしたね」
「小学校低学年の頃、俺がこれのせいでどれだけいじられたか・・・」
「御愁傷様です」
「成人式で俺はみんなと一緒に呑めないし・・」
「それは別に一ヶ月の誤差だし構わないのでは?」
「いや普通に違法だろ。罪を犯すつもりは毛頭ないぞ」
「変なところで真面目だなー」
「・・あのー」
私と安藤さんの言葉のキャッチボールを黙って聞いていた先輩が、控えめに挙手しながらおずおずと会話に入ってきた。決して大きい声ではないのだが、何故だろう、先輩の声だけは私の鼓膜を震わせる。たとえ東京の通勤ラッシュの駅の中でも、この人の声だけは聞き取れる。そう確信できるほどに先輩の声は澄んでいて、その音は吸い込まれるように耳に入ってくるのだ。
「誕生日を祝うのはいいんだけど、今この場に彼がいないってことは・・サプライズでやるってことだよね?」
「まあそうなるな!どうせならその方が面白い」
「向こうの予定を確認しなくていいのかな?バイトもそうだけど、もしかしたら私たち以外の友達とワイワイするのかもしれないし・・」
「それは大丈夫。もう藤崎の予定は確認してるから。ちゃんと空いてた」
「いや、誕生日会しないって結論に私たちが落ち着いたらどうする気ですか?」
「そん時は俺が藤崎を連れ回す!」
「アンタ藤崎大好きだな!!」
私の指摘に安藤さんはハッハッハッと豪快に、愉快そうに笑っていた。
まあ気持ちは分からんでもない。確かに藤崎は人懐っこいわりに距離感を心得てるし、たまにズレたこともするが基本的には気遣いもある程度出来る。悪いヤツではないのだ。どころか普通に良いヤツ。裏表もあんまりないしな。
何だかんだで私も藤崎のことは好きなのだ。人として、友達として。
なら、二十歳という節目の誕生日くらい祝ってやるか。
「それで、どうする?まあ無理にとは言わねえし、この事を藤崎にチクったりもしねえよ」
「・・私は、その、祝ってあげたいかな・・折角だし・・・」
「私も同感っすね」
「何だよ、お前らも結局藤崎大好きじゃねえか」
そう言って安藤さんは鼻の頭を人差し指で嬉しそうに擦っていた。ヘヘヘとかガキ大将みたいな笑いも聞こえてきた。うーん、藤崎が愛されていることに嬉しそうにする辺り、なんとなくBLっぽい気がする。・・いつから私は腐女子になってしまったのだろう。
「さて、それじゃあ本格的な場所とかパーティーの内容とかについて話し合っていこうぜ」
パンパンと手を鳴らしながら安藤さんが言うのと同時に、部室--と言う名の使われていない古い会議室--のドアがガチャと開けられた。
「失礼しまーす。あれ?今日みんなちょっと早いですね?」
入ってきたのは藤崎だった。既に集合していた私たちの顔を見てホヘッと顔を横にする。
「ん、まあちょっとな。別に遅刻じゃねえから安心しろ」
「あっ、ですよねー。いやーちょっと焦りましたよ。まだ僕原稿出来てないんで」
「それは早いとこ終わらせろっ!」
「アハハ、すいません」
「ったくよー。んじゃまあ、今日の活動チャッチャッと始めるかー」
「うーす」
「うぃーっす」
「はーい」
藤崎と少しじゃれるように話し、小突きを一発喰らわせた後、安藤さんは活動開始の指揮を執った。まあ、具体的な話し合いはこのあとLINEを使ってやるのだろう。
少しだけ、藤崎の誕生日を祝うことを楽しみにしている自分がいた。柄にもなく、はしゃぎたい気分だった。
だから、私でさえ浮かれるこの状況のなか、わりとこういうの楽しむタイプの先輩が無口だったのは少し気がかりだった。
それから私たちは藤崎にバレないように連絡を取り合い、二週間かけて藤崎の誕生日会の準備をした。場所は先輩の家で、日取りは藤崎の誕生日の一日後になった。基本的な準備--企画からパーティーグッズの調達まで--は安藤さんが全部バリバリにこなしてしまったので、私と先輩の主な仕事は当日の会場の飾りつけとなった。
安藤さん・・藤崎好きすぎるだろ
二週間前から今日までの準備を振り返って、最後に出てきた言葉はそれだった。確かに安藤さんと藤崎は趣味も合うらしく、兄弟のように仲良くしているが、にしたって可愛がりすぎじゃなかろうか。私の中から腐の妄想が消えてくれなくて困る。
頭を切り替えるために首を回して、ついでに時計を見る。五分も経っていなかった。つまり、先輩や安藤さんが来るまでにはまだ五分以上残っているわけだ。いつもならスマホをいじくったり、床にぐてーと突っ伏して時間を浪費する私だが、今日は何故だかそわそわしてあまりそういう気分にはなれない。
だからだろうか、邪な考えが、私の頭の中を駆け巡った。
・・・今なら何でも出来るな。そう、何でも。
「ふむ・・、下着でも覗くか」
私が男だったら完全にアウトな台詞を呟いてから、私は先輩のクローゼットがある部屋に身を滑らせた。電気はあえて点けないでおいた。
「どれどれ、先輩はムッツリスケベだったりするのかなー」
クローゼットは小さな部屋の隅、ドアの対角線上に位置していた。壁際には本棚やオシャレな調度品が他には飾られていた。それらに軽く視線を飛ばしつつ、私はズシズシとクローゼットに近づいていく。
しかし、私の足はクローゼットを開け、先輩の下着を拝見するその数歩前で止まってしまった。まるで足が金の延べ棒にでもなってしまったかのように重く、上手く動かすことができなかったのだ。
その現象が起きたのは、恐らく視界に一枚の写真が入ったからだった。
何てことはないツーショット。大学の先輩と後輩が遊びに行ったときに撮った何気ない一枚。
なのに、私の心からはドロッとしたモノが次から次へと溢れ出てきて、止まらない。止められない。感情の奔流が気持ち悪くって一瞬嗚咽が漏れそうになる。
その写真に写っていたのは、先輩と藤崎だった。
二人ともピースしていて、最高に楽しそうな笑顔を浮かべている。これは--私の記憶が正しければ--去年の十一月頃に某ネズミの国に私と先輩と安藤さんと藤崎の四人で行ったときに撮ったものだ。あの時は安藤さんがことある毎にシャッターを切っていて、後日まとめてプリントアウトしたものを私たちにくれたのだ。LINEに載せるだけで済ませないところに謎の職人気質を感じたのをよく覚えている。四人で撮ったものもあったし、ペアを変えてツーショットを撮ったものもたくさんあったはずだ。そしてこれは、確かその中の一枚。
別にここに置いてあることに大した意味はないのかもしれない。もしかしたらこの写真が皆で写っている写真だったり、あるいは私と先輩のペアで撮ったものだったりしたのかもしれない。それでも良いのかもしれない。本当に先輩が片付け忘れただけなのかもしれない。いや、きっとそうに違いない。
・・・・・・・・・誤魔化すなよ、私
心は答えを知っていた。それも、多分ずっと前から。でもそれを認めるのが怖かった。認めてしまえば、私の中の何か大切なモノが消えてしまう気がしたのだ。
つまり、そういうことなのだ。
先輩は・・・・・・・・、
そして私は・・・・・・
結局、そういうことなのだ。
「ただいまー」
先輩の部屋から大人しく出てきて、スマホをポチポチといじっていたら先輩の声が聞こえてきた。立ち上がって玄関まで足を運ぶ。重い足取りを堪えて、なるべく自然な足運びで。
伝えたいことが、伝えないといけないことが・・あった。
「おかえりなさい」
「あっ、うん。お留守番ありがとう」
「早かったんすね」
「そう・・かな?まあ、確かにいつもよりはちょっと早いかもね」
「荷物、持ちましょうか?」
「ん、ありがとう」
「・・・藤崎のこと、好きなんすね」
「うん。うん?!」
私が唐突に会話に投げ込んだ事実確認に適当に相槌を打っていた先輩は、質問の意味を後から理解したようで、驚きを隠せずに俯けていた顔を素早く上げた。そして、その顔がジワジワと赤く染まっていく。
「なっ、なっ、何て?」
「先輩、藤崎のこと、好きなんですねって」
「なっ、なっ、何で?」
「先輩、藤崎の名前呼ばなくなりましたよね。初めの頃は普通に呼んでたのに」
「そうだったったっけ?」
「ええ、今は会話の上では「彼」とかで済まして、藤崎に用があるときも「ねぇ」とか言いながら肩チョンチョンしてます」
「・・・・・・・・・」
「・・それにこのお菓子」
「!!」
「安藤さんと私は塩分廚、先輩もどっちかっていうとしょっぱいもの派です。甘いのが必要なのって甘党の藤崎くらいなんすよね」
「・・今日は彼を祝うための会なわけだから、彼の好きなものがあった方がいいかなと思って・・」
「まあ、道理っすね。にしたってこの量は要らないと思いますけどね」
私は先輩から受け取ったコンビニの半透明のレジ袋を軽く持ち上げる。少し動かしただけでガサッと音がした。重み故に引っ張られて薄くなった箇所からはチョコレート菓子の茶色い包装が透けて見えた。
「あと最後の推理材料として・・すいません。部屋に置かれてた写真見ちゃいました」
私が謝罪しながら告げた言葉に先輩はハッとした顔をして、それから諦めるような、受け入れるような顔を示した。靴を脱ぎ、私の横を抜けて部屋に入っていく。この向きからでは先輩の表情は伺えなかった。
「まあ、そりゃいつか絶対気づかれるよね」
そう、先輩はポツリと呟いた。それは肯定であると同時に、諦観めいたものに聞こえた。
そしてこっちを振り返ってから言葉を続けた。少し晴れやかな顔をしているように見えたのは、気のせいだろうか。
「認めちゃうと、私は彼のことが、藤崎くんのことが・・好きだよ。それも結構本気で」
「・・いつからですか?」
「分かんない。強いて言うなら「気づいた時には」、かな?」
ああ、全く同じだ。まったく、どうしてこうも・・。
「理由とか・・訊いても?」
「これも何とも言えないかな。「彼だから」としか」
ここも同じか・・。というか、この調子じゃ後もほとんど同じだろうな。
「告白とか、するんですか?」
「しようと思っている・・よ。一応、今日・・」
最悪のタイミングだったな。聞かなきゃ良かったかもしれない。
でもまあ聞かなかったら、多分こんな気持ちにはならなかったから、結果オーライなのかもしれない。
「ハハハ、バレちゃったかー。・・うん、話せて少し楽になったかな。頑張れそうな気がするよ。ありがとうね」
「先輩、気づいてましたか?」
「何を?」
「私も先輩のこと、名前で呼ばないでいつも「先輩」って言うんですよ」
「ああ、そうだよね。でもそっちは最初からじゃない」
「そうですね。確かに私は基本年上の人を「先輩」って呼びます。稀に安藤さんみたいな人がいますけどね」
「安藤くんは肩書きとかで呼ばれるの嫌いだからね」
「でも、先輩に関しては何も年上だから「先輩」って呼んでる訳じゃないんですよ」
「・・・・・・・・・」
「・・恥ずかしいんです、先輩の名前を呼ぶのが。呼ぼうとすると、なんかむず痒くなっちゃうっていうか、変な電気が身体中をピリピリ流れるっていうか。いつからかは、自分でも分からないんですけど・・」
「・・・・・・・・・」
「同じなんですよ。先輩が藤崎の名前を呼ばない理由と、私が先輩の名前を呼ばない理由は」
「それって、つまり・・・」
「・・私は、先輩のことが好きです。好きなんです」
「・・・・・・・・・」
「すいません、急に変なこと言って困らせてしまって。でも、先輩が今日藤崎に告白するって言うなら私も今日しか伝えられないんです」
「えっと・・その・・」
「返事はいいですよ。答えは知ってますから。その代わりに・・」
「その代わりに・・・?」
「その代わりに、キスさせてください。軽いのでいいんで」
「!?いやっ、ちょっと待って!えっ!」
「目、瞑ってください」
「えっ!えっ!ちょっと待ってって!待ってってば!」
静止させようと手を勢いよく先輩を無視して私はズカズカと近づいていく。後退りして壁にぶつかった先輩を逃がさないように、手を壁に添えて退路を塞いだ。まさか人生初の壁ドンをやる側で体験するとは思わなかった。
壁と私に挟まれて、先輩はプルプルと身体を震わせていた。不安になっているらしい。まずは優しい言葉で落ち着けてあげないと。
「安心してください。舌とかは入れませんから」
「そういう問題じゃないよ!えっ、本当にするの?!」
「そのつもりです」
キャーとか何とか軽く叫びながら、先輩は怯えたように上目づかいで私の方を見つめていた。小動物めいたその姿に嗜虐心がそそられてしまう。興がのる、というやつだろうか。
見下ろすようにしながら顔を近づけると、先輩の濡れた瞳に激しく胸を打たれた。綺麗だと、そう思う。夜の海のような魅力だった。深く、深く、取り込まれていくのを自覚する。
その潤んだ瞳は上からの明かりを反射して、わずかに輝きを放つ。今度はその光が空に瞬く星に見えた。白く明るく煌めいていて、綺麗だなと、また思う。
海と星。
先輩の瞳は、夜の浜辺を体現したような美しさだった。少なくとも私にとっては、クルタ族の緋の眼なんかよりずっと価値あるものだった。
いよいよ唇がぶつかるなというところで、先輩はキュッと目を瞑った。それは委ねるということなのだろうか。
だとしたら、私は・・・
あと数センチ足らずで先輩を、その熱を感じられる。私のモノには出来なくても、それでも一瞬、先輩と混じり合える。多分、それは最高の快楽で、愉悦で、幸福だ。
それなら私は・・・、私は・・・
私もまた目を瞑り、そして、先輩の唇に私の唇を近づけたのだった。
唇が何かに触れる感触を味わって、先輩は驚いたように目をパチクリとしていた。それもまあそうだろう。なにせ触れたものはまったく柔らかくない。むしろ、若干骨のような硬質さを帯びている。
「えっと・・・これは一体・・?」
「誓いの印ですよ。先輩が藤崎のこと好きなのを誰にも言わないっていう、そういう誓いです」
先輩はもう一度目をパチクリとして、今唇に触れているものを見つめた。それは私の人差し指だった。端的にいうと、私と先輩の二人が私の人差し指にキスしているわけだ。
「本気にしちゃいました?まさか、本当にキスするわけないじゃないですか」
「アハハ、うんまあ普通に考えてそうだよね。だって私たち、女の子同士、だもんね」
「・・ええ、私たち、女の子同士ですから」
「ハハハ。あーあっ、一本とられちゃったなー」
ピンポーン
インターホンが鳴って、続けてコンコンというノック、安藤でーすという声が一連の流れとして聞こえてきた。
「安藤くん、来たみたいだね」
「ええ、私開けてきますよ。ついでにちょっとコーヒー飲んできます」
「ちょっと待ってくれればこっちで淹れられるよ?」
「今は缶コーヒーが飲みたい気分なんです」
「何よそれ?変なの。まあ、行ってらっしゃい」
「はい、行ってきます」
そう言って私は直ぐに先輩に背を向けて玄関の方に向かった。顔はうつ伏せで、地面とご対面する。早足で移動して、ドアを開けたら再び直ぐに地面と向かい合った。安藤さんの影と靴が視界に入った。
「どうぞ、安藤さん」
「おっ、サンキューな」
「私このままちょっとコーヒー買ってくるんで」
「ん?そうなのか?」
「会場の準備はもう終わってるんで、藤崎来るまで先輩と二人で待っといて下さい。・・襲ったりしないで下さいね」
「ハッハッハッ、大事な友達襲うほどバカじゃねえよ」
「・・だといいんですけどね」
「いや本当に襲わねえって。何でちょっと疑ってんだよ」
「とりあえず私は出るんで、仲良く待っててください」
「おうよ。あっ、ちょっと待てっ!」
安藤さんの横を抜けて、自販機のある公園まで行こうとしたところを呼び止められる。立ち止まってから振り返って、何の用かと態度だけで問う。失礼だという自覚はあった。
「ほれ、これ」
私の態度は意にも介さず、安藤さんは鞄をガサゴソと漁ったあと、そう言ってこっちに何かを放ってきた。反射的に受け取り、確認してみると
「・・何すかこれ」
「いや小銭入れだよ。見りゃ分かんだろ」
まあ確かに小銭入れだ。しかもがま口。今日日大学生が持つ代物ではない気がするのだが、何でこの人ちょっとどや顔なんだろう?
「それは分かりますけど、これをどうしろと?」
「先輩が後輩に金を渡す。この意味が分からんお前じゃあるまい」
「・・・奢ってくれるんすか?」
「惜しいな!正解は、奢ってやるからパシられろ、だ」
「・・・はあ。それで?何をご所望で?」
「お前と同じコーヒーを頼む」
「はーい。承知しましたー」
「ただし、ただのコーヒーじゃ駄目だ。条件がある!」
「・・何すか?今日一段と面倒くさいテンションっすね?」
「俺のコーヒーは常温で持ってこい。ホットでもアイスでも駄目だ。常温で頼む」
「まさかのガン無視。っていうか常温のコーヒーってどこで売ってるんすか?自販機にもコンビニにも置いてない気がするんすけど」
「そりゃ売ってねえだろうよ。常温のコーヒーとか需要低いだろ。皆無に等しい」
「・・それじゃ私にどうしろと?一休さんじゃないんすけど」
「んなもんお前、ホットで買ったやつ冷ましゃいいだけだろ」
「・・・・・・つまり?」
「お前がコーヒー買うタイミングで俺の分も買っといて、お前はその後適当にブラブラしとけ。んで常温になった頃合いに帰ってこい。というか、それまで帰ってくんな。先輩命令だ」
「・・・横暴っすね。それもとんでもないレベルで」
「コーヒー奢ってやるんだ、我慢しろ」
「先輩命令・・なんすよね?」
「そう、先輩命令だ。黙って聞いとけ」
「・・分かりました。行ってきます」
「おう、気を付けろよ。常温になってなかったら、パーティー始まる時間になっても帰ってくんな」
「大丈夫っすよ。それまでには、常温にしてみせます」
そう言って私は自販機のある方に足を向け、歩き出した。途中で一旦振り返って、安藤さんにペコリと一礼。
安藤さんは、ずっとこっちに手を振ってくれていた。
変な勘繰りしてごめんなさい。あなたはただのいい人でした。
外を歩いて少しすると、二月に相応しい冷気が顔を覆う。上に羽織るものを忘れたので、肌が寒さに少し震える。鳥肌が立つのを感じて、久々にここまで寒いと思ったなと独り言ちだ。
寒い。でも、今はこれぐらいがちょうどいい
この分なら、案外早くコーヒーも常温まで下がりそうだった。
「誓い、ねえ・・」
熱い缶コーヒーを飲み、ふぅーと一息ついた後呟く。公園のベンチに座ったまま空を仰ぎ見ると、恨めしいぐらいに晴れていた。快晴というほどではないが、太陽の明かりがときどき目に入り込んできて眩しい。風が吹くと、季節相応の冷たさを味わえるので、総合的にはちょうどいいぐらいの天候だった。
「誓い、かぁ・・」
数分前、自分が言ったことをもう一度言葉にする。人差し指を立てて、先輩の口が触れた方をじっと見た。今この場所に私がキスすれば間接キスになるわけだ。
「近くて遠いなあ。誓いじゃなくて、むしろこれは・・・」
そこまで言ってから、私は自分の人差し指に唇を押し当てた。当然先輩が触れた方に押し付けている。触れた瞬間、私の中からシュワシュワとサイダーのような音が聞こえてきて、同時に嬉しさと切なさが込み上げてきた。それを忘れたくて、もう一度だけ口を人差し指に押し付ける。公園で間接キスに興じる女子大生なんて立派な変態だが、これで完成だ。
「むしろこれは、呪い、かな」
先輩の恋心を言わないという、先輩に対する誓い。
そして私の恋心を告げないという、私に向けた呪い。
好きになった人には幸せでいてほしい。
たとえその人が、私を受け入れてくれなくても。
たとえその人と、私が結ばれることがなくても。
その人が幸せであるために私に出来ることがあるなら、私はそれをしたい。上からな物言いだけど、してやりたい。
多分今回のケースに関して私に出来ることは、何も言わないことだ。
先輩にも、藤崎にも、安藤さんにも。
誰にも何も、必要ない口出しをしないことだろう。
だから私は、私に向けて、シーッとした。
人差し指と、唇を合わせて。
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