EDC(Every Day Carry:常時携帯)マニアの元ガンオタが異世界に飛ばされたら

タカ61(ローンレンジャー)

文字の大きさ
30 / 90

030

美味そうに内臓に食らいつくウォルターと一緒に、俺も食事をする。

タップリの根菜と肉の切れ端が入った麦粥はよく煮込まれていて、ダシがしっかり出ているので塩だけのシンプルな味付けだが美味しかった。

もともとお茶漬けやおじやが好きなので、大きなスプーンでハフハフと口に運ぶ。うん、美味い。数日ぶりの穀物の美味さに感動する。

汗をかいてきたので金属カップとナルゲンボトルを取り出して、カップを水で満たす。時折り冷たい水を飲みながら熱々の麦粥をどんどん掻き込んでいく。ウォルターはすでに内臓を食べ終えていた。

「ウォルター、脚はどうする?」

「思ったより内臓の量が多かったのでこれで充分です。脚は何かの時のために取っておいてください。」

「ん、分かったよ。水を飲むついでに口の周りを綺麗にするの忘れないでね。」

「はい主。」

そんな会話をしながら食事を進めていると、先ほどの女性が様子を見に来た。

「吠え声一つしないなんてよく躾けて・・・・ちょ、ちょっと、それ、おおかみって」

「あ、はい、狼のウォルターと言います。角が生えた狼なんて珍しいでしょ。僕が生まれた頃から一緒に育てられて来たので、今や大切な家族なんです。」

そう言うと恐る恐る近づいてくる。ウォルターは水を飲んで口を綺麗にし、大人しく伏せている。

「いや、珍しいでしょ、って、それ、魔獣・・・・。で、でも、これだけ懐いてるんなら・・・・。あ、あのさ、触っても大丈夫かな?噛みついたりしない?」

ウォルターのモフモフが気になるようだ。うん、モフモフと可愛いは正義だね(笑)。

「もちろん大丈夫ですよ。良かったら撫でてやってください。
ウォルター、お嬢さんがウォルターに触ってみたいんだって。良いよね?」

と声をかけて目配せすると、ウォルターも心得たように

「ウォン」

と声を出して返事をして、女性の方に向き直るとコロンと横になって腹を見せた。サービス良いなおい(笑)。そろそろと近づいてきた女性は恐る恐る手を伸ばし、ウォルターのお腹に触れる。

「・・・・ふわああぁぁぁぁ。」

恍惚の表情で吸い込まれるようにウォルターに抱きついていく。全身でモフモフを堪能している。人をダメにする魔獣ウォルター、なんて恐ろしい子(笑)。

ウォルターのモフモフに埋もれて存分に楽しんだ女性は、頬を染めながら身体を起こした。

「はああぁぁぁぁぁ、幸せ・・・・。」

女の子座りでウットリとした表情で両手を頬に当て、目を潤ませている。そんな表情を見せられたら、思わず変な気を起こしてしまいそうだ。

「ん、んんっ!」

ワザとらしく咳払いすると女性は我に返ったようで、恥ずかしそうにさらに頬を赤らめ立ち上がる。いや色っぺーなおい!くそ、青年の主張が来てしまいそうだ。

「ご、ごめんね。こんな綺麗でフワフワな毛並みの狼に触れたの初めてで、しかも全身で抱きつけるなんて思ってもいなくて、思わず夢中になっちゃった。」

恥ずかしそうに身をくねらせる。食堂の元気なお姉さんが、むやみに色っぽいお姉さんに早変わり。待って、それ以上は本当にヤヴァいから。

「存分に楽しんでいただけたようでなによりです。ウォルターもありがとうね。」

「ウォン」

座り直したウォルターは一吠えして大きく尻尾を振る。

「ありがとうウォルター。また撫で撫でさせてね。」

女性はそう言うとウォルターの頭を抱きしめて頬擦りする。ウォルターもサービスで女性の頬を一舐めする。美少女と大きな狼、絵になるなぁ。

女性はウォルターの頭をもう一撫でしてようやく離れた。

「ありがとう。すっごく気持ち良かった。ねえ、毎日ご飯食べに来るでしょ?他にお客さんがいなかったら、またウォルターに触らせてもらってもいいかな?」

モジモジと身体の前で組んだ指を弄りながら上目遣いで尋ねられる。自然にやっているのだろうけど、これはズルいだろう。そんな表情で見つめられたら、ダメと言える男はいないって。

「うーん、俺じゃなくてウォルター次第だね。ウォルター、こちらのお嬢さんがまた触らせて欲しいって。どうする?」

ウォルターに声をかけると立ち上がり、女性に近づいて頬を一舐めする。

「良いってさ。良かったね。」

そう声をかけるとまたウォルターに抱きつく。

「嬉しい!ありがとうウォルター!」

ウォルターも女性にスリスリしている。案外人好きなんだなこの子。

「私、そろそろ仕事に戻るね。食べ終わったら食器はカウンターに戻してね。裏に井戸があるから盥はそこで洗って。洗い水は排水口に流してね。それじゃ!」

女性はスキップをするように弾みながら、ルンルンと鼻歌を口ずさみつつ戻っていった。ポニーテールが大きく揺れている。相当ご機嫌のようだ。

「ウォルター、随分サービス良かったね。嫌じゃなかった?」

「はい、主。たまには主以外の人間と触れ合うのも悪くないです。」

こちらもご機嫌に尻尾を振っている。ウォルターモフり3分10銅貨なんて商売をやったらぼろ儲け出来そうな気がする(笑)。

少し冷めて食べやすい温度になった麦粥を食べ尽くし、水を飲み干して出した物を収納にしまって、食べ終えた食器をカウンターに下げに行く。

「ごちそうさまでした。美味しかったです。二週間ほど滞在の予定ですのでよろしくお願いします。」

そう言って皆さんに頭を下げる。口々によろしくね、またおいで、と返事をしてくれる。俺は手を振ってカウンターから離れる。

盥を収納し、トイレを借りてから食堂を出て裏へ回る。大きな井戸と木製のスノコが掛かった排水口がある。盥を洗う前にちょっと試してみたいことがあるので実行してみる。排水口の上で

「盥の汚れだけを取り出し」

と頭で念じてみると、僅かな液体がシュン、と現れて排水口に落ちた。思った通りだ。これで楽ができるな。

これ、うまく応用すれば、獲った獲物の血抜きとか解体とかも出来るだろう。とは言え、血抜きはともかく解体は内臓を抜くのと皮を剥ぐしか出来ないか。そこはちゃんとギルドを利用したほうが良いな。

あ、銃の中に溜まった火薬のススなどの汚れ落としもこれで出来るな。他にも何かできないか、考えてみよう。さて、次は宿屋だ。 

感想 12

あなたにおすすめの小説

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

クラスまるごと異世界転移

八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。 ソレは突然訪れた。 『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』 そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。 …そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。 どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。 …大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても… そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

私のスキルが、クエストってどういうこと?

地蔵
ファンタジー
スキルが全ての世界。 十歳になると、成人の儀を受けて、神から『スキル』を授かる。 スキルによって、今後の人生が決まる。 当然、素晴らしい『当たりスキル』もあれば『外れスキル』と呼ばれるものもある。 聞いた事の無いスキル『クエスト』を授かったリゼは、親からも見捨てられて一人で生きていく事に……。 少し人間不信気味の女の子が、スキルに振り回されながら生きて行く物語。 一話辺りは約三千文字前後にしております。 更新は、毎週日曜日の十六時予定です。 『小説家になろう』『カクヨム』でも掲載しております。

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。