中島と暮らした10日間

だんご

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4 妹襲来

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 カラスの試合が終了して少し。

 妹が旅行カバンと中島をひっさげて、帰宅して来た。

 「兄ちゃん、ただいま!!」

 「元気があって、よろしい。おかえり」

 「うん!中島も元気だよ!」

 「中島ケースを食卓に置くなよ……」

 「下に置くと蹴っちゃうし、窓際は熱中症になるでしょ?」

 「いや、まぁ、そうだけども……」

 「仕方なしにココだよ~。ココならいつでも中島を見れるし」

 「それが嫌だから、乗せないで欲しいんだけども……」

 ※振り出しに戻る

 食卓テーブルで落ち着いた中島。
 じっくり見たくもないが、目につくポジション。

 「心無しか太った?中島……」

 「そうそう。ちゃんと大きくなるように、葉っぱを口まで持って行って食べさせてるんだ。1日2~3回。今日も朝ご飯食べて来たよ」

 「えっ?まだ1日しか経ってないぞ?
 えっ?えっ?フォアグラ的な?食うの?」

 「嫌だなぁ~兄ちゃん。人聞きの悪い。食べないよぉ」

 「だよなっ?ビックリしたわ……」

 「唇で柔らかさを確かめるだけだよぉ~」

 ゾッ……

 いや、話題を逸らそう。

 「そっ、そうだ、メシ。メシ食ったか?」

 「うん。おにぎり食べた」

 「足りたか?昼まで持つか?」

 「大丈夫!そんな時間無いから!」

 「うん?」

 久々に帰宅して来て、午前中から時間が無いとは、コレいかに?

 「私、これから京都行くから。中島、よろしく!!」

 「えっ?はっ?ええっ?!」

 「中島のご飯は3回。持ち上げて、口に葉っぱを持って行って食べさせてあげてねぇ。1週間したら帰るから、じゃっ!」

 「ええっ?!なっ、ちょっ、まっ、薫っ?!」

 妹の薫は旅立った。
 きっと、いきなり『そうだ!京都に行こう!』となったに違いない……
 嵐の様な妹の薫。
 京都までの資金があったのか薫。

 「中島……お前、とんでもないヤツに捕まったなあ……」

 『ガサッ……(まったくだ……)』

 ……幻聴か……返事が聞こえた気がした。




 「…………」

 『……ガサッ』

 「(ビクッ)……(ドキドキ)……」

 『…………』

 「…………」

 「……どうしろと?」

 『…………ガサッ』

 中島を目の端に、途方に暮れとります。

 青虫・毛虫・芋虫が大嫌いな自分に、神はいったいなんちゅー試練を寄越したんじゃ。
 マジで。

 中島……妹によると、角がピンピンしてるからスズメガの幼虫じゃないかとの事。
 ちなみに短い角のある方が顔、長い方がオシリだそうだ。
 ハッキリ言って、どうでもいい。
 嫌いだから、どうでもいい。
 けど、生き物を託されたからには、そうも言ってられない。

 「本当に、アイツは昔から、こんなんばっかりじゃないか……」

 妹は昔から虫系が大好きだった。
 チビッコロの頃は、虫取をする自分にくっついて来ただけだったはずなんだが……
 気が付けば、青虫・毛虫に夢中になってましたよ。
 ガンガン飼ってた。

 チビッコロの弟がマネをして、汽車の玩具の煙突に毛虫を入れて……
 脱走した毛虫がカーテンの裏で干からびた状態で発見された事件も起きてるんだよ?
 もぅ、悲惨な事件だったよ……
 亡骸が見つかる前の方が大惨事だったな。
 薫の飼ってる毛虫の数が足りないって、自分がまず先に疑われたんだよ?
 コッソリ逃がしただろぅ?って。
 やってないし、触れないし、近付けないし。
 なぜ疑う要素あるんだよ……できる事なら全部捨ててるよ……

 直後、チビッコロの弟が泣きながら謝って……妹が目茶苦茶キレて……
 自分は脱走した毛虫に日々怯えて暮らしてたし……
 発見された時は、安堵したもんだが、なぜか自分が庭に埋めに行く事になって……悲惨だった。
 とんだとばっちりだよ。

 妹よ……
 どうして?
 どうして作戦をガンガン行こうゼ!!にしちゃったのっ?
 兄ちゃんは、命大事に派だよっ?!
 今だってそうだよっ?!
 そしてライフは今まさに0だよ?!
 もぅ1が点滅してるよ?

 「……とりあえず、仕事終わらすか」

 『…………』

 仕事部屋でやるか。
 とりあえず、距離を置こう。
 絶対、中島の出す音で集中できないし。
 まかり間違って、有り得ない音とか声的なモノが聞こえたら……

 ゾワ~……

 「無理無理無理無理無理無理!!」

 『…………』

 仕事部屋へ駆け出していた。
 


 仕事が終わって、見える景色に中島がいる。

  『…………』

 妹よ……
 まだカエルやイモリは我慢出来たけど……
 幼虫は……無理だよ……流石に。

 「……とりあえず、飲みに行こぅ……」

 全てを忘れる為に、自分は家を出た。
 


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