中島と暮らした10日間

だんご

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28 中島7日目。出来た客

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 ワチャワチャしてたら夕方だ。
 謎にご新規さんが3人増えた状態。
 マスターが慌てて家に戻り、お通しを準備して営業車で駆けつけたり。
 その際、自分も回収されて準備を手伝っていた……のは、数時間前の話。
 
 「この鶏肉、レタスで包むと目茶苦茶美味しい♡」

 「このひじきのサラダ?も美味しい♡」

 ご新規さんが喜んでいる。
 自分達、目茶苦茶がんばった。




 「たけぇ~♡鶏肉がいい!」

 ママさんの一言で、マスターと自分に鶏肉のオーダーが入って慌てたんだよねぇ。
 店用のストック食材を聞き、乾物があるってだけ。
 慌てた慌てた。
 鶏肉とササミとレタスを買って、急いで台所に飛び込んだ形になった。
 
 「たけ、トマト煮込みじゃないんだな?」

 「あれ、煮込まないとならないから……2時間?位?」

 「無理じゃねぇかよ……」

 「まぁケチャップ炒めにすればいいよ」

 「けどなぁ……」

 「じゃぁ、炭酸水とワインある?」

 「炭酸水切れてるなぁ……サイダーはあるぞ!」

 「じゃぁ、それで煮込みもどき出来るよ」

 妹の薫が作ってくれたヤツだ。
 薫はブドウジュースと炭酸水だったが。
 炭酸水で鶏肉が柔らかくなって、ジュースの甘味がなんとも言えない味に昇華するのだ。

 「かさ増しで玉ねぎ入れていい?」

 「たのむ!俺もなんか出来るか?」

 「ひじきと切り干し大根戻して、ササミ蒸して貰っていい?」

 「了解。サラダか?」

 「そうそう」   

 「色的に人参ときゅうりもあるといいな……」

 「だね。味はめんつゆとマヨネーズの予定だったけど、どう?」

 「いいな。冒険は次回にしとくわ」

 「じゃお任せで」

 「おう!そっちは任せた」

 「了解」

 さてと。
 玉ねぎを薄切りにしてフライパンで炒める。
 そこに鶏肉をドコドコ入れ、両面に焼き色がつくまで火を入れる。
 サイダーとワインを入れて蓋をする。
 タイミングを見てケチャップと醤油を入れて……心配だから、ちょっと味見。
 ……甘味が少し足りないかな?
 ワインに味が持ってかれた感じ?
 砂糖足しとこ。
 汁気が飛んだら完成。
 鶏肉のジュース煮込み。
 レタスを巻いて食べると美味しい。

 「こっちも出来たぞ。すり胡麻少し入れてみたわ」

 ひじきと切り干し大根のマヨサラダ。
 美味しい。

 「レタス付け合わせでいいか?」

 「マスターのいい様にしてよ」

 「おう!今日のお通し、ご新規さんは無料。常連からガッツリ300円だな」

 「あっ、そっちの」

 「よし。行くか……一応、追加の買い出しもさせてくれ」

 「了解」

 
 
 ご新規さん。
 バケットや叩ききゅうりを摘まんで待ってくれていた。
 臨時店主のまっさんがフル稼働だ。
 聞けば、前からこの店が気になってたらしい。
 日曜は休みっぽい雰囲気を醸しながらも、笑い声が響く……身内の集まりか?
 と思いつつ、クローズ表記になってはいない……入ってみよう!!となったらしい。
 メンタル強いな、マジで。
 それが個人個人で3人も。
 かなり鋼の精神と強い好奇心を持ってらっしゃる。
 そしてすでに馴染んでる。
 凄い。
 コレ、無料って言わない方がいいヤツだよマスター?
 最後に『お通し無料でした』にしよう。
 無言で頷きあった。


 「んっま♡たけ、でかした!ぶちゅっ♡」

 ママさん。
 自分のホッペ、ケチャップにまみれたんだけど?

 「たけ、マジで嫁に「行きません」そっか……」

 「いやぁ~、今日は胸一杯、腹一杯だなぁ~」

 自分のなんちゃって料理で喜んでくれる仲間がいるって、素晴らしいな……

 「「「美味しいです!!」」」

 プラス3人の仲間達。

 「失敗しなくて良かったよ」

 ここ最高の場所だな。

 「(コソッ)たけ、スマン……手間かけさせて申し訳無かったが、1回分だけ無料って事で」

 「そこはマスターのいいようにして」

 いくら仲間とは言え、商売してんだもん。
 そこは線引きしといてよ。
 ココ続いて貰うのが1番だからね。

 「たけちゅわ~ん♡」

 ……嫌だマスター。
 抱きつかないで?
 ほら、ママさんまで寄って来たでしょ?
 うわっ?!
 マスター頬擦り止めて?
 ヒゲ剃ってないでしょ?!
 イタタタ……って、ママさん?ホッペ吸わないで?
 ホッペ欠けちゃうよ?
 力出ないよ?

 「カオスだなぁ~」

 って、まっさんとミッツはご新規さんと交流深めてるし……
 サト先生。こっちに混ざろうとしないで?
 怖いから。
 マジで。 

 マスター夫婦にモミクチャにされながらも、楽しい時間は続いた。
 このままいったら、またオールナイトになりそうで怖い。
 
 「マスター。そろそろお会計で」

 正気に戻った時に帰った方がいい。

 「たけしさん、もう帰るんスか?」

 「ああ。ミッツもそろそろ帰ったらどうだ?」

 1日マスター宅に泊まって、次の日オールナイトになったらしいからな。

 「俺は、まっさんについて行くっス!!」

 「マスター。俺もお会計ねぇ?」

 「まっさん、酷っ?!」

 まっさんも正気に戻ったか。

 「ミッツぅ。楽しい時は『もの足りないかな?』位が調度イイんだぞぅ?」

 「そうなんスか?」

 「そうそう。何事も腹八分目だぞぅ?」

 まっさん、さっき腹一杯食ってたやん。

 「まぁ少し間空けた方がより楽しくハッチャケれるからな。適度にだ」

 「たけはもう少し頻繁に来ていいんだぞぅ?ミッツばっかで腹一杯だぁ」

 「酷っ?!」

 「変わり種は、時たまくるからイイんじゃないですか?」

 「寂しい事言うなよぅ、たけちゅわ~ん♡」

 マスターがまたオネェ化した。
 お腹一杯です。

 「まっ中島も待ってるんで、そろそろ帰りますよ」

 「え?中島?誰ソレ?」

 サト先生が食いついて来た。

 「あれ?言ってなかったか?次回話ますねぇ~」

 「ちょっ、中島って誰っ?!」

 『パタンッ』

 店を出たら、猛ダッシュだ。
 何か捕まる気がするから、スペシャルダッシュ。
 風を感じろ。
 風になるんだ自分。
 酔っ払いのダッシュ。
 心臓に来る……

 いつもと反対側に駆け、角を曲がって一息。
 ソォ~っと店を確認すると、サト先生とミッツが出て来るのが見えた。
 危うく回収される所だったらしい。
 ふぅ。



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