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二章 炎の英雄
第11話 ヒバナに温められて
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『11話:ヒバナに温められて』
朝の息が白くなるほど寒い時。
焚き火の前で二人の男女がしゃがんでいた。
「戻って来たんだ」
女が言う。
男はシリウス。今までイフリートに身体を乗っ取られていた。
女は顔を火に照らされて、微笑みながら、シリウスに告げる。
「村を助けてくれて、ありがとう」
「俺じゃない。俺は何も出来なかったしな」
「君が来てくれたから、村は昨日を越せたんだよ」
二人して焚き火をじっと見詰める。
焚き火で勇気を、そして想いを灯すように火花が弾けた。
「私ね、君が好きなんだ」
「イフリートじゃなくて、俺なんだ」
「うん、君の頑張っている姿が好き」
「例え、それが私じゃない。誰かの為だとしても」
「ずるいな、そんな懸命な顔を見せる」
「君を好きになっちゃったんだ」
俺はヒバナの姿を眼に映す。
人一人を照らす程に輝く小さな火。ヒバナは俺の傍に寄り添ってくれる。
――それでも、ユズリハの笑顔と悲しい背中が忘れられない。
「俺には会いたい人がいる。彼女に追いつきたい」
「だから、ごめん。君の想いには応えられない」
ヒバナは寂しそうに微笑んだ。
シリウスに想い、届かない。
だけど、ヒバナは静かに焚き木を入れる。
「――それでも」
「それでも、何か君に残したかったんだ」
「君が私と出会えて、良かったと思えるように」
「私を忘れないように」
――火は熱い。
彼女の祈りと想いに心が動く。
朝の息が白くなるほど寒い時。
焚き火の前で二人の男女がしゃがんでいた。
「戻って来たんだ」
女が言う。
男はシリウス。今までイフリートに身体を乗っ取られていた。
女は顔を火に照らされて、微笑みながら、シリウスに告げる。
「村を助けてくれて、ありがとう」
「俺じゃない。俺は何も出来なかったしな」
「君が来てくれたから、村は昨日を越せたんだよ」
二人して焚き火をじっと見詰める。
焚き火で勇気を、そして想いを灯すように火花が弾けた。
「私ね、君が好きなんだ」
「イフリートじゃなくて、俺なんだ」
「うん、君の頑張っている姿が好き」
「例え、それが私じゃない。誰かの為だとしても」
「ずるいな、そんな懸命な顔を見せる」
「君を好きになっちゃったんだ」
俺はヒバナの姿を眼に映す。
人一人を照らす程に輝く小さな火。ヒバナは俺の傍に寄り添ってくれる。
――それでも、ユズリハの笑顔と悲しい背中が忘れられない。
「俺には会いたい人がいる。彼女に追いつきたい」
「だから、ごめん。君の想いには応えられない」
ヒバナは寂しそうに微笑んだ。
シリウスに想い、届かない。
だけど、ヒバナは静かに焚き木を入れる。
「――それでも」
「それでも、何か君に残したかったんだ」
「君が私と出会えて、良かったと思えるように」
「私を忘れないように」
――火は熱い。
彼女の祈りと想いに心が動く。
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