転生したら人魚姫いやもといオスなので王子でしたが失礼それはさておき隣国の王女に負けたくないですハピエンになりたいです

壱度木里乃(イッチー☆ドッキリーノ)

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これからナニをやるぞといった感が満載

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「そうか、果物のウドブが好きか…食べさせてあげよう」

 果物のウドブというのかと思いながら、摘まんで口元へと差し出された実をパクリと食べてみます。

「!!」

 噛んだ途端に果実がぷしゅっと潰れて、口の中に広がった甘さにキリンエットは目を見開きました。

「気に入ったか」

 尋ねられて素直にコクコクと頷きます。
 とても美味しいのです。
 王子が、そうかと微笑んでまた一粒摘まんで唇へとあててきました。
 パクリと食べてはまた差し出され、パクリと食べてはまた差し出されて。
 たまに指が口の中へとスルリと入ってきて、噛みそうになるのをンッと堪えると唾液が唇の端から垂れてしまいます。
 その滴りをなぜだかペロリと王子が嬉しそうに舌で拭い取ります。
 濡れた自分の指もです。
 すると、ヤバいな、マジでと王子が家来には聞こえないほどの小声で呟きました。

「こんなにウドブが好きならば…そうだな、ンイワを」

 パチンと指を鳴らした王子の命令に、すぐさま赤い液体が入ったグラスがお盆にのせられて運ばれてきました。

(あっ…お酒だ)

 ジュースではないことをキリンエットは即座に察知しました。
 おばあさまの貯蔵室にこっそりと忍びこんでは、ボケてきているのをいいことにくすねたことがあったからです。
 ですが、表向きには初めての酒類です。
 それに人間世界でのお酒ですから、ここで初めてだと断言したところで誰からも嘘つき呼ばわりされることはないでしょう。
 いやそれよりも想像以上に成魚前に禁を破っているな、この子――だなんて、そんなことも思ってもいけません。
 思春期なんて誰しもそんなものなのですから。
 特別じゃない、どこにでもいますがなの少年Aだったのです。
 そんなキリンエットがじれったい、じれったいと上目遣いに見ていると、グラスを手にした王子がゴクリとまずは自分の口に含みました。
 そして、くいっとあごを掴まれたと感じるや否や、口づけられてしまったのです。

「んーっ!!」

 多くの人間が見ている前でとキリンエットが焦るのもなんのその、なんというやんちゃぶりでしょう。
 こちらの方こそ未婚の王子としてはかなりのはみ出し系です。

「ぅんっ…ふっ…んっ…んっ」

 しかも、しかもですよ。
 強引に注がれては飲まされて、また口移しで注がれては飲まされてと。
 息する隙もありません。
 どれほど手慣れているのでしょう。
 気がつけば寝具に押し倒されていて、またもやタオルケットの中を熱い手が怪しく動き回っています。
 性技における熟練ぶりといったら末恐ろしいばかりです。

「ウドブと酒と…適当に置いて皆、下がれ」

 王子が身を起こすと周囲に控える家来たちに命じました。
 シュルッとシャツの襟元を緩めて、情欲に濡れた碧い瞳で見下ろして。
 それはそれはこれからナニをやるぞといった感が満載です。
 とんでもない展開です。
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