31 / 50
これからナニをやるぞといった感が満載
しおりを挟む
「そうか、果物のウドブが好きか…食べさせてあげよう」
果物のウドブというのかと思いながら、摘まんで口元へと差し出された実をパクリと食べてみます。
「!!」
噛んだ途端に果実がぷしゅっと潰れて、口の中に広がった甘さにキリンエットは目を見開きました。
「気に入ったか」
尋ねられて素直にコクコクと頷きます。
とても美味しいのです。
王子が、そうかと微笑んでまた一粒摘まんで唇へとあててきました。
パクリと食べてはまた差し出され、パクリと食べてはまた差し出されて。
たまに指が口の中へとスルリと入ってきて、噛みそうになるのをンッと堪えると唾液が唇の端から垂れてしまいます。
その滴りをなぜだかペロリと王子が嬉しそうに舌で拭い取ります。
濡れた自分の指もです。
すると、ヤバいな、マジでと王子が家来には聞こえないほどの小声で呟きました。
「こんなにウドブが好きならば…そうだな、ンイワを」
パチンと指を鳴らした王子の命令に、すぐさま赤い液体が入ったグラスがお盆にのせられて運ばれてきました。
(あっ…お酒だ)
ジュースではないことをキリンエットは即座に察知しました。
おばあさまの貯蔵室にこっそりと忍びこんでは、ボケてきているのをいいことにくすねたことがあったからです。
ですが、表向きには初めての酒類です。
それに人間世界でのお酒ですから、ここで初めてだと断言したところで誰からも嘘つき呼ばわりされることはないでしょう。
いやそれよりも想像以上に成魚前に禁を破っているな、この子――だなんて、そんなことも思ってもいけません。
思春期なんて誰しもそんなものなのですから。
特別じゃない、どこにでもいますがなの少年Aだったのです。
そんなキリンエットがじれったい、じれったいと上目遣いに見ていると、グラスを手にした王子がゴクリとまずは自分の口に含みました。
そして、くいっとあごを掴まれたと感じるや否や、口づけられてしまったのです。
「んーっ!!」
多くの人間が見ている前でとキリンエットが焦るのもなんのその、なんというやんちゃぶりでしょう。
こちらの方こそ未婚の王子としてはかなりのはみ出し系です。
「ぅんっ…ふっ…んっ…んっ」
しかも、しかもですよ。
強引に注がれては飲まされて、また口移しで注がれては飲まされてと。
息する隙もありません。
どれほど手慣れているのでしょう。
気がつけば寝具に押し倒されていて、またもやタオルケットの中を熱い手が怪しく動き回っています。
性技における熟練ぶりといったら末恐ろしいばかりです。
「ウドブと酒と…適当に置いて皆、下がれ」
王子が身を起こすと周囲に控える家来たちに命じました。
シュルッとシャツの襟元を緩めて、情欲に濡れた碧い瞳で見下ろして。
それはそれはこれからナニをやるぞといった感が満載です。
とんでもない展開です。
果物のウドブというのかと思いながら、摘まんで口元へと差し出された実をパクリと食べてみます。
「!!」
噛んだ途端に果実がぷしゅっと潰れて、口の中に広がった甘さにキリンエットは目を見開きました。
「気に入ったか」
尋ねられて素直にコクコクと頷きます。
とても美味しいのです。
王子が、そうかと微笑んでまた一粒摘まんで唇へとあててきました。
パクリと食べてはまた差し出され、パクリと食べてはまた差し出されて。
たまに指が口の中へとスルリと入ってきて、噛みそうになるのをンッと堪えると唾液が唇の端から垂れてしまいます。
その滴りをなぜだかペロリと王子が嬉しそうに舌で拭い取ります。
濡れた自分の指もです。
すると、ヤバいな、マジでと王子が家来には聞こえないほどの小声で呟きました。
「こんなにウドブが好きならば…そうだな、ンイワを」
パチンと指を鳴らした王子の命令に、すぐさま赤い液体が入ったグラスがお盆にのせられて運ばれてきました。
(あっ…お酒だ)
ジュースではないことをキリンエットは即座に察知しました。
おばあさまの貯蔵室にこっそりと忍びこんでは、ボケてきているのをいいことにくすねたことがあったからです。
ですが、表向きには初めての酒類です。
それに人間世界でのお酒ですから、ここで初めてだと断言したところで誰からも嘘つき呼ばわりされることはないでしょう。
いやそれよりも想像以上に成魚前に禁を破っているな、この子――だなんて、そんなことも思ってもいけません。
思春期なんて誰しもそんなものなのですから。
特別じゃない、どこにでもいますがなの少年Aだったのです。
そんなキリンエットがじれったい、じれったいと上目遣いに見ていると、グラスを手にした王子がゴクリとまずは自分の口に含みました。
そして、くいっとあごを掴まれたと感じるや否や、口づけられてしまったのです。
「んーっ!!」
多くの人間が見ている前でとキリンエットが焦るのもなんのその、なんというやんちゃぶりでしょう。
こちらの方こそ未婚の王子としてはかなりのはみ出し系です。
「ぅんっ…ふっ…んっ…んっ」
しかも、しかもですよ。
強引に注がれては飲まされて、また口移しで注がれては飲まされてと。
息する隙もありません。
どれほど手慣れているのでしょう。
気がつけば寝具に押し倒されていて、またもやタオルケットの中を熱い手が怪しく動き回っています。
性技における熟練ぶりといったら末恐ろしいばかりです。
「ウドブと酒と…適当に置いて皆、下がれ」
王子が身を起こすと周囲に控える家来たちに命じました。
シュルッとシャツの襟元を緩めて、情欲に濡れた碧い瞳で見下ろして。
それはそれはこれからナニをやるぞといった感が満載です。
とんでもない展開です。
10
あなたにおすすめの小説
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
この俺が正ヒロインとして殿方に求愛されるわけがない!
ゆずまめ鯉
BL
五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。
ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。
これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。
ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!?
ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19)
公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
【完結済】虚な森の主と、世界から逃げた僕〜転生したら甘すぎる独占欲に囚われました〜
キノア9g
BL
「貴族の僕が異世界で出会ったのは、愛が重すぎる“森の主”でした。」
平凡なサラリーマンだった蓮は、気づけばひ弱で美しい貴族の青年として異世界に転生していた。しかし、待ち受けていたのは窮屈な貴族社会と、政略結婚という重すぎる現実。
そんな日常から逃げ出すように迷い込んだ「禁忌の森」で、蓮が出会ったのは──全てが虚ろで無感情な“森の主”ゼルフィードだった。
彼の周囲は生命を吸い尽くし、あらゆるものを枯らすという。だけど、蓮だけはなぜかゼルフィードの影響を受けない、唯一の存在。
「お前だけが、俺の世界に色をくれた」
蓮の存在が、ゼルフィードにとってかけがえのない「特異点」だと気づいた瞬間、無感情だった主の瞳に、激しいまでの独占欲と溺愛が宿る。
甘く、そしてどこまでも深い溺愛に包まれる、異世界ファンタジー
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる