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***初めての悪意キッツーとニヤン***
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(これが学校かぁ…)
博士と騎士団長と学校見学は済ませてはいても一人で教室に入るのは初めてです。
本や話で知っている世界ではあっても実際に体験するのとは異なります。
キョロキョロと見渡しながら、事前に聞かされ、記憶に入力していた場所へと人形は座りました。
学力別のクラス編成でしたが、入学した学年は意図的に一番下の学級です。
激しい競争社会でもまれることよりも、社会性や協調性が身につくことを博士が重視したからでした。
もちろん性的実地訓練などありません。
見学を強いていたローギィ騎士団長とは違うのです。
国語、数学、地理、理科と。
既に学習した情報も多く含まれていましたが、黒板の文字一つ一つを一生懸命にノートに書き写し、先生の話に熱心に耳を傾け、キラキラと目を輝かせます。
それが学校での作法だと学んでいたからです。
いいぞ、サンピーノキオと。
その調子だ、サンピーノキオと人形は久しぶりに自身を鼓舞しました。
搭載された学習機能が、外の世界に視線を注いで自らの立ち位置の認識を得なさいと働きかけてきます。
それは人間における知的好奇心と全く同じ欲求でした。
(まだだ…)
まだ早いと人形は午後の授業で判断しました。
今日は初日なのだからと。
でも明日か明後日か。
ぼくもみんなの前で手を挙げて答えてみたいと期待に胸を膨らませました。
そしてあっという間に一日を終えて、ホカホカした気持ちで帰ろうとしたその時です。
背後から声をかけられました。
「おい、そこのお前、今日から転入したみたいだけど、オレたちに挨拶はねぇのかよ」
「そうだよ、失礼な奴だな」
振り返ると、ひょろりと背の高い細目の少年と、同じく細目ですが小柄で横幅のある少年が立っていました。
「えっと…だれ?」
人形の返事を聞いてフンッと二人は鼻で笑いました。
「これだから田舎者は」
「ほんとですよねぇ」
ジジジジ…と対象者に瞳が焦点をあてて秘かに分析を始めます。
けれども、あからさまに見下していやらしく笑っている人間としか情報は得られませんでした。
落ちぶれた貴族の息子キッツ-・ネーと自称貴族の成金息子ニヤン・コーという人物であることは人形が後から知ったことでした。
「聞いて驚くなよ。こちらの方は名門男爵家ネー家のキッツーさまで、そしてオレがコー家のニヤンさまだ」
(ネー家…キッツーさまと…コー家…ニヤンさま…)
家名を出されたところで人形にはピンときません。
なぜならそれらの情報は人形の中で入力対象となっていなかったからです。
けれども自己紹介をされた場合は返すのが礼節のはずです。
「こんにちは。ぼくはサンピーノキオ・ローギィです。父はコーオ・ローギィです」
事前に騎士団長から指示されていた通りに名乗りました。
「なんだって!!」
すると二人が大声を上げた後に顔を見合わせました。
博士と騎士団長と学校見学は済ませてはいても一人で教室に入るのは初めてです。
本や話で知っている世界ではあっても実際に体験するのとは異なります。
キョロキョロと見渡しながら、事前に聞かされ、記憶に入力していた場所へと人形は座りました。
学力別のクラス編成でしたが、入学した学年は意図的に一番下の学級です。
激しい競争社会でもまれることよりも、社会性や協調性が身につくことを博士が重視したからでした。
もちろん性的実地訓練などありません。
見学を強いていたローギィ騎士団長とは違うのです。
国語、数学、地理、理科と。
既に学習した情報も多く含まれていましたが、黒板の文字一つ一つを一生懸命にノートに書き写し、先生の話に熱心に耳を傾け、キラキラと目を輝かせます。
それが学校での作法だと学んでいたからです。
いいぞ、サンピーノキオと。
その調子だ、サンピーノキオと人形は久しぶりに自身を鼓舞しました。
搭載された学習機能が、外の世界に視線を注いで自らの立ち位置の認識を得なさいと働きかけてきます。
それは人間における知的好奇心と全く同じ欲求でした。
(まだだ…)
まだ早いと人形は午後の授業で判断しました。
今日は初日なのだからと。
でも明日か明後日か。
ぼくもみんなの前で手を挙げて答えてみたいと期待に胸を膨らませました。
そしてあっという間に一日を終えて、ホカホカした気持ちで帰ろうとしたその時です。
背後から声をかけられました。
「おい、そこのお前、今日から転入したみたいだけど、オレたちに挨拶はねぇのかよ」
「そうだよ、失礼な奴だな」
振り返ると、ひょろりと背の高い細目の少年と、同じく細目ですが小柄で横幅のある少年が立っていました。
「えっと…だれ?」
人形の返事を聞いてフンッと二人は鼻で笑いました。
「これだから田舎者は」
「ほんとですよねぇ」
ジジジジ…と対象者に瞳が焦点をあてて秘かに分析を始めます。
けれども、あからさまに見下していやらしく笑っている人間としか情報は得られませんでした。
落ちぶれた貴族の息子キッツ-・ネーと自称貴族の成金息子ニヤン・コーという人物であることは人形が後から知ったことでした。
「聞いて驚くなよ。こちらの方は名門男爵家ネー家のキッツーさまで、そしてオレがコー家のニヤンさまだ」
(ネー家…キッツーさまと…コー家…ニヤンさま…)
家名を出されたところで人形にはピンときません。
なぜならそれらの情報は人形の中で入力対象となっていなかったからです。
けれども自己紹介をされた場合は返すのが礼節のはずです。
「こんにちは。ぼくはサンピーノキオ・ローギィです。父はコーオ・ローギィです」
事前に騎士団長から指示されていた通りに名乗りました。
「なんだって!!」
すると二人が大声を上げた後に顔を見合わせました。
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