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***生粋のワルにそそのかされる人形***
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キッツーとニヤンが直ちに背中を向けて「もしかして、こいつは…」とヒソヒソ話を始めます。
人形の耳がすかさず集音機能の性能を上げました。
どうやら、あの有名な騎士団長の隠し子が特別入学してくるらしいと。
耳ざとい父親たちから聞いて転入を知っていたようです。
どうせ、田舎者だ。
ノータリンに決まっている。
金を持っていたら根こそぎもらってやろうと。
既に心根の腐っていた彼らはほくそ笑みました。
うまく騎士団長の弱みでも掴めれば、父親に取り入ることもできます。
(どういう意味だろう…?)
人形が首を傾げました。
何とはなしに聞き取れてはいますが、いひひだとか、うししだとか。
独特がすぎる笑い声と隠語の混ざる話は人形の現時点の理解領域を越えていました。
なによりも人形は悪意といったものに触れたことがなかったのです。
「サンピーノキオさま、あなたみたいな素晴らしい方にお目にかかれて光栄です。ぜひとも、お友達になって下さい」
「私とも、お友達になって下さい、ぜひ」
途端に手のひらを返したようにキッツーとニヤンが笑顔で話しかけてきました。
ですが初めての申し出の、友達という魅力的な響きを耳にして、隠された下心など人形にはまだ見抜けるはずがありません。
(お友達…)
キラキラと無邪気な人形は瞳を輝かせました。
初日に学校でお友達ができたと報告したら、博士はきっと喜ぶだろうと思ったのです。
「さぁさぁ、私のことはキッツーとお呼び下さい」
「私はニヤンと」
「キッツー、ニヤン…じゃあ、ぼくのことはサンピーノキオと」
にこやかに返されて、こいつは御しやすいぞとキッツーとニヤンは腹の底で笑い合いました。
「いやいや、ぼくらはサンピーノキオさまと呼ばないと怒られちゃいますからね」
「怒られちゃう?」
「そうですよ、身分をわきまえないと。それよりも、これから一緒に遊びに行きませんか」
「遊びに?」
「そうです、見世物小屋がこの近くで見られるんですよ」
「見世物小屋?」
「知らないですか? 面白いですよ、さぁさぁ、行きましょう、行きましょう」
ぐいぐいと強引に腕を引っ張られて人形が「あ、でも、プノーシンが待ってるから」と咄嗟に足を踏んばりました。
「プノーシン?」
「うん、ぼくが終わるのを待ってるんだ」
「あぁ…召使いを待たせてるのですか」
「それだったら先に帰るよう、私が伝えてきますよ」
邪魔者は排除しようとニヤンがすぐさま駆けだします。
人形が慌てて引き止めました。
「えっ、だめだよ、それは」
「ぼくたちがお屋敷までちゃんと送って差し上げますから、召使いがいなくても心配はいりませんよ」
騙す側としては知恵のある従者にでも付いてこられては何かと都合が悪いのです。
キッツーが直ちに間に入りこみました。
「プノーシンは召使いじゃないよ、友達なんだ」
自分の口で発言しておきながら、そうだよと人形は合点しました。
ジェペット博士がプノーシンに言っていたのです。
プノーシンは護衛ではあるけど、ノキオのいいお友達にもなってねと。
そうなると、プノーシンこそが初めての友達です。
人形は時間差で学習をしました。
「プノーシンが一緒じゃないと、ぼくは行けないよ」
今から面白い場所に行くというのなら、大事な友達のプノーシンだけを帰すわけにはいきません。
人形はきっぱりと告げました。
人形の耳がすかさず集音機能の性能を上げました。
どうやら、あの有名な騎士団長の隠し子が特別入学してくるらしいと。
耳ざとい父親たちから聞いて転入を知っていたようです。
どうせ、田舎者だ。
ノータリンに決まっている。
金を持っていたら根こそぎもらってやろうと。
既に心根の腐っていた彼らはほくそ笑みました。
うまく騎士団長の弱みでも掴めれば、父親に取り入ることもできます。
(どういう意味だろう…?)
人形が首を傾げました。
何とはなしに聞き取れてはいますが、いひひだとか、うししだとか。
独特がすぎる笑い声と隠語の混ざる話は人形の現時点の理解領域を越えていました。
なによりも人形は悪意といったものに触れたことがなかったのです。
「サンピーノキオさま、あなたみたいな素晴らしい方にお目にかかれて光栄です。ぜひとも、お友達になって下さい」
「私とも、お友達になって下さい、ぜひ」
途端に手のひらを返したようにキッツーとニヤンが笑顔で話しかけてきました。
ですが初めての申し出の、友達という魅力的な響きを耳にして、隠された下心など人形にはまだ見抜けるはずがありません。
(お友達…)
キラキラと無邪気な人形は瞳を輝かせました。
初日に学校でお友達ができたと報告したら、博士はきっと喜ぶだろうと思ったのです。
「さぁさぁ、私のことはキッツーとお呼び下さい」
「私はニヤンと」
「キッツー、ニヤン…じゃあ、ぼくのことはサンピーノキオと」
にこやかに返されて、こいつは御しやすいぞとキッツーとニヤンは腹の底で笑い合いました。
「いやいや、ぼくらはサンピーノキオさまと呼ばないと怒られちゃいますからね」
「怒られちゃう?」
「そうですよ、身分をわきまえないと。それよりも、これから一緒に遊びに行きませんか」
「遊びに?」
「そうです、見世物小屋がこの近くで見られるんですよ」
「見世物小屋?」
「知らないですか? 面白いですよ、さぁさぁ、行きましょう、行きましょう」
ぐいぐいと強引に腕を引っ張られて人形が「あ、でも、プノーシンが待ってるから」と咄嗟に足を踏んばりました。
「プノーシン?」
「うん、ぼくが終わるのを待ってるんだ」
「あぁ…召使いを待たせてるのですか」
「それだったら先に帰るよう、私が伝えてきますよ」
邪魔者は排除しようとニヤンがすぐさま駆けだします。
人形が慌てて引き止めました。
「えっ、だめだよ、それは」
「ぼくたちがお屋敷までちゃんと送って差し上げますから、召使いがいなくても心配はいりませんよ」
騙す側としては知恵のある従者にでも付いてこられては何かと都合が悪いのです。
キッツーが直ちに間に入りこみました。
「プノーシンは召使いじゃないよ、友達なんだ」
自分の口で発言しておきながら、そうだよと人形は合点しました。
ジェペット博士がプノーシンに言っていたのです。
プノーシンは護衛ではあるけど、ノキオのいいお友達にもなってねと。
そうなると、プノーシンこそが初めての友達です。
人形は時間差で学習をしました。
「プノーシンが一緒じゃないと、ぼくは行けないよ」
今から面白い場所に行くというのなら、大事な友達のプノーシンだけを帰すわけにはいきません。
人形はきっぱりと告げました。
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