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なるほど、間違いなく説明通りの絵が描かれている。
しかし、それだと奇妙な話だ。
少しばかり実やら枝やらはあげられるとしても、切り株になってしまったらそれこそ木としてはどうしようもない。
どういうことなのだろうと私も腑に落ちない。
かえって、守くんに尋ねるような言葉が口から出てしまった。
「そうだね、よくわからないけど……大好きだから、そこまでしてあげたってことなのかな?」
「いや、オレもそう思ったけどさ、でもさ、大好きでも、それは無理だろって思うよね? 木だってさ、いくらなんでもこんな状態になったら困るよね?」
「うん、すごく困ると思うよ。枝も葉もない状態になっちゃうとね、もう朽ちていくしかない……でも、小さな若芽が出ることも……う~ん、だけど、それも厳しいような気がするなぁ」
守くんと黙ったまま頁を何度も見返す時間が過ぎる。
幼い少年が勇気を出して声をかけてきた理由、おそらくは同じ木の側としてどういう気持ちなのかを知りたかったのだろう。
けれども、正直わからないとしか言いようがない。
この物語の中のリンゴの木が自身よりもその人を選んだということはわかる。
だけど、一体それはなぜなのだろうか。
「この本さ、母さんが好きでさ……いま体調よくなくて入院してるんだけどさ、夏休みの宿題の読書感想文になにを書くのって聞いてきて……だから、オレ、母さんの好きな本にしようかなって思ったんだけど、全然わからないからさ」
そうか最近、守くんのお母さん、見かけないと思ったらそういう理由だったんだね。
守くんのお母さんはいつだって、私が花を咲かせると舞い落ちる花びらを手のひらで掴むようにしては掴めずに笑って。
そんな風に遊んでくれていたけれど、この間はすごく顔色がよくなかったから心配していたんだ。
「お母さんには話したの? この本、読んだんだけど、よくわからないって」
「いや、だからさ、オレとしてはさ、なんか感想文をバーンと書いたの、いきなり見せて、びっくりさせたかったんだよな」
「ふふっ…その気持ちもわかるけど、お母さんの好きな本ならば、どこが好きなのかを聞いてごらんよ。あぁ、そういうことなのかってわかることもあるかもよ」
「ん、そうだね……そうする」
守くんはそう返事をして本を鞄にしまうと突然、私に抱きついてきた。
しかし、それだと奇妙な話だ。
少しばかり実やら枝やらはあげられるとしても、切り株になってしまったらそれこそ木としてはどうしようもない。
どういうことなのだろうと私も腑に落ちない。
かえって、守くんに尋ねるような言葉が口から出てしまった。
「そうだね、よくわからないけど……大好きだから、そこまでしてあげたってことなのかな?」
「いや、オレもそう思ったけどさ、でもさ、大好きでも、それは無理だろって思うよね? 木だってさ、いくらなんでもこんな状態になったら困るよね?」
「うん、すごく困ると思うよ。枝も葉もない状態になっちゃうとね、もう朽ちていくしかない……でも、小さな若芽が出ることも……う~ん、だけど、それも厳しいような気がするなぁ」
守くんと黙ったまま頁を何度も見返す時間が過ぎる。
幼い少年が勇気を出して声をかけてきた理由、おそらくは同じ木の側としてどういう気持ちなのかを知りたかったのだろう。
けれども、正直わからないとしか言いようがない。
この物語の中のリンゴの木が自身よりもその人を選んだということはわかる。
だけど、一体それはなぜなのだろうか。
「この本さ、母さんが好きでさ……いま体調よくなくて入院してるんだけどさ、夏休みの宿題の読書感想文になにを書くのって聞いてきて……だから、オレ、母さんの好きな本にしようかなって思ったんだけど、全然わからないからさ」
そうか最近、守くんのお母さん、見かけないと思ったらそういう理由だったんだね。
守くんのお母さんはいつだって、私が花を咲かせると舞い落ちる花びらを手のひらで掴むようにしては掴めずに笑って。
そんな風に遊んでくれていたけれど、この間はすごく顔色がよくなかったから心配していたんだ。
「お母さんには話したの? この本、読んだんだけど、よくわからないって」
「いや、だからさ、オレとしてはさ、なんか感想文をバーンと書いたの、いきなり見せて、びっくりさせたかったんだよな」
「ふふっ…その気持ちもわかるけど、お母さんの好きな本ならば、どこが好きなのかを聞いてごらんよ。あぁ、そういうことなのかってわかることもあるかもよ」
「ん、そうだね……そうする」
守くんはそう返事をして本を鞄にしまうと突然、私に抱きついてきた。
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