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そんな風にどこか憮然とした口調で告げた君は。
きっかけはどうであれ、毎日の素振りでメキメキと剣道の腕を上げていったよね。
それだけじゃない。
体躯もあれよあれよと大きくなって、それこそまるで若竹の成長でも見ているかのようで驚かされたよ。
そう、まぶたを閉じれば、そこに。
今でも昨日のことのように思い出すよ。
全身から溢れ出る、色鮮やかさすら感じさせる守くんの生命力はとても眩しくて。
見目麗しい男の子としての成長を誇り高くも感じていて。
だから、その時の私は気がつかなかったんだ。
君が人の若者としては常軌を逸した形で、私に想いを寄せていたということに――
高校生になった、ある寒い二月の日。
一人の女の子がベンチに座って守くんのことを待ち伏せしていた時、君は彼女の姿を目にした途端に激高したね。
彼女は震える声で「これを受け取って欲しくて」ときれいな包みの箱を差し出した。
けれども君は、
「いらねーよ、とにかく早く出て行けよっ!!」
と箱を叩いて全身で拒絶した。
そのあまりの剣幕に彼女は泣きながら走り去って行ったよね。
人の社会にはバレンタインデーという愛の告白の日があることを私は知っていたから、地面に落とされた箱にはきっとチョコレートという甘いお菓子が入っているとすぐさまピンときたよ。
「彼女はね、守くんに好意を持っていたんだと思うよ……もう少し、優しく接してあげればよかったのに」
だから諭すようにそう告げたというのに。
守くんは箱を拾い上げると勢いよく公園のゴミ箱に投げ捨てたんだ。
私は慌てて、人が見ていたかもしれなかったのに枝を使って取り出した。
「守くん、たとえ応えられないとしても人の気持ちを踏みにじるようなことをしてはダメだよ」
まだまだ幼い君のことだから、好意を寄せてきた女の子の気持ちがわからなかったのだろうと。
でも、誰かに好きと告白することはとても勇気が要ることなんだよと。
思いやりのある大人になって欲しかったから、それを伝えたくて箱をその手に持たせながら付け加えた。
「自分と同じようにね、相手も痛みを感じる心を持っているんだからね……だからね…」
「ヨシノとオレの聖域に入ったんだから、当然だろ」
「えっ……あっ…」
きっかけはどうであれ、毎日の素振りでメキメキと剣道の腕を上げていったよね。
それだけじゃない。
体躯もあれよあれよと大きくなって、それこそまるで若竹の成長でも見ているかのようで驚かされたよ。
そう、まぶたを閉じれば、そこに。
今でも昨日のことのように思い出すよ。
全身から溢れ出る、色鮮やかさすら感じさせる守くんの生命力はとても眩しくて。
見目麗しい男の子としての成長を誇り高くも感じていて。
だから、その時の私は気がつかなかったんだ。
君が人の若者としては常軌を逸した形で、私に想いを寄せていたということに――
高校生になった、ある寒い二月の日。
一人の女の子がベンチに座って守くんのことを待ち伏せしていた時、君は彼女の姿を目にした途端に激高したね。
彼女は震える声で「これを受け取って欲しくて」ときれいな包みの箱を差し出した。
けれども君は、
「いらねーよ、とにかく早く出て行けよっ!!」
と箱を叩いて全身で拒絶した。
そのあまりの剣幕に彼女は泣きながら走り去って行ったよね。
人の社会にはバレンタインデーという愛の告白の日があることを私は知っていたから、地面に落とされた箱にはきっとチョコレートという甘いお菓子が入っているとすぐさまピンときたよ。
「彼女はね、守くんに好意を持っていたんだと思うよ……もう少し、優しく接してあげればよかったのに」
だから諭すようにそう告げたというのに。
守くんは箱を拾い上げると勢いよく公園のゴミ箱に投げ捨てたんだ。
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まだまだ幼い君のことだから、好意を寄せてきた女の子の気持ちがわからなかったのだろうと。
でも、誰かに好きと告白することはとても勇気が要ることなんだよと。
思いやりのある大人になって欲しかったから、それを伝えたくて箱をその手に持たせながら付け加えた。
「自分と同じようにね、相手も痛みを感じる心を持っているんだからね……だからね…」
「ヨシノとオレの聖域に入ったんだから、当然だろ」
「えっ……あっ…」
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