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告げ終わらないうちに、いつの間にか一回りも二回りも上背も横幅も大きくなった身体が力強く私の手を取って公園の隅へと引っ張っていく。
そこは沈丁花たちが鬱蒼と茂っていて人通りから死角になる一角だ。
その場所で、バサバサッと持っていた鞄や箱を地面に無造作に落とすとギュッと私を抱きしめてきた。
「ヨシノ、オレ……あんたじゃないとダメみたい」
聞こえてきた言葉はどういう意味なのか。
問いかけようとした私の口を守くんの唇が塞いだ。
しばらくの間、何をされているのか、全く分からずに目を見開いたまま立ちすくむことしかできなかった。
けれどもいつまでたっても離れないその唇から、君の舌と君の体液が、常に水分を欲する私の身体の中に入ってきた時、君の熱情も同時に私の内側へと流れこんできた。
その感覚を私は知っていた。
花粉がぎっしりと詰まった雄しべが雌しべに触れることをひたすらなまでに欲し、そして雌しべもまたその先端に荒々しく触れられることを望んでいる。
それは本能だ。
互いの到来を待ちわびて、そして交わることに存分に酔い痴れる自然の摂理だ。
だけど、守くんは人で私は木の精で。
私の見た目がたとえ人の男性と同じでも種族が異なることは間違いなく、そして生殖機能も排泄器官も持ち合わせていない私は男でも女でもない。
激しく口づけてくる守くんの腕の中で瞳を閉じて、その唾液と情熱を受け入れながらも混乱した頭で考えていた。
守くんに何があったのだろう。
あぁ、そうか。これが人の世界でいう思春期か。
きっと彼は性に対する何かもやもやと満たされない気持ちと、体の内側から湧き上がる疼きのような衝動を持て余すあまりに私にぶつけてきたのだろう。
「守くん……こういうことは好きな女の子とするものなんだよ」
そう理解して、吐息を漏らしながらようやく離れていった顔に言い聞かせるように話しかけた。
どんなに肉体が大きくなっても私にとってはいつまでもあどけなくて可愛い守くん。
君の幸せをいつだって望んできた。迷える君の道しるべになりたかった。
けれども――
「何度か試したんだけど、ダメだった……もちろん反応はするけど……する前も、してる時も、した後も、あんたのことしか考えてない」
そこは沈丁花たちが鬱蒼と茂っていて人通りから死角になる一角だ。
その場所で、バサバサッと持っていた鞄や箱を地面に無造作に落とすとギュッと私を抱きしめてきた。
「ヨシノ、オレ……あんたじゃないとダメみたい」
聞こえてきた言葉はどういう意味なのか。
問いかけようとした私の口を守くんの唇が塞いだ。
しばらくの間、何をされているのか、全く分からずに目を見開いたまま立ちすくむことしかできなかった。
けれどもいつまでたっても離れないその唇から、君の舌と君の体液が、常に水分を欲する私の身体の中に入ってきた時、君の熱情も同時に私の内側へと流れこんできた。
その感覚を私は知っていた。
花粉がぎっしりと詰まった雄しべが雌しべに触れることをひたすらなまでに欲し、そして雌しべもまたその先端に荒々しく触れられることを望んでいる。
それは本能だ。
互いの到来を待ちわびて、そして交わることに存分に酔い痴れる自然の摂理だ。
だけど、守くんは人で私は木の精で。
私の見た目がたとえ人の男性と同じでも種族が異なることは間違いなく、そして生殖機能も排泄器官も持ち合わせていない私は男でも女でもない。
激しく口づけてくる守くんの腕の中で瞳を閉じて、その唾液と情熱を受け入れながらも混乱した頭で考えていた。
守くんに何があったのだろう。
あぁ、そうか。これが人の世界でいう思春期か。
きっと彼は性に対する何かもやもやと満たされない気持ちと、体の内側から湧き上がる疼きのような衝動を持て余すあまりに私にぶつけてきたのだろう。
「守くん……こういうことは好きな女の子とするものなんだよ」
そう理解して、吐息を漏らしながらようやく離れていった顔に言い聞かせるように話しかけた。
どんなに肉体が大きくなっても私にとってはいつまでもあどけなくて可愛い守くん。
君の幸せをいつだって望んできた。迷える君の道しるべになりたかった。
けれども――
「何度か試したんだけど、ダメだった……もちろん反応はするけど……する前も、してる時も、した後も、あんたのことしか考えてない」
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