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3:アトラスの謎と猛烈な求愛と
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馬車が多い人間界で。大型獣の引く荷台もなくはないが、やはりそれなりに目立つ。従って日中は歩き、夜には追いついてきた獣車に乗って移動する。目的地ゴルゴーンの岩山を目指して。
居心地はもちろん申し分ない。揺れも一切感じさせない。けれども――
「だから!!」
この間も。抗っても抗っても。肩、腕、胸と。武具や防具が易々と取られては放りこまれ、次は身体だとばかりに抱え上げようとした相手の動きを制した。
「自分でできるから、身支度ぐらい!!」
相手の腕を振り切って。後ろに回ると足台に乗って荷台に腰掛ける。このままでは全部、問答無用で剥ぎ取られそうだと。自ら膝下の防具と革紐を外して靴を脱いだ。
衣服だけの身軽になった身体でのそのそと。両手両足で這うようにして上がって、ふわふわな敷布の上でゴロリと横になる。右半身が下になるようにして。
広さとしては大の男が二人横になって寝られるほど縦に長く、幅もある。けれども、大の字になって相手が来るのを待つほどの神経は持ち合わせていない。
ドックン、ドックン・・・と早打ちし始めた心臓と背中を意識しながら、ゴクリと嚥下した。四日目だろうと慣れるはずがない。
バサッ・・・
アトラスが中に入り、幌を元に戻した。呪符がこめられている布は風も音も遮断して、快適以外の何ものでもない空間が生まれる。
そこはまさに、やんごとなき方が使う寝室だと言っても過言ではないほどに心地が良くて。
「ッ!!」
その、ケールも中に入ってこない、二人だけとなった場所で。肩に手を置かれて、正面を向かされた。
「テセウス」
そのままのしかかってきた相手の。大きな腕が背中に回り、腰が浮き上がるほど強く抱きしめられた。その熱量に、ハァッ・・・と甘ったるい吐息が自然と漏れる。
「美しい・・・オレの・・・テセウス」
その響きとその抱擁は。好きで好きでたまらないという想いがこもっている。毎晩、行われる就寝前の慣例と化したかのような時間は。すぐさま、こめかみに、髪に、頬にと熱い唇が降りてくる。
「ッ・・・ア、アトラス・・・」
ドクドクと乱れた脈とカッカッと熱くなった頬で。わずかに身じろいだところで、解放されるはずがない。
そして、その腕の中で。布越しに感じる相手の肉体がどうしようもなく、知らしめてくるのだ。この男を相手にした場合、自分は間違いなく抱かれる側なのだと―――
「ん・・・」
耳を軽く噛まれて、思わず声が出た。
「よせって・・・」
その行為は実に危うくて。そう、本当に危うくて。流されそうになる。
「テセウス・・・怖がらなくていい」
身を強ばらせる自分への言葉もまただんだんと聞き慣れてきていて。戸惑いが抑えきれない。
「お前の嫌がることは決してしない」
そうは言ってくるけれども。隙あらばとばかりに。当然だとばかりに。傾いた顔が近づいてくるのだ。その唇を左手で押し返した。
「だから、言ってるだろ・・・オレは・・・」
「わかってる」
手首を強く握った相手に、手のひらに強く口づけられた。
「アトラス、よせって!!」
居心地はもちろん申し分ない。揺れも一切感じさせない。けれども――
「だから!!」
この間も。抗っても抗っても。肩、腕、胸と。武具や防具が易々と取られては放りこまれ、次は身体だとばかりに抱え上げようとした相手の動きを制した。
「自分でできるから、身支度ぐらい!!」
相手の腕を振り切って。後ろに回ると足台に乗って荷台に腰掛ける。このままでは全部、問答無用で剥ぎ取られそうだと。自ら膝下の防具と革紐を外して靴を脱いだ。
衣服だけの身軽になった身体でのそのそと。両手両足で這うようにして上がって、ふわふわな敷布の上でゴロリと横になる。右半身が下になるようにして。
広さとしては大の男が二人横になって寝られるほど縦に長く、幅もある。けれども、大の字になって相手が来るのを待つほどの神経は持ち合わせていない。
ドックン、ドックン・・・と早打ちし始めた心臓と背中を意識しながら、ゴクリと嚥下した。四日目だろうと慣れるはずがない。
バサッ・・・
アトラスが中に入り、幌を元に戻した。呪符がこめられている布は風も音も遮断して、快適以外の何ものでもない空間が生まれる。
そこはまさに、やんごとなき方が使う寝室だと言っても過言ではないほどに心地が良くて。
「ッ!!」
その、ケールも中に入ってこない、二人だけとなった場所で。肩に手を置かれて、正面を向かされた。
「テセウス」
そのままのしかかってきた相手の。大きな腕が背中に回り、腰が浮き上がるほど強く抱きしめられた。その熱量に、ハァッ・・・と甘ったるい吐息が自然と漏れる。
「美しい・・・オレの・・・テセウス」
その響きとその抱擁は。好きで好きでたまらないという想いがこもっている。毎晩、行われる就寝前の慣例と化したかのような時間は。すぐさま、こめかみに、髪に、頬にと熱い唇が降りてくる。
「ッ・・・ア、アトラス・・・」
ドクドクと乱れた脈とカッカッと熱くなった頬で。わずかに身じろいだところで、解放されるはずがない。
そして、その腕の中で。布越しに感じる相手の肉体がどうしようもなく、知らしめてくるのだ。この男を相手にした場合、自分は間違いなく抱かれる側なのだと―――
「ん・・・」
耳を軽く噛まれて、思わず声が出た。
「よせって・・・」
その行為は実に危うくて。そう、本当に危うくて。流されそうになる。
「テセウス・・・怖がらなくていい」
身を強ばらせる自分への言葉もまただんだんと聞き慣れてきていて。戸惑いが抑えきれない。
「お前の嫌がることは決してしない」
そうは言ってくるけれども。隙あらばとばかりに。当然だとばかりに。傾いた顔が近づいてくるのだ。その唇を左手で押し返した。
「だから、言ってるだろ・・・オレは・・・」
「わかってる」
手首を強く握った相手に、手のひらに強く口づけられた。
「アトラス、よせって!!」
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