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2章:逃げちゃいました~呪われたカエルの王さまヘーゼル・ナッツイリアル・フォート・ブルルボン~
見つかっちゃいました!!
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「我らが偉大なる王カール・オージー・サンデス・メイ・ジセイカ81世さまが人を探しておられる。
その者は麗しい御仁で少し特徴のある外見をしている。
服装は黄緑色、体躯はやや小柄。
似顔絵も用意してある――」
と一団の長であろうその黒騎士がビリビリと大気が震えるような声で話し始めた。
(麗しい御仁…人探しなのか…)
なんだかすごい探し方だなと思っていると、墓地のように静まりかえった門前でカッポ、カッポ、カッポ…と。
騎士が似顔絵の描かれた巻物を片手に持ち、馬上から見せつけるようにしながら周辺の民の前を回り始める。
(ん…?)
遠目越しにだが、その黄緑色の絵を見て何かしらの違和感を覚えるや否や、
「名はヘケロ殿だ。
タケノコーノ・サト島はキノーコ山の麓、オラーガ村出身。
いらっしゃった場合はお名乗り下さい。
もしくは関与した者は速やかに申告しろ!!」
と大音量で叫ばれた。
(えぇえぇぇ~~!?)
それは間違いなく自分だ。
疑いようもなく自分のことだ。
ど、どうして…とおののいた途端にバチッと既に地面に降り立っていたギュッテと目が合った。
(どういうこと…?)
と目で問いかけられて、わかりませんと首を振る。
まさか、まさか、まさか。
そうか、園遊会に出なかったことが不敬罪になったのかとサーッと青ざめた。
すると「カァーーッ」と大烏が鳴いてバサッと騎士の肩から飛び立った。
(げえぇーー!!)
こちらにまっすぐに飛んでくる様子にすぐさま幕を閉じる。
(まずい…)
ドックン、ドックン、ドックンと。
心臓が暴れて今にも口から飛び出しそうだ。
(に、逃げないと…)
アタフタと逃げ道を咄嗟に探し、いや、ダメだと改める。
ここで逃げたらそれこそ罪が増えるじゃないか。
でもだがしかし…と動揺しているとバサッと何かが天蓋に降り立ったような音がした。
「カァーーッ」
(げえぇーー!!)
頭上から聞こえてきた鳴き声に震え上がる。
なんて利口な烏なんだ。
もはや確実に居場所がバレている。
(ど、どうしよう…)
このまま梯子を下りて跳ねて逃げるか。
反対側の布から飛び出して跳ねて逃げるか。
いやどう考えたって跳ねて逃げたらダメだろ。
と恐怖と理性で頭の中が大混乱だ。
「あわわ…ケロロロ…」
カッポ、カッポ、カッポ…という複数の馬蹄の音とともに、
「タケノコーノ・サト島はキノーコ山の麓、オラーガ村のヘケロ殿がこの駅馬車に乗っているな?」
「は、はい」
と騎士のすごむような低い声と神妙なギュッテの返事が外から聞こえた。
「どこだ? 無事だろうな? 負傷などしてないだろうな?」
「に、二階です。
べ、別に特に…なにもないですが…」
(もうダメだ…)
怖い、怖くてたまらない。
ひ弱になったカエルハートだからなどとそういう問題ではない。
あんな大男、人間時代にも見たことがない。
覇者とか覇王レベルだ。
逃げられないこともバレバレだともわかっていても恐怖のあまりに、端に積んであった藁の中に半身を突っこんだ。
そのまま意味もなくバタバタと潜ろうとするが下半身は全く隠れてない。
ギシッという軋む音と一緒にグラリと馬車が大きく揺れる。
オオッと階下から声が上がった。
そのまま、ギシッ、バキッと梯子を上ってくる。
バサッと幕が持ち上げられて、外の光が射しこんだのだろう。
ブルブルと震える藁の中でなんとなく明るさを感じるや否や、声がした。
「ヘケロ殿…ですね?
怖がらないで下さい」
相手が膝を付き、ギシッと床がまた鳴った。
「ヘケロ殿…」
ギシッ、ギシッ、ギシッと近づいてくる。
その者は麗しい御仁で少し特徴のある外見をしている。
服装は黄緑色、体躯はやや小柄。
似顔絵も用意してある――」
と一団の長であろうその黒騎士がビリビリと大気が震えるような声で話し始めた。
(麗しい御仁…人探しなのか…)
なんだかすごい探し方だなと思っていると、墓地のように静まりかえった門前でカッポ、カッポ、カッポ…と。
騎士が似顔絵の描かれた巻物を片手に持ち、馬上から見せつけるようにしながら周辺の民の前を回り始める。
(ん…?)
遠目越しにだが、その黄緑色の絵を見て何かしらの違和感を覚えるや否や、
「名はヘケロ殿だ。
タケノコーノ・サト島はキノーコ山の麓、オラーガ村出身。
いらっしゃった場合はお名乗り下さい。
もしくは関与した者は速やかに申告しろ!!」
と大音量で叫ばれた。
(えぇえぇぇ~~!?)
それは間違いなく自分だ。
疑いようもなく自分のことだ。
ど、どうして…とおののいた途端にバチッと既に地面に降り立っていたギュッテと目が合った。
(どういうこと…?)
と目で問いかけられて、わかりませんと首を振る。
まさか、まさか、まさか。
そうか、園遊会に出なかったことが不敬罪になったのかとサーッと青ざめた。
すると「カァーーッ」と大烏が鳴いてバサッと騎士の肩から飛び立った。
(げえぇーー!!)
こちらにまっすぐに飛んでくる様子にすぐさま幕を閉じる。
(まずい…)
ドックン、ドックン、ドックンと。
心臓が暴れて今にも口から飛び出しそうだ。
(に、逃げないと…)
アタフタと逃げ道を咄嗟に探し、いや、ダメだと改める。
ここで逃げたらそれこそ罪が増えるじゃないか。
でもだがしかし…と動揺しているとバサッと何かが天蓋に降り立ったような音がした。
「カァーーッ」
(げえぇーー!!)
頭上から聞こえてきた鳴き声に震え上がる。
なんて利口な烏なんだ。
もはや確実に居場所がバレている。
(ど、どうしよう…)
このまま梯子を下りて跳ねて逃げるか。
反対側の布から飛び出して跳ねて逃げるか。
いやどう考えたって跳ねて逃げたらダメだろ。
と恐怖と理性で頭の中が大混乱だ。
「あわわ…ケロロロ…」
カッポ、カッポ、カッポ…という複数の馬蹄の音とともに、
「タケノコーノ・サト島はキノーコ山の麓、オラーガ村のヘケロ殿がこの駅馬車に乗っているな?」
「は、はい」
と騎士のすごむような低い声と神妙なギュッテの返事が外から聞こえた。
「どこだ? 無事だろうな? 負傷などしてないだろうな?」
「に、二階です。
べ、別に特に…なにもないですが…」
(もうダメだ…)
怖い、怖くてたまらない。
ひ弱になったカエルハートだからなどとそういう問題ではない。
あんな大男、人間時代にも見たことがない。
覇者とか覇王レベルだ。
逃げられないこともバレバレだともわかっていても恐怖のあまりに、端に積んであった藁の中に半身を突っこんだ。
そのまま意味もなくバタバタと潜ろうとするが下半身は全く隠れてない。
ギシッという軋む音と一緒にグラリと馬車が大きく揺れる。
オオッと階下から声が上がった。
そのまま、ギシッ、バキッと梯子を上ってくる。
バサッと幕が持ち上げられて、外の光が射しこんだのだろう。
ブルブルと震える藁の中でなんとなく明るさを感じるや否や、声がした。
「ヘケロ殿…ですね?
怖がらないで下さい」
相手が膝を付き、ギシッと床がまた鳴った。
「ヘケロ殿…」
ギシッ、ギシッ、ギシッと近づいてくる。
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