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3章:捕まっちゃいました~呪われたオメガの王さまmeetsカエルの王さま~
見事な切り返しで完全封鎖されちゃいました
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『ヘケロ、咎めとはなんのことだ?
どうやら少し混乱しているようだが、何も心配しなくていい。
顔を上げてくれ』
と袖捲りをしている逞しい手に両腕を捉えられた。
ビクッと反応してしまう。
『大丈夫、大丈夫だから。
護符も身に着けたことだし、我も…いやオレも自制できている。
なに一つ心配することなどない』
間近に近づいた黄金色の瞳が柔らかく微笑んだ。
『改めて自己紹介をしたい。
カール・オージー・サンデスだ。
先ほどは気持ちが昂ぶるがあまりに性急な求愛であったことを心より詫びたい』
手を優しく持ち上げられ、吸盤の柔らかさでも確かめるように指先で押された後に、
『一目見て、ヘケロに恋に落ちた。
どうか番になって頂けませんか』
と再度仕切り直されて、そうだったと意識を失う前の記憶が鮮やかに蘇った。
『あわわ…ケロロロ…』
またしても文字通り泡を拭きそうになりながらも答えは考えるまでもない一択だ。
けれども――
『曇り一点もない誠実な求婚ではあるが、いきなり番になって欲しいと言われても困惑するだけであることもよくわかっている。
だから生涯の伴侶としての相応しい資質を持っているかどうか、相性はいいかどうか。
どうだろうか、オレにお試し期間を与えてもらえないだろうか』
と続けられた。
つまりそれは、無理ですとは絶対に即答させない見事な切り返しなわけで。
逃げ場へのレインボーブリッジを完全に封鎖されたようなものだ。
それ以降、どれほど不釣り合いです、この身はカエルもどきなのですと伝えても。
不安になるのは当然だ、だからこそのお試し期間なのだと返される。
そして今現在、こうして目の前で食後のお茶の用意をされているのだ――
「それで明日の朝なのだが、ヘケロは今日の続きの土起こしを。
オレはヘケロの神事の域とも言える農作業の邪魔をしてはならないので、ブルガリリアに資材を取りにまた出かける。
用足し場は増築済みなので明日は浴室、あぁ、その前に小川から水路を引くか。
せっかくだからこの際、水車を作るのもいいかもしれないな。
まぁ、そこら辺は適当にやって、昼を食べたら村人への挨拶を付き合ってくれないか。
新茶摘みの前に懐中時計を全村民に手渡しておきたい」
と村に定住する気満々の相手が決して一日では容易ではない予定をサラリと口にしている。
「人口は申告では百六十九人のはずだが、念のため王宮から五百個持ってきた。
新王の時代には不要になる代物だからな」
そう話しながら沸騰した湯をまずは陶器に入れた。
白い黄金とも呼ばれる、王侯貴族の宮殿にしか見られないような異国の高級な器だ。
入れ終わると、こちらが所有のぼろぼろな袋に入っていた茶葉をパラパラとポットに落している。
なんだかとても楽しそうだ。
「ん、悪くない」
茶碗の湯を今度はポットへとゆっくりと移し替えると、茶器と一緒に持ってきて食卓になっている収納棚の上に置いた。
「北限の茶としてタケノコーノ・サト州で専売特許の登録をし、まずは元国王御用達品として貴族に売り出して知名度を上げる。
次に周辺の州と地域限定の実施権の設定契約をして生産量を上げ、全国展開にするのがいいと思う。
それならば村に負担にならない上に一定の安定した収入源になるしな」
椅子がないために再び胡座をかいた長身が語りながら、茶葉が開くまで律儀にちゃんとそのままの状態で待っている。
よほど緑茶が気に入ったらしい。
(頭、本当にいいよなぁ…)
どうやら少し混乱しているようだが、何も心配しなくていい。
顔を上げてくれ』
と袖捲りをしている逞しい手に両腕を捉えられた。
ビクッと反応してしまう。
『大丈夫、大丈夫だから。
護符も身に着けたことだし、我も…いやオレも自制できている。
なに一つ心配することなどない』
間近に近づいた黄金色の瞳が柔らかく微笑んだ。
『改めて自己紹介をしたい。
カール・オージー・サンデスだ。
先ほどは気持ちが昂ぶるがあまりに性急な求愛であったことを心より詫びたい』
手を優しく持ち上げられ、吸盤の柔らかさでも確かめるように指先で押された後に、
『一目見て、ヘケロに恋に落ちた。
どうか番になって頂けませんか』
と再度仕切り直されて、そうだったと意識を失う前の記憶が鮮やかに蘇った。
『あわわ…ケロロロ…』
またしても文字通り泡を拭きそうになりながらも答えは考えるまでもない一択だ。
けれども――
『曇り一点もない誠実な求婚ではあるが、いきなり番になって欲しいと言われても困惑するだけであることもよくわかっている。
だから生涯の伴侶としての相応しい資質を持っているかどうか、相性はいいかどうか。
どうだろうか、オレにお試し期間を与えてもらえないだろうか』
と続けられた。
つまりそれは、無理ですとは絶対に即答させない見事な切り返しなわけで。
逃げ場へのレインボーブリッジを完全に封鎖されたようなものだ。
それ以降、どれほど不釣り合いです、この身はカエルもどきなのですと伝えても。
不安になるのは当然だ、だからこそのお試し期間なのだと返される。
そして今現在、こうして目の前で食後のお茶の用意をされているのだ――
「それで明日の朝なのだが、ヘケロは今日の続きの土起こしを。
オレはヘケロの神事の域とも言える農作業の邪魔をしてはならないので、ブルガリリアに資材を取りにまた出かける。
用足し場は増築済みなので明日は浴室、あぁ、その前に小川から水路を引くか。
せっかくだからこの際、水車を作るのもいいかもしれないな。
まぁ、そこら辺は適当にやって、昼を食べたら村人への挨拶を付き合ってくれないか。
新茶摘みの前に懐中時計を全村民に手渡しておきたい」
と村に定住する気満々の相手が決して一日では容易ではない予定をサラリと口にしている。
「人口は申告では百六十九人のはずだが、念のため王宮から五百個持ってきた。
新王の時代には不要になる代物だからな」
そう話しながら沸騰した湯をまずは陶器に入れた。
白い黄金とも呼ばれる、王侯貴族の宮殿にしか見られないような異国の高級な器だ。
入れ終わると、こちらが所有のぼろぼろな袋に入っていた茶葉をパラパラとポットに落している。
なんだかとても楽しそうだ。
「ん、悪くない」
茶碗の湯を今度はポットへとゆっくりと移し替えると、茶器と一緒に持ってきて食卓になっている収納棚の上に置いた。
「北限の茶としてタケノコーノ・サト州で専売特許の登録をし、まずは元国王御用達品として貴族に売り出して知名度を上げる。
次に周辺の州と地域限定の実施権の設定契約をして生産量を上げ、全国展開にするのがいいと思う。
それならば村に負担にならない上に一定の安定した収入源になるしな」
椅子がないために再び胡座をかいた長身が語りながら、茶葉が開くまで律儀にちゃんとそのままの状態で待っている。
よほど緑茶が気に入ったらしい。
(頭、本当にいいよなぁ…)
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