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イケオジでしかないキングアルファなおじいさんと艶っぽさが微塵たりとも衰えぬ極上クィーンオメガなおばあさん
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昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが仲良く暮らしていました。
二人はおじいさんとおばあさんといっても戸籍年齢と肉体年齢が見事に一致しない人たちでした。
だけど、そうはいっても所詮は爺さまと婆さまなわけでしょ――と思った方々はご自身のその感性に誇りを持って下さい。
日本昔話風のほのぼの爺さま婆さまの絵柄が炸裂するか、西洋のダンディズム混在画像が脳内に一気にはびこるか。
それらは生まれ育った環境がというよりは各々の嗜好が容赦なく決定づけるのですから、こればかりはどうしようもありません。
とにかくイケオジでしかないキングアルファなおじいさんと、艶っぽさが微塵たりとも衰えぬ極上クィーンオメガなおばあさんがいて。
二人のふさふさと豊かな髪は白髪というよりはむしろ、子供の頃からの揺るがない白金ヘアのようでした。
そして年齢を感じさせない肌質と肉体美はもはや違った意味での年齢詐称詐欺でした。
加えておじいさんの黄緑色の瞳とおばあさんの薄紫色の瞳といったら、もう生きた宝石でした。
このように両者ともに世界ギネス級のハーレムを作っていても何一つおかしくない美麗ぶりでしたが、互いを唯一無二の伴侶としてとてもとても愛しあっていたのです。
それはかつてビッチと紙一重だった総受けのおばあさんがあわやモブレかとなった時に、総攻めで名の知れたおじいさんが拳一つで助けに入って以来ずっとずっと恋しちゃってたからなのでした。
「ねぇ、おじいさん、こんな天気だから別に無理して出かけなくても」
おばあさんが心配そうにおじいさんに問いかけました。
今年もあと一日、明日はお正月です。
このまま二人でラブラブに過ごしたかったのです。
ですが、おじいさんはというと縦にやたらと長くて大きい箱型の鞄を背負っています。
おじいさんはおじいさんで心から愛するおばあさんに大晦日なのだから何か美味しいものを買ってきてあげたいと思っていました。
それなので大丈夫だよ、すぐに帰るからねと告げると両脇にも袋を抱えて雪が降る中を出かけていきました。
町に行く途中、道の傍らにお地蔵さんが五体立っていました。
「やぁ、みんな、今日も元気かい? 前を失礼」
キランと白い歯を見せておじいさんが笑いかけました。
ですが、すぐさま、ん?と首を傾げました。
見ると雪が頭の上に積もりに積もっているではありませんか。
「なんだか寒そうだね」
身も心も紛う方なきジェントルマンなおじいさんが大きな手で一つ一つの頭上の雪を優しく払ってあげました。
そしてまた歩き始めると目的地である町の市場へと着いたのでした。
ところがどういうわけだか、先ほどのお地蔵さんたちのことが気になって仕方ありません。
いつもなら、今晩もどうやっておばあさんをアンアンと泣かせてやろうかと考えているはずなのに。
おかしいなと首を傾げながらも、
(きっと冷えているに違いないだろうな…)
二人はおじいさんとおばあさんといっても戸籍年齢と肉体年齢が見事に一致しない人たちでした。
だけど、そうはいっても所詮は爺さまと婆さまなわけでしょ――と思った方々はご自身のその感性に誇りを持って下さい。
日本昔話風のほのぼの爺さま婆さまの絵柄が炸裂するか、西洋のダンディズム混在画像が脳内に一気にはびこるか。
それらは生まれ育った環境がというよりは各々の嗜好が容赦なく決定づけるのですから、こればかりはどうしようもありません。
とにかくイケオジでしかないキングアルファなおじいさんと、艶っぽさが微塵たりとも衰えぬ極上クィーンオメガなおばあさんがいて。
二人のふさふさと豊かな髪は白髪というよりはむしろ、子供の頃からの揺るがない白金ヘアのようでした。
そして年齢を感じさせない肌質と肉体美はもはや違った意味での年齢詐称詐欺でした。
加えておじいさんの黄緑色の瞳とおばあさんの薄紫色の瞳といったら、もう生きた宝石でした。
このように両者ともに世界ギネス級のハーレムを作っていても何一つおかしくない美麗ぶりでしたが、互いを唯一無二の伴侶としてとてもとても愛しあっていたのです。
それはかつてビッチと紙一重だった総受けのおばあさんがあわやモブレかとなった時に、総攻めで名の知れたおじいさんが拳一つで助けに入って以来ずっとずっと恋しちゃってたからなのでした。
「ねぇ、おじいさん、こんな天気だから別に無理して出かけなくても」
おばあさんが心配そうにおじいさんに問いかけました。
今年もあと一日、明日はお正月です。
このまま二人でラブラブに過ごしたかったのです。
ですが、おじいさんはというと縦にやたらと長くて大きい箱型の鞄を背負っています。
おじいさんはおじいさんで心から愛するおばあさんに大晦日なのだから何か美味しいものを買ってきてあげたいと思っていました。
それなので大丈夫だよ、すぐに帰るからねと告げると両脇にも袋を抱えて雪が降る中を出かけていきました。
町に行く途中、道の傍らにお地蔵さんが五体立っていました。
「やぁ、みんな、今日も元気かい? 前を失礼」
キランと白い歯を見せておじいさんが笑いかけました。
ですが、すぐさま、ん?と首を傾げました。
見ると雪が頭の上に積もりに積もっているではありませんか。
「なんだか寒そうだね」
身も心も紛う方なきジェントルマンなおじいさんが大きな手で一つ一つの頭上の雪を優しく払ってあげました。
そしてまた歩き始めると目的地である町の市場へと着いたのでした。
ところがどういうわけだか、先ほどのお地蔵さんたちのことが気になって仕方ありません。
いつもなら、今晩もどうやっておばあさんをアンアンと泣かせてやろうかと考えているはずなのに。
おかしいなと首を傾げながらも、
(きっと冷えているに違いないだろうな…)
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