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とんでもない正体

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「えっと…どういうことでしょうか」
「はい、あ、刀は大丈夫ですのでここはお収め下さい、物騒ですからね。
 この度、美麗この上ないおじいさんからして頂いた温情に我々ジゾーズからは夢のような楽しい時間をお返ししたいと考え、訪問した次第でございます」
「いや、それは…もう…お気持ちだけで」

 ジゾーズ?と聞き慣れない音程での名称を心の中で復唱しながら、おじいさんがやんわりと辞退しました。

 どうやらお地蔵さまが神通力で姿を変えてやってきたのだと理解はしたものの、これ以上のやっかいごとは遠慮したいというのが本音です。
 せっかくの大晦日は家族だけで過ごしたいのです。
 しかもすごくいい感じに今からしっぽりに突入するところだったのですから邪魔はして欲しくありません。
 でも、そうは思っても無下にもできません。
 相手は六道すべての世界に現れて衆生を救うとされる地蔵菩薩さまなのですから。
 問答無用で地面の上に眠らされている猛犬たちの姿をチラリと横目で確認して、おじいさんは気持ちをより一層引き締めました。

「もちろん我々もただ団らんするだけの大晦日ニューイヤーズイブにするつもりはありません。
 これはプチサプライズなのですが、催し物イベント終了時にはおじいさんとおばあさんの寿命を一緒にするおまけも付いてきます」
「えっ…」
「そのおまけを受け取って頂きますと現時点ではお二人とも別々の最終日なのですが、同日の同時刻、一秒足りとも差がなくお亡くなりになれます」
「それって…おばあさんと一緒に…死ねる…ということですか?」
「はい、そうです。
 お二方には同時に天寿を全うして頂く仕様オプションといいますか…すみません、気持ちばかりのおまけになっちゃって」
「いやいやいやいや…」

 どちらかというとおまけでなくて、そちらが主になる内容ですよねとおじいさんは心から思いました。
 それに事前通知されたらプチサプライズも何もありませんとも。
 けれども、どちらが先に逝くかについては前々から二人ともに気にかけていた人生の最重要事項です。
 どちらかが先に旅立ち、どちらかが見送る――それが生きとし生けるものの運命だとはいえ、残したくもないし残りたくもないというのがおじいさんとおばあさんの気持ちでした。

(おばあさんと一緒に…生を終えられる…)

 なんて嬉しいんだろうと。
 これ以上のない贈り物におじいさんの目頭が熱くなりました。

「おじいさん…ね、大丈夫ですか?」

 背後から心配して、おばあさんがおそるおそる声をかけてきました。

「わあぁあぁ~~!!」

 と六人がおばあさんを目にするとまたしても一斉に感極まった声を出しました。
 そしてシュンッと瞬間移動して駆け寄ったのです。
 その姿はおじいさんやおばあさんの目には捉えきれませんでした。
 やはり胡散臭くても天界属性の人外なのです。

「めっちゃかわいい、マジでめっちゃかわいい!!」
「ほんっっとかわいいですよねぇ!!」
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