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不埒な輩のオカズにだなんて

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 で終わるはずがなく。

 このように――
 おじいさん当人が全くあずかり知らぬところで、一人のワルが立派なメスにさせられてしまってからしばらく経ったある日のこと。
 出かけていたおじいさんが家に戻ってきました。

「いま帰ったよ」
「あ、お帰りなさい」

 満面の笑顔で走り寄ってくる愛しの妻にズクンッとおじいさんの胸とまだまだ現役絶好調な下半身が本日もまた熱くなります。

「市場はどうでした?」
「ん…ごめん…今日も買い物…できなかったよ」

 両肩にかけていた大きなバッグを下ろしながら答えると、ドサドサドサッと詰めに詰められていた中身が床へとこぼれ落ちました。
 続けて、本当にふがいなくてごめんと言いながらパンパンに膨らんだ鞄も背中から下ろします。

「もらった物で持ちきれなくなっちゃって…でも、君の好きな西瓜と切り干し大根とかタコせんべいもなんか…入れてくれてるみたいで…」

 とおじいさんがおばあさんの様子を窺うようにして見るからに高そうなタコせんべいを取り出しました。
 これぞ真のファン魂です。
 推しだけでなく奥さんが好きな物もしっかりと把握されているのです。

「君のために…なにも買えなくてごめんね」
「いいんですよ、別に」

 毎度毎度のことですからと。
 心の中でおばあさんが告げました。
 もはや芸人の鉄板ネタかってくらいです。
 疑うまでもなく、おじいさんのお家芸です。
 おばあさんがふふっと笑うとおじいさんはホッとしたような顔を見せました。

「あ、おじいさん…寄合はどうだったんですか?」

 今日の外出の目的は市場よりも村の集まりだったことに気がついて、おばあさんが尋ねました。

「あぁ…実はね…」

 おじいさんは寄合であった話をおばあさんにして聞かせました。

「まぁ、それは困りましたね」

 おばあさんもまたいつになく眉根をひそめました。

「街道をずらすには殿さまに直談判するしかないのですか…」
「そうなんだよ」

 前々からおじいさんの住まいを神宮にさせて欲しいという打診を城から受け取ってはいました。
 お願いですから、生き神さまとして奉らせて下さいという願い出です。
 おじいさんを国民の心の総氏神さまとしたかったのです。
 当人からすれば迷惑この上ない話です。
 神祇体系の最高位たる神社をおじいさんをウリにして作れば、お上はお宮参りやらなんやらでがっぽがっぽのウハウハになるでしょう。
 ですが、その分おばあさんが人目に不用意にさらされて不埒な輩の自慰のオカズにされてしまうのです。
 そんな未来をわずかに想像した時点ですらもう殺意が沸きます。
 誰が許せるでしょうか。
 許すまじと。
 起こるかどうか分からない可能性にブチ切れたおじいさんは持って生まれた美の力を駆使して、仮称おじいさんのおうちを神宮化案を見事に握り潰しました。

 ところが相手も食わせ者です。
 ちょっとやそっとのことではくじけません。
 今度はおじいさんの家から真北の方角に神社を建て、仮称おじいさんのおうちを北極星を背にして守るための東照宮化案を懲りずに打ち出してきたのです。


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