最高天使に恋をして~忘却の河のほとりには~

壱度木里乃(イッチー☆ドッキリーノ)

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会いたくて

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 「ふぅぅ・・・どうだぁ~? 満足したかぁ~? ん~? フフフ・・・では、我はしばし眠りにつくかのぅ・・・我が不在中をよきに計らえ~ よいなぁ~? 我の魔王妃よ・・・フフフ・・・」

 ぶつっと気配が途切れる。一瞬にして元の状態に戻った鏡面。さすがに使い果たしたかと、ラシュレスタが冷ややかに見つめた。

 辺り一面に充満していたドス黒く濃霧が薄らぎ、その場の闇の重さが軽減されたとすら感じられる中、ラシュレスタがスッとケープから右手を掲げ、ボワッと銀色の焔をまとわりつかせた。

 そのまま魔鏡の縁を掴むようにして、スス・・・ススス・・・スス・・・と撫で始める。

 前の持ち主の気配がわずかにでも残っていたら不快、極まる。念入りに確かめるようにしながら魔霊気で覆った。

 その心地よさに、本体と大中小の分身たちが、アッ、アッ、アッと嬉々とした声を上げる。

 「魔鏡よ、新しい主人に忠誠を誓え。ラシュレスタ以外のいかなる存在に鏡像を見せるな。誰とも共有もするな。いいな?」

 「へ、へぇ・・・でありんす。新しいご主人さまに忠誠を誓います・・・でありんす。ラシュレスタさまにしか、鏡の中身は見せないで・・・ありんす。共有もしない・・・でありんす。ここに誓う・・・でありんす」

 本体と分身たちが一斉に紫色の細い両手の指を鏡面の前で組んで、小首を傾げるような仕草を見せた。

 「能力はそのままで、魔王の干渉は一切なくなったな?」

 媚びてかわいらしさを演出してきた姿に一切、心を動かされることもなく、ラシュレスタが用心深く確認する。

 「へ、へぇ・・・魔王ゼフォーさまの誓約のお力において、まっさら・・・でありんす。能力は変わらない・・・でありんす」

 返事に納得したラシュレスタが、ピッと親指の爪で人差し指の腹を弾いた。

 ボトッと床に落ちた体液に向かって呪を唱え、魔霊気を注ぐ。ほどなくして、ふわんっと銀色に輝く円陣が地面から浮かび上がった。

 魔鏡と自分を中心点にするようにシューとその幾何学模様の刻まれた輪を広げさせ、リズミカルに縦長に波打ち始めた銀光と炎の中、後方で見守っている稚児たちに問いかける。

 「天界から手紙とやらは・・・本当に届いているのか?」

 「えっ? あ、はい・・・ごく・・・たまにですが・・・」

 怜悧な美貌に視線を向けられ、インがモジモジと恥じらいながら応じた。

 「どのように届く?」

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