Children Of The God's

鈴木ヨイチ

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第1章

ゴカイの過去

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 ゴカイは、1歳の時に両親が他界して、それからずっと施設で暮らしてきた。

 3歳から5歳ぐらいまでは、同じ施設の子供達が沢山いたから、寂しいとかも分からなかったし、毎日楽しかった。

 だけど6歳を過ぎた辺りから、自分の環境に違和感を覚えるようになって、周りの子供達との距離が出来てしまった。

 施設の子供達は学校じゃなくて、施設の中だけで学んだり、遊んだりするから、基本的に施設から外に出ることが無い。

 月に1回だけ、皆で街に出る行事があって、5歳ぐらいまでは楽しかったのに、そこからは楽しいよりも、嫌な気持ちの方が強くなった。

 その理由が、1歳から15歳の子まで全員参加だから、周りの視線も気になるし、普通の家族を見る度に、自分は普通じゃないと思う様になってしまったから。

 段々と、体調不良を理由に行かなくなって、それが周りの子供達との、距離を生む原因になった。

 学校みたいに、同い年の子が沢山いる訳じゃ無いし、6歳を過ぎると、滅多に新しい子も入って来ないから、1度孤立すると、元の関係には中々戻れない。

 何より、皆で街に出なくていいなら、このままの方が全然良いと、思ってしまった。

 それからは、気持ちは楽になったけど、孤独感が芽生えた。

 施設の中は、何処にいてもうるさいし、ご飯の時も一緒で、1人部屋でも無いけど、ずっと孤独だった。

 ほんとは皆と仲良くしたかったけど、どうせ上辺だけとか、家族ごっことか、1人の方がかっこいいとか、自分に言い聞かせてた。

 10歳になった頃には完全に孤立して、施設の大人からも見放され、当然友達なんか1人もいない。

 1日誰とも喋らないなんて当たり前で、ただ起きて、ご飯を食べて、寝るだけの生活に、何の為に生きてるのか分からなくなった。

 いっその事死んでしまおうと、考えた事もあったけど、いざ真剣に死ぬってなると、恐怖から出来なかった。

 でも、勉強が好きな訳でも、運動が出来る訳でも、能力が強い訳でもない。

 当然やりたい事も無いから、やっぱり生きててもという考えが、頭の中で延々とループしている。そんな生活が16歳まで続いて、そのまま施設を出た。

 1人で暮らすようになっても、掃除も、洗濯も、料理も施設でやってたから、生活自体は変わらない。

 でも毎日夜になると、涙が溢れてきた。

 施設は常に騒がしくて、うるさいとしか思わなかったから、1人でいたつもりだけど、1人でいても寂しく無かっただけだ、と気付いた。

 それから施設のありがたみを、感じるようになるのと同時に、申し訳無く思ったけど、どちらも今更でしかない。

 それでも1度施設に行って、皆にちゃんと感謝と謝罪の言葉を、言いに行こうとした。

 何度も施設の近くまでは行くけど、中に入る事が出来なかった。

 歓迎されない、覚えてない、会いたくない、とか全部、かもしれないと、悪い方に考えてしまうから。

 ある日に、同じように近くまで行ってグダグダしてたら、夜闘の日という事を忘れてて、強制参加になった。

 その時は何故か冷静で、死ぬなら仕方ないと思いながら隠れてたら、運良く生き残った。

 それから、別に何をする訳でもないけど、少しでも自分を変えたくて、参加し続けた。

 2回目にはダンボールと棚を持ち込んで、3回目には弱そうな相手を脅して、4回目には、少し変われた気がしたし、やれば出来ると気付いた。

 そして、5回目で俺に会って、負けた。

 でも、あの時に出会えて、それからまだ2日だけど、本当に楽しかった。

 仲間って言ってくれた事、頼ってくれた事、育成神になってくれた事、修行に誘ってくれた事、一緒に住もうって言ってくれた事、全部が本当に嬉しかった。

 こんなに生きてて良かったなんて、思える日が来ると思って無かった。

 ノーマ、ウル、ファジー、マーザ、女神、ガンジョウ達に、天使達、皆に会えて僕は世界一の幸せ者だ。

 と話してくれた。

 ゴカイの話しを聞いて、思わず泣かされた。マーザも泣いてて、ゴカイも泣いてた。

「ゴカイ、私達も君と同じ気持ちだよ。だから遠慮はいらない、何でも言うんだよ」

 ファジーも部屋の外で聞いてて、目には涙を浮かべてた。

「うん、ありがとねぇ」
「よし、この部屋に居ろ」

「いいの?」
「あぁ、いいぞ」

「じゃあ、奥の部屋を2人で使いなさい」
「そうだね。明日マーザと片付けておくよ」

 2階には全部で3部屋あって、俺の部屋以外は物置部屋として使われてる。

 1部屋は俺の部屋と同じ6畳で、もう1部屋は10畳あるから、その10畳の部屋に移ることになった。

「やったな、広くなるぞ」
「うん」

「てかさ、あの部屋は何?」

 話に関係ないけど、純粋に今まで疑問だったから、なんとなく聞いてみた。

「本来はあの部屋が、ノーマの部屋だったんだ。でもこの部屋を気に入ったから、あっちは物置部屋として使ってるだけだよ」

「ふーん」
「だから、2部屋は予備だね」

 聞いてみたは良いけど、大した理由は無かった。

「なるほどね」
「あ、そうだ。ウルちゃんも呼んじゃえば? 1人だし丁度いいじゃない」

「そうだね、ウルちゃん次第ではあるけど」
「2人がそう言うなら、明日聞いてみるよ」

 そうは言っても、流石に来ない気がした。ウルは1人だけど、基本的におばあちゃん家に住んでるし、前に断られてるから。

「では、私達はもう行くよ。ゆっくり休むんだよ」
「朝になったらまた来まーす」

「うん、よろしく」
「うん」

 時計を見たら、もう深夜の1時だった。学校の日は7時に起きてるから、6時間しか寝れない。

「寝るか」
「そうだねぇ」

「ベッドと床どっちがいい?」
「ベッド」

 いきなり遠慮がなくて驚いた。

「イシカミバサミで決めようぜ」
「いいよ」

 イシカミバサミは、手を使って勝敗を決める遊びで、手を丸めるのがイシ、手を広げるのがカミ、指を2本だけ伸ばすのがバサミ。

 手を相手から隠してやるのが決まりで、右手の場合、イシはバサミに強くて、カミはイシに強くて、バサミはカミに強い。左手の場合は、その逆になる。

 右手と左手がの場合は全てお相子となり、相子が3回連続すると、仕掛けられた側の勝利となる。

「じゃあ、いくぞ」
「負けないよ」

「せーのっ、イシカミバーサミっ」

 俺は左手のイシ、ゴカイは左手のバサミで、俺が負けた。

「うぜぇ……」
「じゃあ、ベッドは頂くねぇ」

 そう言って、ゴカイはベッドに飛び込んだ。負けたから仕方なく、床に布団を敷き、電気を消して横になった。

「明日は勝つからな」
「頑張ってねぇ」

 なんだか凄くムカついて、もう寝ようと目を瞑ってみたけど、いつもベッドで寝てるから、床が固くて寝れる気がしない。

「起きなさい、2人とも朝だよー」

 マーザの声に目を覚ました。寝れないと思ってたけど、いつの間にか寝れてた。ただ、体は痛い。

「寝みぃ……」
「おはよう……」

「はい、おはよう。ご飯出来てるよー」

 とりあえず服を着替えて、リビングに向かった。
 席に着くと、テーブルには白米と味噌汁と玉子焼きが、もう既に並んでた。

「いただきます……」
「いただきますねぇ」

 俺は、まだ目が完全に覚めて無いけど、ゴカイはスッキリした顔で、食べ進めた。

「ファジーは?」
「今日は神界に行ってるのよ」

「そうなんだ」
「ごちそうさまでした」

 ゴカイは先に食べ終わり、洗面所に向かった。

「あいつ早ぇな」
「ノーマも急ぎなさい。今日は外が暗いのよ」

「そうじゃん、ごちそうさま」

 学校の日の朝は、外が暗い時は、俺がウルを迎えに行って、明るい時は、ウルが迎えに来る決まりだから、急いで洗面所に向かって、顔を洗って歯を磨いた。

 いつもより急いだからか、時間に余裕が出来た。だからリビングに戻って、マーザに温かい紅茶をもらった。

 ゴカイも来て、紅茶を飲みながらよくよく考えてみると、ゴカイはまだ起きる必要が無い事に気付いた。

「ゴカイはなんで、もう起きたの?」
「うーん……分かんない。けどアパートの解約に行くからねぇ」

「そっか。じゃあ、そろそろ行くわ」
「気をつけてねぇ」

「行ってらっしゃい。気をつけるのよ」
「おう」

 マーザに見送られるのは、いつもだけど、ゴカイに見送られるのは、なんだか不思議な感じがした。

(まぁ、これもすぐに慣れるんだろうなぁ)

 そんな事を考えながら、家を出て、ウルん家まで走った。
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