Children Of The God's

鈴木ヨイチ

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第1章

2人が交した約束

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 いつも通り15分ぐらいで着いて、呼び鈴を鳴らすと、これもいつも通り、ウルはすぐに出てきた。

「おはよう」
「おう」

 挨拶を交わし、学校に向かって歩き出した。早速、ゴカイの事を言おうと思った。

「昨日家まで送ったじゃん?」
「うん。それが?」

「あの後ゴカイん家に、荷物取りに行ってさ、昨日から俺ん家に住んでんだよね」

「え、そうなの? なんで?」
「あいつ1人だからさ、誘ったら来るって言うから」

「あたしも1人なんですけど……」

 なんか不機嫌そうな表情をしてるけど、前に1度断られてる俺からしたら、それは違う気がした。

「お前、覚えてないの?」
「なにをよ」

「前に誘った事あるの」
「それいつの話? 4歳の時の事言ってる?」

「うん」
「そっちこそ忘れてんじゃん」

 ウルの話だと、お互いが4歳の時に、一緒に住もうって誘ってて、これは俺の記憶とも合ってる。

 それで、ウルは今はまだ無理だよって断ったんだけど、それも俺の記憶と同じだった。

「やっぱり断ってんじゃん」
「はぁ……ノーマはね、あの時2人で一緒に住もうねって言ってくれたの」

「うん、言ったよ」
「そうじゃなくて、2人だけでだよ。それで今は無理って返したら、今じゃなくていつかだよって言ったの」

 ウルに言われて思い出した。家族ごっこをして遊んでる時に、本当に一緒に住もうって言った事。

 それで、無理って言われて、今じゃなくていつか大人になったらだよって言った事。

「思い出したよ……」
「あたしはずっと覚えてたよ。嬉しかったから……」

「ごめん、ずっと勘違いしてたよ……」
「だろうね……ノーマだもん」

 俺はウルを傷つけてしまった。多分恥ずかしくて、自分の都合のいいように、改変して覚えてたんだと思う。

 でも、そんな事は言い訳にしかならないから、もう1度ちゃんと誘おうと思った。

「なぁ……ウルも一緒に住まないか?」
「いいよ、気ぃ使わないで」

「そんなんじゃねぇよ。ファジーとマーザにも誘ってあげなって言われたし」

「言われたからでしょ。もういいって」

(ダメだ……何を言っても……)

 断られる覚悟で、もう1度言ってみようと思った。

「いつか、2人で住もうっ! 勿論、本心だし約束だ」
「え……?」

「いや……嫌なら、ゴカイと3人で……とか?」

 ウルは黙ったまま、何も言ってくれない。けど構わず話しかけた。

「だから、まずは来ればって言うか……とりあえず、一緒に住もうって言うか……それから徐々に……じゃないか」

 何て言えばいいのか、全く分からなかった。ウルと一緒に住めたら楽しいだろうし、ウルが良いなら、今はまだ無理だけど、住みたいと思う。

 嬉しかったって言ってくれてたし、全部本心だけど、伝え方が分からないのが、もどかしい。

「分かった。そこまで言うなら、2人で住むかどうか、まずは見極める」

「うん……どうやって?」
「一緒に住んでみてに、決まってるでしょ」

 思ってもみなかった事が起こって、言葉を失ってしまった。

「嫌なの?」
「いいに決まってるだろっ」

 素直に嬉しいし、これからはお互いの家を行き来しなくても、一緒に学校まで行ける。

「早速学校終わったら、荷物まとめに来るか」
「早くない? 修行も行くんでしょ?」

「すぐやれば行けるって。ゴカイも呼んでさ」
「うん……ならいいけど、ノーマん家は平気なの?」

「平気だよ。じゃあ、決まりな」

 こうして、昨日のゴカイの引越しに続いて、今日はウルの引越しが決まった。

 すると、あっという間に学校に着いて、校舎に入り、教室に行った。

「おっはよー、お前ら」
「おはよう」

 クラス中の視線が、俺に集まった。

「皆聞いてくれ、重大発表がある」
「なんだよ、どうせ大した事じゃねんだろ」
「勿体ぶらずに、早く言えよー」

 思ってた以上に、気になってる様子の皆に、満を持して言ってやった。

「ウルと一緒に住む事になりました!」
「…………?」

 全員が言葉を失ってしまい、ただ呆然と、俺の事を眺めてた。知ってる筈のウルまでも、俺を見て固まってた。

「なぁ、ウル」
「いや……そうだけど…………普通言う?」

「おい……って事はほんとなのかよ……」
「あぁ、ほんとうだ」

 正直自分でも、何で言ったかは分からないけど、とりあえず皆が驚いてくれたから、言ってよかった。

「はーい、同棲おめでとう。皆席に着けぇ」
「おう、ありがとな。先生も早く相手見つけろよっ」

「やかましいぞー、いいから席に着けぇ」

 言われた通り席に着いて、授業が始まり、休み時間になると、俺の周りを男子が取り囲み、ウルの周りを女子が取り囲み、質問攻めにあった。

 最初の方は良かったけど、帰りの時間までずっと続いて、言った事を後悔した。

「お前ら、これから同じ家に帰るのか?」
「まぁな」

「いいなぁー、羨ましいなぁー」

「じゃあ、俺ら用があるから、じゃあな。ウル行こうぜ」
「じゃあなぁ、お幸せにー」

 俺は背中で返事をして、調子に乗ってウルの手を取り、繋いで見せた。

 全力で振りほどかれて、皆の笑い声を背中に受けながら、学校を出た。

「ほんっと、すぐ調子乗るよね!」
「いや、確かに調子乗った。ごめん」

「っもう、分かってるならいいけどさ」
「手繋いでいいの?」

「はぁ? そういうのは聞くもんじゃ無いのっ!」
「分かった」

 そう言われたから、何も聞かずに手を握った。そしたら、今度は振りほどかれずに、握り返してくれた。

 また振りほどかれると思ってたから、どうすればいいか分からないし、大分照れくさいけど、離したくないと思った。

 ウルも照れてるのか、ずっと俯いてて、2人して終始無言のまま歩き続けた。

 そしたら、俺たちの歩く真横を、ゴカイが後ろから抜き去って行った。

「なぁ、あれゴカイだよな?」
「え、ぽいけど……どこから来たの?」

「後ろからだな」
「うーん……追ってみよっか」

 俺もウルも、後ろ姿しか見てなくて分からないから、一定の距離を保って後をつけた。

「ゴカイだったら、気付くよな」
「わざと声掛けなかったとか」

「それは俺も思った」
「やっぱり、そう思うよね」

 手を繋いでるのを見て、声を掛けるか迷ったけど、後ろを歩いてついてくのはおかしいから、気付かないふりをして、抜き去ったんだと思った。

「今日のゴカイの予定は?」
「アパートの解約って言ってたけど、朝から行ってる筈だからな」

「うーん……」
「あっちは確か……あっ」

 ここの近くに、施設が1軒あるけど、そこがゴカイの居た施設とは限らないし、そこに向かってるかも分からないから、まだ後をつけた。

 施設の見える距離まで来ると、ゴカイらしき人物が突然立ち止まって、周囲を見回し始めた。

 落ち着きが無い様子で、見回すのを止めたと思ったら、今来た道を戻りだした。

 俺たちは後ろに居たから、当然顔が見えて、確認するとやっぱりゴカイだった。

 こっちに向かって歩いてくるのを、隠れるとかもせず待ってると、ゴカイは俺たちに気付かずにすれ違った。

「あいつやばくない?」
「うん、完全にすれ違ったもんね」

「もう、声かけるか」
「そうだね」

 ゴカイの元に駆け寄り、肩を叩いて、名前を呼んだ。 驚く程の反応の無さに、横に並んで、改めて顔をちゃんと確認すると、やっぱりゴカイだった。

「おい、ゴカイ。ゴカイっ」
「え、なに」

 真横で2回名前を呼んで、やっと反応した。

「あ、ノーマ、それにウルも。なんでこんな所に?」

 不思議そうな顔をして聞いてくるゴカイを見て、全く気付いて無かった事が分かった。

 見つけて、後をつけて来た事を言うと、納得した様子だった。

「お前、施設に行こうとしてたんだろ?」
「え、何でそれを?」

「お前がキョロキョロしてた場所、そこから見える位置に、施設が1軒あるからな」

「なるほどねぇ、その通りだよ」

 ゴカイは、何も考えず勢い任せに、行ってみればどうにかなると思ったけど、気付いたらもうすぐの所に居て、そこで怖気付いたらしい。

「じゃあ、一緒に行くか」
「良く分かんないけど、ここまで来たなら行こうよ」

「2人ともついてきてくれるの?」

「お前が、それで行けるならいいぞ」
「あたしも別にいいぞっ」

「うーん……」
 それから、ゴカイは少し考えて、結論を出した。

「じゃあ、お願いねぇ」

「決まりだな」
「気が変わらない内に行っちゃお」

 ウルが、手土産があった方がいいって言うから、施設に行く前に、近くで何か買ってから行く事にした。
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