きみの隣にいるだけで幸せだったと気づいたのは

haregon

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#12 恥ずかしくて、勇気のいるもの

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「有季さんなんだろ。俺らが手伝ってやるから、本当の事言ってみ?」

幸大は、何がなんでも僕に好きな人を吐かせたいようだ。僕の肩をガシッと掴んで、離そうとしない。

確かに、僕には恋愛経験がない。だから、僕一人では、ここからどうしたら有季さんと喋れるような関係になるのか分からない。

幸大をはじめ、部活の仲間が手伝ってくれるのなら、それはとても心強い。しかし、あのノリの激しい連中にいじられるというかなりのデメリットもある。

……でも、僕は有季さんともっと喋りたいし、有季さんの笑った顔が見たいんだ。そのためには、皆に協力してもらう方が絶対にいい。

覚悟を決めて、ずっと「有季さんなんだろ!?」と言い続けている幸大を睨みつけた。そして、大きく頷く。

「お?認めたってことか?」

幸大が、悠也の肩から手を離して、意外そうな顔をしてきた。

「そうだっ!約束通り、協力してもらうからなっ!」

意外そうな顔をされたことに腹が立ったのと、恥ずかしさを隠すのとで、悠也の口調は噛み付くようなものになった。

「おー、任せとけって」

幸大が、ドンと胸を叩いた。悔しいが、頼もしい。


悠也は、今日初めて、自分の「好き」という気持ちを他人に明かした。それは、恥ずかしくて、勇気のいるものだった。

しかし、自分の心の中の、何かモヤモヤしたものが少し取れた気がする。何か起こるんじゃないかというドキドキ、ワクワク。そんな不思議な気持ちで、悠也は着替えを済ませ、部活のために体育館へ向かった。


「よぉー、悠也。お前、橘有季が好きなんだって?」

悠也が部活の準備でバドミントンのネットを張っていると、チームメイトが次々にそう声をかけてきた。

どうせ、幸大が言いふらしたんだろう。やけに幸大の着替えが早いと思っていたら、早速みんなに広めていたのか。

まあ、こうやって好きな人のことでいじられるのは、協力してもらう代償として覚悟していたことだ。それはいい。

だから、ここは恥ずかしい気持ちを懸命に我慢して、
「そうなんだよ。どうすればいいと思う?」
と口にする。

しかし、何せこの人達は声が大きい。体育館中に聞こえるような声で喋ってくる。

これでは、クラスに広まるどころの話ではない。バレーやバスケ部の女子のうわさ話が回り回って、ほぼ確実に有季さんの耳に入るだろう。

そう考えると、やっぱり恥ずかしくて、悠也はいてもたってもいられなくなった。
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